「ジャニーズ性加害問題」と韓国映画「成功したオタク」から感じたこと

ジャニーズで起きた性加害問題について、ずっと考えている。


私はカウアン・オカモトの告発と、BBCでの番組が放送された後、ジャニーズのアイドルたちはもう表舞台に立つことはできないと考えていた。大手アイドル事務所の社長による長年の性加害、それを容認してきた組織、そこに所属するアイドルたちも被害者であるが、容認してきたという点では共犯者である。ジャニーさんに手を出されることは通過儀礼のようなものであったし、それが終わった後、仕事が増えるというのは所属しているアイドルたちにとって共通認識だった。


カウアン・オカモトが出した告発本を読んだのだが、驚いたのは、カウアン本人が「ジャニーさんに対して恨みはなく、むしろ感謝している」と言っていたことだ。

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ジャニー喜多川の犯罪は完璧なグルーミングによって、永久凍土の中に閉じ込められた。被害者が加害者に怒りを感じなければ、加害はなかったことになる。


その後、ジャニーズ事務所は名称を変更し、所属していたアイドルたちは新しい事務所に移籍し、独立事務所を立ち上げ、普通にテレビに出ている。私はこのことにひどく違和感を感じる。彼らは、なぜ、あのような酷い事件があったのに、まだ、芸能界で活動を続けようと思えるのか。顔だけでバレてしまう有名なアイドルなら、お金はたくさんあるだろうから、そっと田舎に隠居してもいいのではないだろうか。


先日、韓国映画「成功したオタク」を鑑賞してきた。

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これは、自分が推していたアイドルが性犯罪者になり、そのアイドルを推していたファンたちが何を考えているかを撮影したドキュメンタリーだ。


映画で出てきたのは「グループチャット事件」というもので、wikiを見る限りでは、薬物を飲ませた上でレイプし、それをグループチャットで晒すという悪質極まりないものだった。


多数のファンが出てくるが、皆、ショックは大きく、絶対に許さないというファンもいた。ファンはお金を払って、彼らのコンサートに行き、グッズを買う。そのお金でアイドルは生活をしているのに、性暴力を女性に行うのは(ファンの多くは女性)ファンのことを人として見ていない、ただの「モノ」であると言っているようなものだ。特に最近は、アイドルとファンの距離が近く、サイン会やファンミーティングで直接話す機会もあるので、ショックは尚更だろう。


映画で印象的だったのは、犯罪を犯したアイドルが実刑7年を言い渡されたところだ。(現在も裁判中であり、刑の内容については変わる可能性がある)流石に7年も経ったら、皆、アイドルのことを忘れてしまうだろうし、芸能界に復帰したとしても以前のような人気を得るのは不可能だ。韓国社会からは性犯罪を絶対に許さないという強い意志が感じられる。それに比べて日本はどうだ。旧ジャニーズのアイドルたちが普通にテレビに出ている。報道の後、自殺者まででたのに、もう、事件など存在しなかったかのようだ。


私はジャニーズについては好きでもないし、嫌いでもない。ただ、性暴力だけは絶対に許したくない。それを長年、行ってきたジャニー喜多川ジャニーズ事務所、芸能界に対して怒りを感じている。そして、もっと怒るべきところは、日本の法律では、最近まで性暴力において男性が被害者に含まれていなかったことだ。


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私が一番許せないのは、この国が、性暴力に対してどこまでも寛容であるという事かもしれない。

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小林エリコ
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