「おとり」や「引き立て役」があると購入を後押ししやすくなる!?『デコイ効果』
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あえて見劣りする第3の選択肢を『おとり』として提示することで、
消費者の意思決定をより誘導しやすくなる『デコイ効果(おとり効果)』。ビジネスシーンでの活用例や使用時の注意点などについて解説しています。
■『デコイ効果(おとり効果)』とは?
『デコイ効果(おとり効果)』とは、特定の商品・サービスを販売したい場合、その商品・サービスを基準にして「上のランクの商品・サービス」と「下のランクの商品・サービス」を併せて用意する、もしくは2つの選択肢で迷っている場合に、あえて見劣りする第3の選択肢を『おとり』として提示することで、消費者の意思決定をより誘導(=デコイ)しやすくなる心理効果です。
この『おとり効果』(デコイ効果)』は行動経済学では別名、吸引効果や非対称優性効果、対称的支配とも呼ばれ、用いることで購入をより強く後押しすることができるようになります。
■デコイ効果が実証された実験
◆エコノミスト誌の購読に関する実験
マサチューセッツ工科大学のダン・アリエリー博士が2009年に実施した、行動経済学者のダン・アリエリー 氏のベストセラー『予想通りに不合理』で紹介された実験例です。
エコノミスト誌の購読を促すサブスクリプション広告の画面において、以下の3つの選択肢がありました。
この3つの選択肢を見てみると、②の「雑誌版エコノミスト誌の定期購読」と、③の「雑誌版とWeb版両方のエコノミスト誌の定期購読」が同額の125ドルなので、③の「雑誌版とWeb版両方のエコノミスト誌の定期購読」の方を契約した方が、オトクである、というのが陥りがちな「予想通りの不合理」な考え方と指摘しています。
学生に対してどの選択肢を選ぶかをインタビューしてみると、以下のような結果になりました。
誰も②の「雑誌版エコノミスト誌の定期購読」を選ばなかったという結果となり、この選択肢の存在が無意味に思えますが、②の選択肢を排除してヒアリングした場合、以下のような結果になりました。
つまり、②の「雑誌版エコノミスト誌の定期購読」を含めた3つの選択肢を提示することで、学生が選択する確率を操作し、売上を伸ばせることを証明したという実験です。
■『デコイ効果(おとり効果)』の基礎となる心理効果
ちなみに、デコイ効果(おとり効果)は、『ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)』を応用した心理手法として知られています。
『ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)』とは、3段階の選択肢があるとき、人間は真ん中の選択肢を選びやすいという心理的傾向のことです。
日本では『松竹梅の法則』と呼ばれており、「松」「竹」「梅」の3つの選択肢がある場合、「竹」が選ばれやすいという傾向です。
■ビジネスシーンでの活用例
◆スマホを販売する場合
スマホを販売する際、以下のような選択肢を提示するとします。
スマホAは容量が1番低く価格も1番安い、スマホBは容量が1番高く価格は2番目に高い、スマホCは容量は2番目に高く価格は1番高い、という製品です。
この例の場合、当然ながら「スマホC(容量は2番目に高く価格は1番高い)」が選ばれることはありません。
ですがこの「スマホC」という選択肢を加えることにより、「スマホB」の魅力を高めることになります。
つまり「スマホC」が「スマホB」を選びやすくする「おとり」「引き立て役」として機能し、消費者の意思決定を変化させる可能性が高まります。
◆お弁当を販売する場合
例えば、販売している¥400のお弁当と¥700のお弁当の2種類のうち、¥700のお弁当の方をより多く売りたいと考えていたとします。
安価でコスパを重視する人は¥400のお弁当、お財布に余裕があって満足感の高いものを食べたい人は¥700のお弁当を選ぶと想定されます。
そこで、¥700のお弁当よりも高い¥1,000のお弁当を販売します。すると、これまで¥400の1番安価なお弁当の売上が高かったのが、¥700のお弁当の売上が伸びるということがあります。
理由としては、「3つ」の選択肢があることで、安すぎるのは不安、高すぎるのはちょっと手が出せない、と考えて中間の価格帯である¥700のお弁当を選ぶ人が増えるからです。
この例は、あえて「¥1,000のお弁当」をおとり(当て馬)としてラインナップに加えることで、より販売したい「¥700のお弁当」へ購買者の意識を誘導するというケースです。
◆プレゼンシーンの場合
社内・もしくは商談先でプレゼンテーションを行う場合、1つの提案では不満があると決まるケースは稀です。
ですが、2つの提案でもいずれが良いのか悩んでしまい、結論をなかなか出してもらえないことも。
そこで、あえて「捨て案」を併せて提示することで、勧めたいプランが通りやすくなる可能性が高まります。
■『デコイ効果(おとり効果)』を活用する際の注意点
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この続きでは、『デコイ効果(おとり効果)』を活用する際の注意点について解説しています。
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BtoBマーケターより。