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新しいきぬぎぬのうた

今度こそ犬になるのが夢だったので夢で犬になったので 見て

ちぎれんばかりに尻尾をふる 透明のそれ ぼく それ ぼくだから

時速四〇キロまで出るらしい本気で逃げてみてくれる? かみころす

楽しいね芝生楽しい芝生楽しいことしかないうんこしたい

雨だというどこにもいけないというぼくは信じないこの眉を見ろ

歯磨きはきらいです歯磨きガムはときどき中身が空洞ひとが住んでる

あなたには花柄よりもチェックが似合うわかってたのに言わなくてごめん

キッチンで水を飲んだよ泣きながら蛇口をひねって嘘のしぐさで

さようなら 覚めない 覚めるくらいなら死ぬ 毛むくじゃらの足がいいんだ

窓のあかりがついているきみが生きているそれだけを確認するため……

おまわりさん捕まえないで迷子じゃない ぼく ひとりで生きていけます

ため息が瞼に落ちるひとりぼっちと きみの前髪わける夢だよ

白いシーツに(眠る)毛皮を優しく(撫でる)レモンの香りが(沈む)

ふたりきり跳ねた夢だけで繋がってトーストを焼いたそれぞれの朝

一晩でぜんぶわすれる愛のことだからもう一度「また会いましょう」

(「あみもの」20号掲載/国東杏蜜)


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