バイト
バイトの先輩に最近よく怒られる。僕は高校を卒業した3月ごろから近所のスーパーでバイトをしている。だいたい5か月ほど経ち仕事にも慣れてきた。仕事に慣れたなら怒られることはないだろうと思われるかもしれないがそれは違う。こちらが慣れてきたということは向こうも僕に慣れてきたということだ。そうなると向こうは僕に厳しくなる。今までは許されていたミスも最近では怒られるのだ。
スーパーと言っても部門が色々分かれている。僕が働いているのは揚げ物や弁当などの惣菜を扱う惣菜部である。僕の仕事はだいたいが清掃業務であるが、惣菜はその日に売り切らなければいけないので、値引き作業も手伝うことになる。ここで僕は怒られる。
値引き作業では、多く値引いても売れすぎてしまうし、少なく値引いても全然売れないので、うまくちょうど良く値引かなければいけない。つい先日、値引きミスで商品がめちゃくちゃ残ってしまった日があった。この日は清掃作業がうまく終わり、値引き作業に時間を使えたので、少なく少しづつ値引く作戦だったが、お客さんが全然来なかったので売れ残ってしまった。これは怒られる。しょうがない。何も言い返せない。だって俺が悪いんだもん。
その日はショックをうけ、トボトボと肩を落として帰ったがこのままじゃいけない。次の日もシフトが入っていたので、今日中に切り替えて「明日は同じミスはしないぞ」とオレンジジュースをがぶ飲みして、おなかをタプタプにしてその日は寝た。次の日、シフトの時間5分前にしっかり準備して仕事場に入ると、目が合った惣菜部のマネージャーに「じゃあ、今日は焼き鳥場の清掃を30分で頑張って終わらせてみようか」と言われた。
「えっ」
僕は心の中でめちゃくちゃ驚いた。こんな初心者みたいなこと言われます?確かに昨日、僕はめっっちゃくちゃミスしました。これはもう何も言い返せないです。めっっっっちゃ僕が悪いです。でも、「これは値引き作業のミスであり清掃作業はそこそこできるようになっているし、昨日も清掃作業はちゃんと終わらせられましたけど!!!」と心の中で叫んだ。
ということがありました。この経験が意外と何回もあるんです。あの一連の流れを何度リピートしたことか。なんでなんだろうと考えてみて、ある結論にたどり着いた。多分人間の記憶には失敗の記憶の方が鮮明に残るのではないだろうか。思い出してみれば、僕も部活や勉強などで犯したミスはうまく忘れられず、リベンジしようとした時に走馬灯のようにフラッバックすることがある。そして、その走馬灯がフラッシュバックした時、必ずと言っていいほど同じミスを繰り返してしまう。これはおそらく脳みその問題で自分にはどうすることもできないと思う。ここで、僕はあることを思いついた。もし、失敗の記憶がフラッシュバックしてきたら、その後に成功の記憶を上書きすればいいのではないだろうか。成功の記憶が鮮明な状態で残っているようにすれば、同じミスをすることはないだろうし、なにより楽しい気分になれる。だから、僕は成功した時の記憶を絶対に忘れずにいつでも上書きできるようにしようと思う。
よし、じゃあバイト先の先輩に僕が成功した時の記憶を上書きできるようにしなければ!
えっ?どうすればいいの??