星の王子さま、読後
『星の王子さま』を読みました。タイトルは知っていたけれど、児童書ということもありなかなか読む機会を作らずにいました。
しかし読んでみれば、そのストーリーから著者が伝えようとすることの奥深さを考えさせられました。完全にこの本を自分のものにするには、一度読んだだけでは足りないなと思ってしまいます。
一読目の気持ちをここで記しておきたいと思い、記事にしました。
本当に大切なもの
本当に大切なものは目に見えない。
星々が美しいのは、ここからは見えない花が、どこかで一輪咲いてるからだね...
砂漠が美しいのは......、どこかに一つ井戸をかくしているからだね......
話の中で出てくる言葉です。
王子さまが住む星には、一輪のバラがいました。王子さまはそのバラをたくさんお世話するのです。お水をやったり、風を凌いだり、虫から守ったり。
長い時間をともにした王子さまとバラでしたが、ある時王子さまは星を出ることを決めます。
主人公はパイロットで砂漠に不時着したところで、7つ目の惑星、地球に旅してきた王子さまと出会いました。
出会ってからは、王子さまはそれまでの旅の話を主人公に聞かせ続けました。
結ばれる絆
僕ら一人一人の人間は、地球に生きる75億人のうちのたった一人でしかありません。僕らの家族や、恋人、友人など、どの人もそれは同じです。
しかし僕らがそのような人を思う時、他の75億人に対して思う感情とは違った、特別な思いを抱きます。
王子さまが世話したバラも、主人公が話を聞いた王子さまも、この世にたくさん存在するバラの中の一輪の花、または75億人存在する中の一人の人間に過ぎません。
しかしその一輪のバラや、一人の人間が特別なものとして映るのは、もしくは僕らが家族に対して特別な感情を抱くのは、それらにかけた思いがあるから、長い年月を通して、絆を結んだからです。(本の中では「なつく」という言葉も用いられてます。)
同じように、
自分のペットがどこのペットよりも可愛く見えるのは、親が親バカになるのは、彼らの間に絆があるからです。
出会い、別れ
人里から数マイル離れた砂漠地帯に不時着したパイロットである主人公は、様々な星を旅してきた王子さまと出会います。
ストーリーを大幅に省略しますが、一年後に彼らは別れないといけなくなります。王子さまが彼の元いた星に帰るのです。
最初に出会ったその時から、王子さまの話を散々聞かされていた主人公ですが、別れの時には2人の間には絆が生まれていました。
別れを惜しむ主人公に対して王子さまは、笑う星々をあげると言いました。
「きみが星空を見上げると、そのどれか一つに僕が住んでるから、そのどれか一つで僕が笑ってるから、きみには星という星が、全部笑っているみたいになるってこと。きみには笑う星々をあげるんだ!」
王子さまとの別れをきっかけに、主人公は、星々を見る時には、王子さまがどこかの星にいるということを想像することができるようになります。
ただの億千の星々が浮かぶ空が、大切な人をどこかに隠す空になるのです。
それを知っていると、平凡だった空が、特別な空へと変わっていきます。
見えないもの
端から見れば、王子さまと一輪のバラや主人公との関係、または僕ら一人ひとりが育んできた他者との関係は、単なる人と植物、人と人でしかありません。
僕らが目で見ることができるのはここまでです。
しかし本当に大切なものは、目に見えない。
人と人との間で結ばれた絆は、世界の見方を変えてくれると、この本は伝えてくれているような気がします。