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すべての子どもはアーティスト〜絵画・造形〜習いごと#3

「すべての子どもはアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になったときにもアーティストのままでいでいられるかだ」(パブロ・ピカソ)

ビジネスだろうと学問だろうと人生だろうと、「自分のものの見方」を持てる人こそが、結果を出したり、幸せを手にしたりしているのではないでしょうか?

じっと動かない1枚の絵画を前にしてすら「自分なりの答え」をつくれない人が、激動する複雑な現実世界のなかで、果たしてなにかを生み出したりできるでしょうか?

『13歳からのアート思考』には、これからの時代に「美術」の持つアート思考の大切さが述べらている必読書です。以下抜粋です。

1、アート思考

アーティストのように考えるとはどういうことなのでしょうか?

①「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、
②「自分なりの答え」を生み出す、
③それによって「新たな問い」を生み出す

アート思考とは、まさにこうした思考のプロセスであり、「自分だけの視点」で物事を見て、「自分なりの答え」をつくりだすための作法です。

アート思考を構成する「3つの要素」

表現の花・・・アートの作品

興味のタネ・・・「興味」「好奇心」「疑問」などのアート活動の源

探究の根・・・アート作品が生み出されるまでの長い探究の過程

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「アート」という植物が養分にするのは、自分自身の内部に眠る興味や個人的な好奇心、疑問。アート活動を突き動かすのは、あくまでも「自分自身」なのです。他人が定めたゴールに向かって進むわけではありません。

「アートという植物」は、地上の流行・批評・環境変化などをまったく気にかけません。それらとは無関係のところで「地下世界の冒険」に夢中になっています。

2、「正解を見つける力」から「答えをつくる力」へ

「数学」と「美術」の対比(あくまでも数学が不要だと主張するためではない)

数学には「太陽」のように明確で唯一の答えが存在しています。必ずどこかに揺るぎない1つの答えが存在するというのが、この教科の基本的なルールです。数学はこうした「正解」を見つける能力を養います。

一方、美術が扱うのは「雲」です。空に浮かぶ雲は常に形を変え、一定の場所に留まることもありません。子どもは空に浮かぶ雲を飽きることなく眺めながら、「ゾウがいるよ」「あれ?巨人にも見える」「あっ鳥になった!」などと「自分なりの答え」を作り続けますよね。

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「美術」の本来の目的は、このように「自分なりの答え」を“つくる“能力を育むことなのです。

3、見通しがきかない時代に必要な力

VUCAワールドと形容される現代社会。あらゆる変化の幅も速さも方向もバラバラで、世界の見通しがきかなくなったということを意味しています。

そんな時代を生きることになる私たちは、「『太陽』を見つける能力」だけでは、もう生きていけません。むしろ、人生の様々な局面で「自分なりの『雲』をつくる力」が問われてくるはずです。

子どもにとっても大人にとっても、今まさに最優先で学ぶべきは、他でもなく「美術」です。

4、「答えが変化すること」を前提にした考える技術

マティスの代表作。

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この絵は、当時の評論家からは「野獣のような色彩のひどい絵だ」と言われていました。この書で取り上げられた6つの作品は、いずれも発表当時には酷評されていました。しかし、現代においては「すばらしい」作品として世界中で評価されています。

数学の答えは「変わらないこと」に価値がありますが、アートの答えはむしろ「変わること」にこそ意味があるのです。

つまり、「表現の花」として生まれたアートがどんなふうに見られようと、またお子さんが描いた絵が「ん?」と思っても、それがその時感じた表現です。絵画・造形教室では、結果としてのアートを学ぶのではなく、その制作過程をいかに、自分の持っている種から探究する過程を楽しんでいるかが大切なのです。

表現の花はいつ花開くかはわかりません。もの思いにふけったり、何かに夢中になることが子ども時代に大切な時間ではないでしょうか。

周りと比べることなく、自分なりの問いをたてて、自分なりの答えを出す作業を続ける。その時は周りに認められなくたっていい。失敗は何回したっていい。いや、本当は失敗なんてないのだろう。その時々で自分なりの答えを出していく。

人生は自己表現の連続だと思う。子ども時代に培った「探究の根っこ」は、何歳になっても尽きることのないワクワクする興味を持った人生をもたらすに違いない。



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