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子どもたちにもっとセーフなベースという環境を

子供にとって望ましい環境について、英語では「safe」という単語が良く使われます。英語では必ずしも物理的に危険から遠ざけるということだけでなく、「無条件にそこにいられる」というニュアンスが含まれている。(『子育てベスト100』)

千葉県で起きたとても残念なできごと。
虐待した父親は「自分のしたことは虐待だと思う。正当化するつもりはない。」しかし、「本当のことを知って欲しい」という。

本人への面会や家族への取材を重ねる中で印象に残ったのは、両親と妹とともに彼が育った家庭「あるべき家族像」へのこだわりだ。

「理想の家族」

しかし実際の生活は双極性障害を抱えた妻の代わりに、ワンオペ状態で、仕事、家事、育児をこなす状態で余裕がなかった。
そんな現実の中で理想と現実の落差にもどかしさを感じ、焦りと怒りが、成長途上で思い通りにはならない心愛さんに向かったのではないかと記者は想像する。

人を「悪魔」に変えてしまう芽は、遠い世界にではなく、私たちのうちに潜んでいる。だからこそ、同じ世界に生きている彼が口を開く限り、その言葉に耳を傾けたい。(3/30中日新聞「こう見る」から)

この事件のニュースだけを知ると、「あり得ない」、「とんでもない親だ」、「仕事のストレスが子供に向かったか…」など、父親を悪魔に変えてしまった経緯は飛ばして思いがちだ。

もちろんこの事件自体に同情の余地はない。しかし、その背景にあるものを、単純に個人的な問題で片付けていいのだろうか?

この経緯を知ると、虐待までは…という思いの一方で、我が子に理想を押し付けた経験のない親の方が少ないのではないか。

我が子の「安全」を思いながら、家では「safe(無条件でいられる場所)」を与えられない。
我が子の将来の安定を望み、このままで大丈夫なのかという不安を解消するために、家では「safe(無条件でいられる場所)」を与えられない。

このような親子間の事件、親子間でなくても加害者の背景を考えるたびに、今まで続いている「義務教育」に疑問を持ち、早急に改革の必要があると思う。

お金の負担は少ないかもしれないが、むしろお金より貴重な時間、しかも成長過程の9年間という莫大な時間を投じている。

その9年間のうち、本当に自分の好きなことをしている時間はどれくらいある?

学校の授業とは別に、家では学校の宿題。そしてさらに学習塾(小学生40%、中学生60〜70%が通っている)。この教育課程というレールに乗っていなければ...という不安は、子を思うほとんどの親が感じているのではないか。

その思いが「safe」な場所をなくしてしまっていると考える。

野球で「セーフ」であれば、そこのベース(基地、根拠地)に居られる。そして野球ではホームベースの他に3つもベースがある。

子どもたちにもっと多くのsafeなベースという環境をあげたい。

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