バナナをめぐる奇妙な物語013:昔の小説や映画に出てくる「バナナ」と二次大戦後の世界で消費されている「バナナ」は実は別モノである
実は「バナナ」産業は一度、世界規模で壊滅している。それも比較的最近のこと、20世紀前半のことである。
パナマ熱と呼ばれる病が全世界のバナナ農園に広まり、世界中のバナナ栽培を壊滅させてしまったのだ。
それが欧米の先進国の消費者にはほとんど意識されなかったのは、パナマ熱に比較的強い「キャベンディッシュ」という品種のバナナがうまいタイミングで発見され、それまでの世界で食べられていた「グロスミッチェル」バナナの壊滅と入れ替わるように、キャベンディッシュ種バナナ栽培が世界中に広まったという、一種奇跡的な交代劇があったおかげである。
※ちなみにキャベンディッシュ種もパナマ熱に対して完全に耐性があるわけではないので、バナナ絶滅の危機はまだ続いている!バナナ栽培は壊滅の危機と常に隣り合わせの産業なのだ!
なお、現代の我々が食べている「キャベンディッシュ」バナナと、百年前まで食べられていた「グロスミッチェル」バナナとは、「似てはいるが、やはり大きさも味もちょっと違う」ものであるらしい。
つまり二次大戦より前の時代に書かれた小説や映画に出てくる「バナナ」は、現代の我々が食べているバナナとは別物ということになる!
もしかしたら「バナナの皮で滑る」というギャグが陳腐化したのは、この「品種の大交代劇」のせいもあるかもしれない。
昔の「グロスミッチェル」バナナの皮は現代の「キャベンディッシュ」バナナの皮よりも滑りやすかった、ということかもしれないのだ!急速にこのギャグが衰退したのも品種交代の影響だと考えると、なんだか合点である(←両種の滑りやすさを比較実験したわけでもないのでただの個人的仮説です、、、あしからず、、、)。
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※本記事は、以前に公開した「お題『バナナ』で呟怖をください」という企画から派生した「バナナを巡るハナシを世界から集めてこよう!」という試みの一つとなります。
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