自己主張だけじゃない、アサーティブの本当の意味
アサーティブ・コミュニケーションには「権利」という考え方があります。今日はそのお話をしてみたいと思います。アサーティブ・コミュニケーションというと、一般的には「伝えるスキル」というイメージが強いかもしれませんが、「権利」という視点から考えることで、自分らしく、そしてもっと気持ちが楽になることがあります。その中でも特に印象的なものが、「私たちには自己主張しない権利もある」という考え方です。
「自己主張しない権利」と聞くと、少し驚く方もいるかもしれません。アサーティブ・コミュニケーションを学ぶ目的の多くは、「自分の意見を伝えられるようになる」ことですよね。それなのに、自己主張しない権利があるとはどういうことでしょうか?実はここに、アサーティブ・コミュニケーションの本質が隠されています。
自己主張が苦手な人にとって、アサーティブ・コミュニケーションを学ぶことは「自分の気持ちを正直に伝える」という新しい選択肢を得ることです。しかし、それは「自己主張を必ずしなければならない」という義務を持つわけではありません。これまで自己主張しないことを無意識に選び続けていた人が、「自己主張する」という選択肢を増やし、その中から自分にとって適切な行動を選べるようになる。それがアサーティブ・コミュニケーションの目的です。
たとえば、会議で自分の意見を言うべきか、あるいは黙って相手の話を聞くべきか悩む場面を想像してください。どちらを選んでもいいのです。ただ、その選択が「自分が選んだ結果である」という意識を持つことが大切です。アサーティブ・コミュニケーションでは、こうした選択の自由を認めつつ、それが自分の責任のもとで行われることを重視します。「この場では意見を言うほうがいい」と決めたなら、結果がどうであれその選択を引き受ける。そして、もし結果が思わしくなかった場合も、それを学びの材料にする。これが「選択を自己責任で行う」という意味です。
私たちは日常の中で、「こうするべきだ」「こうしなければならない」という考えに縛られがちです。しかし、アサーティブ・コミュニケーションではそれを「こうしてもよい」「そうしなくてもよい」に書き換えていきます。たとえば、「意見を言うべき」を「意見を言ってもよいし、言わなくてもよい」に変えたり、「失敗してはいけない」を「失敗してもよい」に変えたりすることで、心の余裕を持つことができます。
アサーティブ・コミュニケーションには「失敗する権利」も含まれています。たとえば、慣れないプレゼンテーションに挑戦したり、普段はやらない役割を引き受けたりすること。結果がうまくいかないかもしれないけれど、やってみることで次の挑戦につながる経験を得られることがあります。この「失敗する権利」を自分に与えることで、安心して一歩を踏み出せるようになります。
さらに、アサーティブ・コミュニケーションでは、「自分が自由に選ぶ権利」があるように、「他者にも同じ権利がある」という対等な視点を大切にします。これにより、自分も相手も無理をせず、自然体でコミュニケーションを取れるようになります。「こうしなければならない」という“過度な”思い込みを手放すことで、お互いにもっと気楽な関係を築くことができるのです。
アサーティブ・コミュニケーションは、選択肢を増やし、自分の意思で選ぶ自由を尊重する考え方です。そしてその選択には責任を伴うことを受け入れることで、より柔軟で生きやすい人生を歩むことができます。ぜひ、自己主張する権利も自己主張しない権利もあるという事実を受け入れ、そこから始めてみてください。
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