世界中の研究機関が効果を認めた「薬を使わない認知症予防法」が日本上陸
著者:平松 類/提供:SBクリエイティブ
人の名前が出てこない。
会話に「あれ」や「それ」が増えた。
ぼんやりと考えがまとまらない。
「認知症にならないか不安……。」
日々診察をしていると、こんな切実な声を耳にします。
不安を感じて、さまざまな「脳トレ」を試してきた方もいるでしょう。
でも、うまくいきましたか?
不安はなくなりましたか?
計算トレーニングやあれこれ暗記するのが面倒で長続きしなかったり、本当に効果あるのか疑問を感じたりと、けっきょく不安は解消されなかったという人も多いのではないでしょうか。
そこで紹介したいのが有効視野を鍛える「脳知覚トレーニング」という方法です。このトレーニング方法には2つの大きな特徴があります。
・世界中の研究機関で科学的に効果が実証されている
・1日3分、マークが散らばった特殊な写真を見るだけ
順番に見ていきましょう。
世界トップクラスの研究機関で効果が実証
「脳知覚トレーニング」は、目を介して脳を鍛えるトレーニングのうち、有効視野のトレーニングだけを示した呼称で、多くの科学的エビデンスに基づいています。
ハーバード大学、フロリダ大学をはじめ、世界トップクラスの研究機関で、脳全体の活性に有効だと実証する試験結果が報告されています。
特に認知症予防に関しては効果絶大で、南フロリダ大学の研究によると認知症の発症率を29%低減することがわかっています。このほかにも、
・一度やると効果が10年間持続(南フロリダ大学)
・認知機能が3~4年若返る(アイオワ大学)
・交通事故率が50%減少(アラバマ大学)
・有効視野の低下が運転リスクを拡大させる(ハーバード大学)
などの研究結果が報告されており、薬を使わない認知症予防法として、欧米では数年前から一般向けにも普及しています。
では、なぜ有効視野を鍛えると認知症が予防できるのでしょうか?
有効視野とは、適切に対処できる視覚の範囲とその能力のことです。たとえば、「運転中に目の端に映る歩行者を認識しながらブレーキを踏む能力」も有効視野の能力になります。
この有効視野が広がるほど、脳に送られる情報量が増加し、脳がより刺激され活発に働くようになります。
実際に「脳知覚トレーニング」で有効視野を広げた人の脳を見てみると、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉両側の小脳といった脳全体が明らかに活性化しているのがわかっています。
1日3分、マークが散らばった特殊な写真を見るだけ
それでは、トレーニング方法を紹介しましょう。
具体的には、以下のような写真を使用します。
写真のサイズは一辺の長さが約18cmを想定しているので、タブレットやパソコンでそのぐらいのサイズになるよう調整して表示してください。
準備ができたら、写真を見ずに、あらかじめ次のクイズを読んでおきます。
Q1 赤の円上で1つだけ違うマークはA~Dのどのゾーンにある?
Q2 赤の円上で1つだけ違うマークは何のマーク?
Q3 緑の円上で1つだけ違うマークはA~Dのどのゾーンにある
続いて、目と写真の距離をだいたい20cmに近づけます。中央にある「LOOK!」を両目で見て、そこから視線を動かさないで周りのマークを見ます。そしてクイズに答えます。
答えがわからなかったり、間違えていても構いません。正解するかどうかが重要ではなくて、判別しようとすることが大切なのです。
余裕がある人は、各円の違うマークがあるゾーンをパッと素早く判別してみましょう。スピードを意識すると、より効果的です。慣れてきたら、1日3分以上取り組んでも問題ありませんが、体調に異変を感じたら、直ちに中断してください。
「脳知覚トレーニング」は、認知症予防だけでなく、記憶力や注意力、集中力の向上にも効果がありますので、ぜひ取り組んでみてください。
なお、書籍の『1日3分見るだけで認知症が予防できるドリル』では、脳知覚トレーニングの写真を28問収録しています。1日1問ずつト4週間分が用意されていて、本のサイズは1辺が18cmの正方形になっているので、そのまま持ち運んでどこでもトレーニングをすることができます。また、掲載している写真の赤・緑2つの円は、気づかないレベルで毎週少しずつ大きくなっていきます。続けることで、あなたの有効視野も一緒に成長していくのです。
このほかにも、新聞紙や10円玉・100円玉など、身近なモノを使った脳知覚トレーニングの方法も紹介しているので、興味がありましたら読んでいただけますと幸いです。
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