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お前は死なない。大丈夫。

「おぉ、まつくらぁ、よく来たなー」と恩師の70歳バースデーパーティー。
20年前、僕の人生を決定づけた後藤繁雄先生の誕生日だ。周りは錚々たるメンツ。70歳になったけれど、逆に10歳くらい若返ってるように見える。
怪物みたいな老人に仕上がっている。強い強い。

19、20歳の松倉は焦っていた。
周りはまだ何者でもない人たちで溢れ、そのまま何者でもない人として社会に吐き出されていく未来を想像して不安が優っていた。失礼な話だが、僕にはキャンパスライフを謳歌する学生たちが、取り過去の限られた時間をただ闇雲に消化していく風景に見えてゾッとしたのだ。

北海道の田舎からでてきた自分にとって、腹ペコサブカル探求やろうみたいな若造で入学した大学では満足いかず、他の大学で面白そうなものがあれば覗きに行ったりと自転車漕いで京都中をうろうろしていた。

そんな中、戦友のような古い繋がりの小菅と出会い(丹波篠山でアーキペラゴという店をやっている)一度、大学遊びにおいでよという誘いで潜り込んだのが後藤繁雄先生の講義だった。

最初は、後ろの方でバレないようにこっそり。
でも講義に終わりには、叩き込まれる知識の面白さと知らない世界のクリエイティブやアートの話にどっぷり魅了され、講義終わりに直接交渉。
「自分、潜りなんですが講義めっちゃおもしろかったです。また受けていいですか?」
という今それやったら怒られるんだろうなと思うが直接交渉し、「お前、おもろいやんけぇ」と快諾。結果、卒業までほとんどの講義を受けたというイレギュラー卒業生となった。

編集、写真、アート、デザイン、プロデュース、そしてそれらを踏まえて世界を未来をサバイバルしていく技術を叩き込まれ、みんなが知っている今の松倉のような大人が誕生している。
人生の分岐点でもあり、始点でもある。あの時、小菅の誘いに乗らなかったら、今の自分は存在しないだろう。

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782字
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