【英語】executive summary
今日ご紹介する英語フレーズは、"executive summary" (読みは「エグゼクティブ・サマリー」)。
オンライン辞書「英辞郎」にて、このフレーズを検索してみると、以下の解説が出てくる。
この解説によると、要は、事業計画書などのビジネス提案の概要ということが本来の意味のようだ。
確かに、事業提案書や、ビジネス上の報告書、稟議書などのフォーマルな長文には、その冒頭に、"executive summary" と題した短い要約が付されていることが多い。私自身は、数十ページや100ページ超の文書の冒頭に、1~5ページくらいの要約が付されているものをよく見る。本文のボリュームとの割合からすると、かなり短く絞り込んである。
しかし、外資系企業に勤めていて、この "executive summary" というフレーズが、そういうビジネス上のフォーマルな文書のみならず、外国人ビジネスパーソンの、普段のカジュアルな会話で多用されていることに気づいた。しかも、けっこう頻繁に、気軽に使われている。単に、何かについての「大まかなまとめ」といった語感だ。
でも、それなら単に "summary" だけではいいではないか。"executive" (「エグゼクティブ」)という形容詞を、どうしてわざわざ、"summary" の前につけるのだろうか。この点が疑問だった。
この "executive" という形容詞には、組織の幹部とか、重役とか、いう意味がある。「エグゼクティブ」とそのままカタカナ的に発音して、日本語でも意味が通じるだろう。特に重役に見せる目的があるわけでもない文脈でも、"executive summary" を作れだの、出せだのと言われるのは、どうしてだろう。不思議に思っていた。
そして、このたび、オンライン英英辞書「Cambridge Dictionary」を検索してみた。すると、次の2つの意味がヒットした。
こちらの解説のほうが、私の肌感覚にフィットした。
この解説によると、要は、何らかの文書や会話について、最も重要なポイントを短くまとめたもの、ということだとしている。
冒頭の「英辞郎」の英和辞書機能で解説されていた、「事業計画概要」とか「ビジネス文書の概要」というニュアンスとは違って、かなりカジュアルである。ビジネスに関するものでなくても良さそうだし、研究でもいいし、文書ですらなく、スピーチやディスカッションなどで話されたことも含むようだ。
では、どうしてこれを、単なる"summary" ではなく、"executive summary" と呼ぶのだろう。
その点を解説している辞書や記事はないか、色々と検索してみた。すると、次のサイトがヒットした。
この解説を読んで、私の疑問が一気に氷塊した。
エグゼクティブと呼ばれる組織の偉い人たちは、長い文書やスピーチをじくりと聞く時間がない。だから、そのような人たちに、短時間で概要を理解してもらうための重要なポイントの短い要約を、"executive summary" と呼ぶようになった、ということだと理解した。
確かに、数十ページのワード文書とか、100枚を超えるパワーポイントのスライドとか、そういう膨大な情報を、忙しい重役たちが処理できるわけはない。エグゼクティブに全部読んでもらうのは不可能だから、重要なポイントだけ手短にまとめて説明しよう、という行動になるのは、外資系企業では日常のことだ。
ただ、誰もが忙しくなってきている現代においては、相手がエグゼクティブであろうがなかろうが、偉かろうが偉くなかろうが、誰かに、長い文書や膨大な情報を検討してもらおうとするならば、"executive summary" を提供するのは、もはや一般ビジネスパーソンのビジネスマナーではないかと、個人的には考えている。
ご参考になれば幸いです!
私の英語系の記事へは、以下のリンク集からどうぞ。
Kindleで出版中の私の電子書籍2冊(国際会議の英語と採用面接の英語についてのノウハウ本)も、よろしければ是非ご覧になってください。Kindle Unlimited対象です。