弱みは強みに変わるのか2 弱みを強みに変える手順:-を0に、0を+に
前回の記事で、単に「弱みを強みに変える」ことは難しいという考えを述べました。結論から言うと、純粋な「弱み」が「強み」に変わることはないと思っています。
例を挙げたいと思います。図はマーケティングのポジショニングを表したものです。
図の価格は製品やサービスの値段です。ベネフィットは利益や価値、もたらされる効果のことです。価値が少ないのに値段が高い製品やサービスは選ばれません。つまり純粋に「弱み」であるものが簡単に「強み」に変わることはありません。
基本的に経営戦略では、競争優位をいかに確立するか(競争優位の戦略/マイケル・E・ポーター)が重要になるわけですから、競争劣位である状態自体が問題です。「弱み」を無くし「強み」を確立することが経営戦略の基本ということになりますから、そもそも「弱み」を放置している時点で問題なのです。
競争優位を確立するためには、「ヒト」「モノ」「カネ」を潤沢に整えなければなりません。しかし実際には中小零細企業だけでなく、大企業においても容易なことではありません。
ではどうしたら「弱み」が「強み」に変わるのでしょうか。今回は2つの方法を挙げたいと思います。
1.価値を再確認する
ビジネスの逸話で、「エスキモーに冷蔵庫を売る」という話があります。
冷蔵庫を「冷やすための箱」ではなく「凍らない箱」と説明することで売ることができたという話です。冷蔵庫自体の価値や機能が変わったわけではありません。要は顧客にとってどのような価値が提供できるかを再確認したという話です。大切なのは、顧客が何を求めているかを的確に判断することです。
とはいえ実際には、なかなかこんな話のようにはいきません。今の世の中は多種多様な無数の製品やサービスが存在します。インターネットで調べれば、より安いものを簡単に探すことができます。よほどのことがないかぎり、他より優れた点を見つけることは困難です。そのため多くのケースで行っているのが2つめの方法です。
2.−(マイナス)を0(ゼロ)に、0(ゼロ)を+(プラス)に
例えば受験で考えてみましょう。苦手な科目を得意科目に変えることはとても難しいです。しかし得意な科目を伸ばすことは、それほど難しくはありません。苦手を克服するということは、なにも得意にする必要はありません。苦手な科目(マイナス)を平均(ゼロ)にして、苦手ではない科目(ゼロ)を得意科目(プラス)に変えればよいのです。
僕が尊敬する経営者の方がよく「特別なことをしなくても、当たり前のことを当たり前に行えば儲かる」と仰います。文字通り当たり前のことなのですが、これがとても難しいようです。
しかし考え方を変えれば、これは全てのマイナスをゼロにするということになります。どんな企業にも得意な事(プラス)もがあれば不得意な事(マイナス)もあります。これは大企業でも同じです。つまり無理に「強み(プラス)」を作らなくても、「弱み(マイナス)」を無くすことで、それ自体が「強み」になるわけです。
この時、例えば人手が少ないから難しいと考えずに、少人数だから早く教育できると考えれば、いち早く弱みを克服し、文字通り「弱みを強みに変える」ことになります。
まずは−を0に、そして0を+に変えることを考えてみてください。