自分の『イヤ』を伝えながら相手を尊重する方法
たとえ善意からの行動であっても、それが相手にどう受け取られるかは分からないものです。相手の価値観や状況によって、こちらの意図とは異なる解釈をされることもあります。同じように、相手の行動が自分にとって必ずしも心地よいとは限りません。こうした場面では、お互いの気持ちを尊重するために、自分の考えや感情を率直に伝えることが大切です。
たとえば、友人から「今度の休日、一緒に遠出しない?」と誘われた場合を考えてみてください。相手はきっと、あなたと一緒に楽しい時間を過ごしたいという善意で誘ってくれたのでしょう。でも、その日は疲れていて自宅でゆっくりしたいと感じているなら、こう伝えてみるのはどうでしょうか。
「誘ってくれて本当にありがとう。嬉しいんだけど、その日は少し疲れていて休みたいなと思ってるんだ。」
こうすることで、相手の善意に感謝を伝えつつ、自分の気持ちを無理なく伝えることができます。また、こうしたやりとりを通じて、自分が相手に「No」を伝える勇気を持つことと同時に、相手がこちらの善意を受け入れない可能性を受け止める姿勢も養われていきます。それが、お互いを尊重し合うための第一歩になるのです。
先日、家族旅行でこんな経験をしました。足腰の弱い義母を気遣い、観光をバスツアー形式にしましたが、歩く距離が予想以上に長くなり、結果的に義母にとって負担の大きい選択となってしまいました。ある観光地に着いたとき、義母は「ここで待つ」と言いました。以前の私なら、「せっかく一緒に来たのだから、みんなで行動すべきだ」と考え、説得しようとしたり、義母を置いていくことに罪悪感を抱いたりしていたかもしれません。
しかしその時は、「これは義母が選んだこと」と割り切ることができました。結果的に、義母は近くのお茶屋さんでのんびり過ごし、私たちも観光を楽しむことができました。この体験を通じて、「相手の選択を尊重する」ということの大切さを実感しました。そしてそれは、相手の善意を受け入れるかどうかも自分の選択であるという考え方につながるのだと気づきました。
相手の行動を尊重するというのは、「相手が自分の価値観に基づいて選んだことを認める」ということです。しかし、それは「自分の感情や価値観を犠牲にする」ということではありません。たとえば、義母が自分のペースで過ごすことを選んだように、私たちも観光を楽しむことを選んだのです。このように、それぞれが自分の選択を大切にしながら、相手の選択も認める関係が理想ではないでしょうか。
自己本位で生きることは、相手を否定することではありません。むしろ、自分の感情を大切にしながら、相手の価値観や選択を尊重することです。そしてそれは、いきなり完璧にできるものではなく、日々の小さな場面で少しずつ練習するものです。たとえば、友人や家族とのやりとりで「今はちょっと無理」と伝えてみる、自分とは異なる意見に対して「そういう考え方もあるんだ」と一歩引いてみる。そんな日々の小さなチャレンジの積み重ねが、他者を尊重しながら自分らしく生きる土台になるのだと思います。
自分の気持ちを大切にしながら、相手の選択も尊重する。その繰り返しが、お互いを尊重し合える関係を築く第一歩になるのではないでしょうか。
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