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『火吹山の魔法使い』かと思ったら『火吐山の魔術師』でしたが、わざわざ買ってプレイしてみた
1982年にイギリスで産声をあげ、たちまち世界を席巻し、1984年冬には日本にも上陸してベストセラーとなった、いわゆる「80年代ゲームブック」ブームの火付け役にして、いまだにファンの間で語り継がれている古典的名作ゲームブックといえば?
もちろん『火吹山の魔法使い』!
・・・ですが!
私がAmazonで見つけ、「おお、火吹き山の魔法使いの電子書籍版がとても安く出ているぞ!」と思って、
ん、、、?
目をゴシゴシ、、、。
ゴシゴシ、、、ゴシゴシ。
「火吐山の魔術師」てw!
紛らわしいタイトル!しかもインディーズ作品じゃないですかw。
このAmazonでうっかり検索してくる人を狙いすましているかのような紛らわしさ。
さてはこれ、映画でいうところの、『マトリックス』の検索結果に『アホリックス』が、『ランボー』の検索結果に『乱暴者』が紛れているのと同じ作戦を張っているナ?!
しかし!名作から超マイナー作品まで、「ゲームブック」と名のつくものすべてを愛するのが私。
これも、見つけてしまった以上、プレイするしかない。
ダウンロードしましたー。
そして、
クリアしましたー!
![](https://assets.st-note.com/img/1653998461373-nItICpsfN2.jpg?width=1200)
ありがたいことに、アドベンチャーシートも不要な上、サイコロも使わないです。文章と選択肢だけでサクサク進みます。
内容としては、予想通りといいますか、『火吹山の魔法使い』へのオマージュを散りばめた、小品ながらもファンタジーアドベンチャーもの。
短い冒険ですが、ヒロイン救出あり、酒場での情報収集あり、ファンタジー経験知見ゲームブックの基本要素を盛り込んでいます。
作者の方がゲームブックそうとう好きなのでしょう。好きでなかったら、
「さあ、ページをめくりたまえ」
といった、80年代ゲームブックを懐古させる文体パロディをやらないハズだ!こういう細かい「文体パロディ」に、往年のゲームブックファンである私はニヤリとしてしまうのでした。
しかし、
しかし、です、
このゲームブック、意外や意外、意外なことに、ラスボスの魔法使いを倒して宝を奪うハナシと思わせておいて、
最後に、なんと、イイ話にもっていくのです!これは意外な。って、結局最後、主人公は、お宝はしっかり手に入れていますけど。
正規ルートで進めば死者もケガ人もほとんど出ずにハナシが終わる感じ、ピースフルな感じで悪くない。って、あ!魔法使いザゴーリを袋叩きにしようとしていた野蛮そうな冒険者グループの運命は別か。しかし、ああいう野卑で乱暴なモブキャラたちには同情感も湧かず。
インディーズでなければあり得ない、堂々たるパロディ作であり、すでに文化としては終わっているゲームブックでかつパロディをやろうという心意気もインディーズならでは。
それゆえにまさに言いたい、2020年代の今となっては、インディーズゲームブック、万歳!細々でもいい、たくましく、新作を生み出し続けてほしい。