【ざっくり】東映業績推移(過去5年間)
日本の3大映画会社と言えば、東宝、東映、松竹である。
今回は東映について業績推移分析(トレンド分析)をしてみた。
松竹についての分析はこちら
【業績推移サマリ】
・過去5年間売上、営業利益は順調に成長
・利益の大半は映像関連事業(2018年度は全体の76%カバー)
・アニメ映画が好調で、子会社の東映アニメーションの業績も国内外で好調
■会社の特徴
東映株式会社は映画の製作、配給、興行会社である。2019年現在、直営の映画館2館、2つの撮影所(東映東京撮影所と東映京都撮影所)を保有。テレビ朝日ホールディングスの大株主で、同時にテレビ朝日ホールディングスが東映の筆頭株主になっており、テレビ朝日とのつながりが強い。
それでは東映の過去5年間の業績推移(連結ベース)を見ていきたいと思う。以下は開示されている決算書のデータを参考に作成した。
■会社の業績
売上:過去5年の売上は横ばいのように推移しているが、2016年度が業績が良すぎたと考えれば、成長トレンドである。2014年度と2018年度を比較すると250億円売上が増加している。
営業利益:過去5年間で上がり続けている。粗利率及び営業利益率も毎年改善しており、売上の成長のみではなく、コスト削減にも力を入れていることがわかる。
■売上分析
まずは売上について見ていこうと思う。
2017年度に一度売上が下がっているように見えるが、2016年度がむしろ業績が良すぎと考えれば、過去5年間は順調に売上が成長していることがわかる。
では、なぜ売上が成長しているか?
それについて調べていきたいと思う。
以下がセグメント別売上(ビジネス事業別売上)になる。
決算資料によると各セグメントの詳細は以下である。
映像関連事業:劇場用映画及びテレビ映画の製作・配給。また、これらの作品のDVD・ブルーレイディスクの製作・販売及び作品に登場するキャラクターの商品化権許諾や映像版権に関する許諾等
興行関連事業:直営劇場やシネマコンプレックスの経営
催事関連事業:東映グループの製作した作品に登場するキャラクターショーや文化催事の企画・運営及び東映太秦映画村の運営
観光不動産事業:賃貸施設等の賃貸及びホテルの経営
建築内装事業:建築工事及び室内装飾請負等
東映の売上約1,370億円に対して、映像関連事業は約938億円で全体の68%を占めている。松竹は53%程度であり、松竹より映画事業への依存度が高いことがわかる。
過去5年間の変動幅に注目して見ると、映像関連事業及び興行関連事業の変動が大きいことがわかる。
各セグメントのトレンドを見ると、冒頭で説明した通り、2016年度が良すぎたと考えると、過去5年で全体売上が上がっているように見える。一番規模の大きい映像関連事業、また興行関連事業は順調に成長している。観光不動産事業については松竹と同様で手堅く安定的な売上である。(ただし、依存度は松竹よりも小さい)一方で、建築内装事業は毎年売上のブレがあり、催事関連事業は過去5年間で縮小傾向である。
まとめると
・全体の68%を占める映像関連事業、興行事業は過去5年間で成長傾向
・観光不動産事業も安定的に推移(ただし、松竹よりは依存度が低い)
・催事関連事業は過去5年間で18億円減少し、縮小傾向
ちなみに過去の2016年度の映像関連事業の業績が良い理由を調べてみた。
配給で「ONE PIECE FILM GOLD」が年間で興行収入51.8億円で大ヒットを記録していた。それ以外にも仮面ライダーやプリキュアも堅調稼働したようだ。
東映と言えば連結子会社に東映アニメーションがあり、昔からアニメが強い。
■利益分析
売上に続いて、次はセグメント別利益を見てみる。
セグメント別利益(調整前)は総務部門等管理部門(全社)の経費が含まれていないため、営業利益と一致しないが、ざっくり各事業のトレンドが把握できる。
図からわかることは、2018年度の利益に関しては映像関連事業が全体の76%を占めている。松竹では一番大きなものは不動産事業であり、約60%を占めており、東映と松竹では同じ映画会社であるものの利益構造が大きく異なる。松竹で利益の全体の約60%を占めていた不動産事業は、東映では約11%程度である。
以上、決算資料を読むと東映については強みのテレビアニメ(東映アニメーション)を活かして、映像関連事業でしっかりと収益を上げている印象である。
東映については東映アニメーションの影響が大きそうであるので東映アニメーションについても少し調べてみた。
以下は東映アニメーションの決算資料である。
決算資料からは東映同様に過去5年間着実に成長をしており、5年間で売上が1.8倍も増加している。
セグメント別で見るとアニメが好調であることに加えて、海外展開も順調に進んでいることがわかる。
東映アニメーションの株主についても調べてみた(2019年8月13日時点)
テレビ局が株主にいることがわかる。たしかに、テレビ朝日やフジテレビでよくテレビアニメをやっている印象がある。
東映アニメーションについては面白そうなので、今度詳細をリサーチしたいと思う。
以下、今回のまとめである。
【業績推移サマリ】
・過去5年間売上、営業利益は順調に成長
・利益の大半は映像関連事業(2018年度は全体の76%カバー)
・アニメ映画が好調で、子会社の東映アニメーションの業績も国内外で好調
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