『イット-それが見えたら終わり』をSFホラーに振り切った製作陣の判断に拍手!いじめっ子といじめられっ子の宿命の因果を描いたテーマ性の点でも◎な傑作!
皆さんこんにちは。SFホラー好きなヤシロと申します。
そんな私、とりわけ、どうにもこうにも、
『イット』二部作が大好きです。
少し以前の活動になりますが、
こんなファンブックを書いて電子書籍として売っているほど、『イット』は何遍も見て、研究しまくったものでした
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もともと私は原作小説も好きでしたし、
ティム・カリーの怪演が光った1990年代のテレビ映画版も好きだったのですが、
21世紀になって作られた以下の二連作こそ、今のところ、このホラー小説の映画版としては決定版だと思うし、今後リメイクされることがあってもこれを超えられることができるかは甚だ疑問です。それほど、この二連作は、ヨカッタ!
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とりわけSFホラー映画好きな私のハートは完璧に持っていかれましたよ。
だってこの二作、完璧にSFホラーに振り切ってますよね!?
実は原作小説でも、殺人ピエロの正体は「地球外からきたエイリアンなのでは?」とたびたびほのめかされてはいたのですが、
今回の映画版では、「もう誰がどう見ても、あのピエロの正体は地球外生物だよな!」となるほど、SF設定を明確に打ち出しました。
特に第二作の「THE END」のほうでは、どうやら隕石に乗って落ちてきた過去があるらしいところとか、どうやら物理攻撃も有効であることがわかるところとか、「あのピエロの本体は、謎の能力を多々持つ地球外生物だが、ともかく、生物ではあるらしい!」とは明確になる。これが、よかった。
この「SF設定」振り切りの判断は、なかなか大胆でしたが、私は、正しい判断だったと思う、
というのはですね、
「正体は地球外生物らしい」となってくると、あの殺人ピエロが町の子供を殺して回る理由が、きわめて明確になったんです。
どうやら、あのピエロ、食うために人間を襲ってた、ということになるんですね!奴は奴で、食うために必死に生きていたのだw
そう解釈すると、がぜん、
あのピエロに立ち向かうのが、「どもり」「近眼」「肥満」「ユダヤ系」「黒人」「マザコン」「はぐれものの不良少女」といういじめられっ子七人組である、という設定が輝くのですよ。
あの七人組ですが、ストーリー上、
殺人ピエロのペニーワイズと戦うことになる前は、ヘンリーという街のいじめっ子と戦ってるんですよね。
このヘンリー、実は家庭環境に深刻な問題を抱えており、彼は彼で複雑な悩みのせいで、悪質ないじめっ子になったらしいのですが、
いじめられっ子たちにしてみたら、「いや、いじめっ子のヘンリーにも事情があるなんて、、、俺らは知らねーよ!」なわけですよw。で、七人が団結して戦ったら(なにせヘンリーはナイフを振り回すガチでヤバいいじめっ子だが)、なんと、勝つことができてしまった!
そしてこの流れで、いじめられっ子の七人組は、殺人ピエロのペニーワイズにも立ち向かうのですが、
「いや、あのピエロはあのピエロで、食うために仕方なく子供を襲ってるという事情があるなんて、、、俺らは知らねーよ!」なわけですよw
そして案の定、勇気を出して、バットとか鉄パイプとかで武装して立ち向かったら、、、なんと物理攻撃がちゃんと通用すると判明!で、大団円の「みごとな勝利」につながるわけですが、
この映画が、私のようなどちらかというと「いじめられる側」だった少年期を過ごした人間にとって、異様にリアルに感じられたのは、
「いじめっ子という奴らにも、それなりの事情がある」ということをしっかり描いている、、、その上で、
「勇気を出して立ち向かえば、なんだ、いじめっ子って無敵じゃないじゃん!意外に倒せるじゃん!」という認識を描いてること。いやあ、、、これはリアルだなあw
つまり、映画版のイット、見方によっては、
「世界のいろんなところでリアルに起きている、いじめっ子といじめられっ子の宿命の因果を描いてる」といえる、、、そう、「いじめられっ子が本気で怒ると、いじめっ子ってたちまち立場が逆転され、ボコボコにされて、逆に追い詰められていく」というねw。
これはカタルシスでしたね!そして、この映画のめちゃくちゃ面白いところは、
いじめっ子でありながら、大人になって強くなったかつてのいじめられっ子七人組にトドメをさされることになったときの殺人ピエロが、少し、嬉しそうなんですよね!「ああ、、、お前たち、、、こんなに強くなったのか、、、やれやれ、、、これでやっと死ねるんだ」と、退治されてホッとしているような微妙な表情をする。ピエロはピエロで、もう子供達を追いかけ回して憎まれる役回りに疲れていたのかもしれません。
「いじめっ子といじめられっ子の因縁の物語」として見ると、かように、映画版イットは面白いし、ラストの勝利にたまらないカタルシスを感じる。
そして、お気づきの通り、
この映画で、いじめられっ子はいじめっ子を憎み、反撃し、ついには撃退するのですが、実は最初から最後まで、いじめられっ子たちが殺人ピエロ以上に嫌悪感と憎悪を抱いているのは、何もしてくれない大人社会に対して、なのです!それよりは、長年の因縁がある分、殺人ピエロとの間には最後には妙なエモーションが生まれたりもする、、、いやあ、見事な構図ですねえ、いいですねえ!
そして、繰り返しになりますが、ここまで「いじめられっ子が勇気を出して反撃するカタルシスの物語」としてテーマが明白になったのは、
「殺人ピエロの正体は実はエイリアンらしい(だから物理的に殺すことは可能なはずだよな!?)」という点を明確にした、SF設定への振り切り判断だったと思うのです。
いやはや、原作小説を映画的にわかりやすく料理するという点でも、おおいに参考になる制作スタンス!
以下のようなファンブックも作ってしまった私、ほうぼうで繰り返していることながら、2010年代の傑作映画として、多くの方にぜひぜひオススメしたいのです!うわあ、私自身、また見たくなってきた、、、