見出し画像

【全文公開記事】プロジェクトはどうつくられているのか?

気がつけば8月も半ば。月初の全文公開記事が遅れ倒しました。
7月末に渋谷サクラステージの「404 Not Found」が開業しました。

1,2年ほどの仕込み期間を経て無事に開業。
全てが完璧にできたかというより、熟練のカテゴリ違いのプレイヤーたちが集まり、独自の作り方でつくったというのが正しい。

最近、至る所で「どうやってプロジェクトを作っているのか」というHOW DO YOU MAKE IT?という問いが多いのでもうイベントにしでもした方がいいかもしれない。

今回は、松倉視点でこの404 Not Foundがどのように出来上がったのかの裏側を超シンプルにまとめてみる。この方法が正解だというわけじゃないことを念頭に置いといてほしい。しかし、既存に公開されている作り方通りに作ればそのようになるかと言われると決してそうじゃないので参考までに。

最初に何をした?

松倉join前にこの構想自体は動いていた。第三者的立ち位置で一度話を聞いて、つまりはこういうことかという自身の意見を重ねる。松倉個人のスペックでいくと限りなく少ない初期衝動の情報でもそれをグワッと展開して解像度は低いながら、実現したい未来を言語化することができる。そのスキルを使って「つまりこういうことだよね」の答え合わせをする。

大切なことは何か?を明確にする

ディティールではなく、このプロジェクトの根底となる「大切なもの」をチームメンバー全員が納得できる言語化をする。
今回の場合、会話の中で既に言葉あり「渋谷、最後の空き地」「遊び」という2ワード。最も過密な渋谷という都市に空き地を作り、そこで遊ぶというシンプルなストーリーラインが出来上がる。大切なのはこのタイミングでズレを極力無くしていくこと。意見が言える人、言えない人もいる。全ての人にどのようなシチュエーションでもいいので対話をすること。ここを蔑ろにすると後で大きなほつれになる。

役割を明確にすること

小規模、中規模であれば領域を横断してフォローし合うのが松倉の流儀だが、大型になると勝手がちがう。大きなことをなすためにはより多くの強い個性的な仲間が必要になる。その上でみんな仲良くでは厳しく(仲が良いいに越したことはない)それ以上に「あなたの責任領域はここ」というの明確にする必要がある。デザイン、イベント、運営、フード、音楽、アートなどなどプロジェクトに必要な側面のキーマンを必ずアサインする。今回は運営以外が席が空いてる状態でプロジェクトスタート。チーム共通で運営のボスが必要だということで人探し開始。
普段、小規模・中規模の案件が多い人は最初ここのルール激変に驚くはずだ。なぜなら見渡せる範囲の仲間達で作れたことが、そのリソースだけでは実現できないからこそ、預け合う≒頼り合う信頼関係の構築というものが欠かせない要素となる。

わからない!と最速で共有する
むずかしい!も最速で共有する
課題は全てのメンバーが共有知としてもっておく

分散した責任領域でそれぞれのチームが動いていくとプロジェクトリーダーに対して、どうします?と都度相談を入れているとリーダーがパンクする。
正しいリレーションにおいては、自身の責任領域において自己の責任で施行し考えをまとめ実施案を固める。それを各リーダーが持ち寄りぶつけ合う。決済(答え合わせ)をそこで取り、ズレがあれば都度修正する。
全体においてわからない箇所や難しい箇所は細部に落ちれば落ちるほど発生する。そこを自身の思考で考え、自身の判断をぶつける。これをやらずに意識できていない人は「これどう思います?」という質問ばかりをしてくる。これは残念ながらプロジェクト制作自体を理解できていない問題。まずは足を止めて自分の意見をもつこと。これがない人との対話はチーム全体の足並みを遅れている誰かのために速度を落とすことになる想像ができていない。

自分のプロジェクトでも「松倉さん、どう思います?」という質問に対しては、「あなたはどう思っているのかを先に伝えてください」としている。そうでなければ判断できる人に判断を委ねるだけとなり、その人はプロジェクトには不要だ。それぞれの思考、気づき、クリエイションを混ぜ合わせて作り出すのがプロジェクトメイクだ。気をつけよう。

もちろん100%は目指すが、
どれだけ努力しても80%が現実ライン

小規模・中規模であれば、100−120%を目指すことはできる。
しかし、大型かつ施設系になると現実的には80%ぐらいの着地が現実的だ。これの難しいのが予算やスケジュール様々な要因があるが、運用が開始される中で見えてくる領域がかなりある。どれだけ想像しても実物を見なければ見えないことが多い。なので完璧にできた!と開業するのではなく、運用する中で想像を超える量の調整作業が発生し、やっと100%に到達可能になると思っておいた方がいい。

80%を目指せばOKではないことは注意が必要だ。
100%をしっかり目指しても開業すると新たな課題の余白がぐんと広がるということだ。なのでできる限りのことを全てしても未達なことに気づくことが多い。大切なのはそこで新たに生まれた課題を前向きに改善していける心の余白を持った上でスタートできるかだと思う。

定例会議も大事だけど、
リアル合宿はやっといた方がいい

資料上の空白を埋めていくことは定例会議でもできる。
しかし、心の隙間や疑問や熱量というものは会議室でも埋まらないし、オンラインでも難しい。
このあたり、チームメイクをする上でしっかり温度が流通しているか。
意外とチームの状態を見れる人がいないケースもあるので誰がコンダクター(指揮者・鼓舞する人)か裏で声かけておいた方がいい。僕のプロジェクトの場合はこれをやるケースが多い。この404チームは全てのメンバーがこの素養をもっていたので自然派生的に合宿や飲み会が生まれている。
リアルで対話することはお互いに火をくべあうことだ。クレバーにスマートにやるのが今の時代かもしれないし、この方法は古いやり方なのかもしれない。
しかし、これで達成できることがある。手法の古さ、世代の違いなど関係なく、不要なものは足していき完成度を上げていく。方法は問わない。僕らが作らなければいけないのは圧倒的な結果だ。

おわりに

本当もうダイジェストしか書いていないが30歳のころから、「作り方から作る」ことをしない限り、圧倒的な結果を生み出すことは難しいと思っている。なので、毎回オーダーメイドシューズをつくるような感じで大変だが、作り方から考えるとかなり遠くまでいける。

本プロジェクトも「遊ぶ」ことを大切に作り続けている。
最初は日曜日のおやつの時間に会議しようとした。平日は仕事モードすぎる。集まるのも大変だ。じゃあ、休日のおやつの時間にしようみたいな感覚だ。今、あなたがやっているプロジェクトでおこなっている作り方は正しいか。もっといい新しい方法があるのではないかという疑問の目で一度見てみるといい。

ここから先は

0字
このマガジンを購読すると時々心が楽になったり、スーパーどうでもいい日記もあるんですが回り回って松倉のビールに変わったりお会いできたらビールを奢ってお返しします。

🍺ビールに代わる日記🍺

¥500 / 月 初月無料

プランナーとして考え続ける日々や経営しながら苦悩する日々をつらつらと書いていきます。読者の質問には全て答えていこうと思っています。 頻度:…

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。