わたしのこと 2
こんにちは。望月さゆりです。
今までとこれからを見つめるために
私をもっと深く知ってもらうために
ライフストーリーを綴っています。
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2 先生
小1で、私の環境は大きく変わった。
もともと自分を出すのが苦手だったけれど、父が亡くなったことで、学校のみんなにあれこれ言われたり注目されたりしないかすごく不安だった。
小1の担任はちょっと風変わりなおじさん先生。
ひげモジャで、休み時間はベランダでタバコをプカプカ、古いフィルムカメラを持っていて。尺八が上手で、校歌の作詞もするような人だった。(とても美しい校歌で、これまでたくさん学校に行ったけど、今でも唯一3番まで歌える)
おじさん先生は、破天荒というか、怒るとこわいけどおもしろい人だった。
体育の授業で「“死ぬまでマラソン”するぞ!」と言い出して、学校を飛び出して町内を一周走って学校に帰ってくるとか(みんな給食に間に合わない笑)
「どうして星は輝くのか?」「なぜ海の水はしょっぱいのか?」など、みんなの出したどんな質問にも答えてくれる授業とか。
なかでも、私は「こころの時間」が好きだった。
たぶん道徳の授業だったんだろう。先生が「いちばん大事なことだよ」と教えてくれた。こころの時間は、深ーいふかーい海に潜っているような感覚だった。みんないるんだけど、しんと静かに、それぞれ自分ひとりだけでいるような。
心っていうものがこれだ、っていうのはわからないけど、内面を見つめるということを最初にはっきりと自覚したときかもしれない。私やみんなの揺れうごく気持ちを先生が言い当てたり、ひっくり返されたりするので、いつもワクワクドキドキしながら感情を味わっていた。
当時、私は引っ込み思案で、友だちと楽しく会話した記憶もない。遠足のお弁当で一人だったとき、先生が声をかけてくれて、いつの間にかみんなの輪に入れていたことがあった。あったかい魔法にかけられたみたいだった。
私はおじさん先生を信頼していたんだと思う。
先生は、父のお葬式にも参列してくださった。
何も言葉を交わさなかったけれど、私の言葉にならない気持ちも、きっとお見通しなんだろうなと、どこか気恥ずかしいようなほっとするような気がしていた。
小1の私にとって、学校という場は
安心できる居場所になっていたんだと思う。
小4になったとき、先生が転勤することになった。もう担任じゃなかったけど、友だちと一緒に渡り廊下でバッタリ会ったときに、先生が、
「さゆりさん、もうこんなに大きくなったんだねぇ」って、タバコを片手に目を細めながら話しかけてくれた。
私は「はい!」ってはにかんで、友だちと外へ思いっきり駆け出した。
先生だけは、ぜんぶわかってくれているような気がして。
鼻の奥がツーンとしたのを覚えている。
不思議なもので、いちばん昔に出逢ったのに、
いちばん記憶に残っている忘れられない先生。
ライフストーリー3へと続きます。
note、はじめたばかりです。
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望月さゆり