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全国初!地場産物の学校給食×YouTube×ICTで漁業振興が成功した5つの理由
「地産地消」というワードを耳にする機会が増えている昨今。
地元の地場産物を思い起こしても、東京で生まれ育った私には残念ながら東京の地場産物がパッと浮かんではこないのだが、昨夏に瀬戸内海の離島、小豆島、豊島のある香川県土庄町へ移住してからは、自然豊かな風景と旬の食材で、季節の移ろいを身近に感じながら過ごす楽しみを知った。
瀬戸内海に浮かぶ小豆島と豊島は地場産物が豊富!
移住してからのこの1年の間に、日常生活や取材で触れた土庄町の旬の食材たち。
そのほんの一部だけを並べて振り返ってみたが、野菜やフルーツから海産物までバラエティ豊富なのが特徴だ。
▼秋
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オリーブの新漬けを作るご家庭も!
こちらは「小豆島のお母さん」こと、我が家の大家さんの手作り
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毎年秋に稲刈りイベントが行われる
小豆島、豊島では米作りも盛ん!
▼冬
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大家さんが自宅の生垣で育てていたゆず
ゆず皮は、お雑煮に乗せていただいた
瀬戸内海の気候は、柑橘類がおいしく育つことで有名。
島内では、みかん、レモンをはじめ、様々な種類の柑橘類があちこちで栽培されており、昨冬は町内の柑橘農家さんを何軒か取材させていただいた。
ありがたいことに冬の間は、ご近所や地元の方からのいただきものが続き、柑橘類を自分で買うタイミングがなかったほど。
▼春
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ふかふかのさやに入ったままの状態のそら豆は初めて!
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鰆寿司、鰆の刺身、鰆のたたきに鰆のアラのお吸い物
旬のお魚がこんな風に楽しめるのも島の魅力
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恒例の春の田植えと秋の稲刈りイベントには
毎年、県外からも多くの参加者が集う
▼夏
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サッと炒めてチャンプルーに
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つい先日、またまた大家さんからいただいた、手作りのタコ飯
約400年ほど前、冬の農閑期にできて、家族の労働だけで作れることから、小豆島で始まったそうめん作り。
「そうめんの島」としても知られているように、今でも様々な製麺所でそうめんが作られていて、自宅で食べ比べるのも楽しい。
小豆島に来てから、我が家のそうめん消費量が格段に上がった気がする。
そして今回、町内の学校給食で全小中学校の児童・生徒に提供された「小豆島|島鱧®︎《しまはも》」。独自の基準を設け、瀬戸内海近海で獲れた鱧の中でも厳しい基準を満たした鱧だけがブランド魚として出荷されている。
鱧のシーズンは、一般的には京都の祇園祭の頃から夏にかけてが旬だと言われるが、産卵を控え栄養をたっぷりと蓄えた秋頃の鱧は、夏の鱧を超えるおいしさだという。
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土庄町の地場産物のひとつ
高級魚ハモの骨切りを贅沢に使ったバターソテーは美味!
瀬戸内の穏やかな気候と広大な土地に恵まれ、農業、水産業、畜産業、また、そうめん、オリーブオイル、ごま油、塩、醤油などの食品製造業も盛んな土庄町は、地場産物がとても豊富な町。こうした旬の食材たちとの出会いが日常に溢れているので、私のような移住者にとってはとても魅力的だ。
そんな自然豊かな環境下で生活している島の子どもたちだが、地場産物や生産者へ意識を向けながら食事をいただくシーンが日常的にあるかというと、実際のところなかなか難しい。また、近年企画された地元のブランド食材については、立ち上げから日が浅いこともあり、島の子どもたちだけでなく大人にまで広まっていないことも。
「土庄町の子どもたちには、地元の食材を食べて育ってほしい。そして、自分達の地元のことや生産者のことも知っていてほしい。」
そんな思いから、土庄町が毎年実施してきた学校給食における地産地消の推進企画。今年7月に実施された学校給食企画では、私が土庄町地域おこし協力隊として携わらせていただいている漁業振興活動もこの企画とコラボさせていただきながら、おそらく”全国初”となる企画に挑戦した。
▼「地域おこし協力隊」とは?
今回は『全国初!離島で地場産物の学校給食×ICT×YouTubeを使った漁業振興が成功した5つの理由』をテーマに、企画成功の理由とその裏側について、イベント報告も兼ねて綴っていきたい。
学校給食における地産地消の推進と食育
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四海漁業協同組合(香川県土庄町)
企画段階の打ち合わせで、土庄町立中央給食センターの三木栄養士から、農林水産省が学校給食での地場産物の活用に積極的であることを伺った。
地域や学校において、地場産物を学校給食で活用する取組が積極的に進められています。
(中略)
地場産物を学校給食に活用し、食に関する指導の教材として用いることにより、子供が、より身近に、実感を持って地域の食や食文化等について理解を深め、食料の生産、流通に関わる人々に対する感謝の気持ちを抱くことができます。また、流通に要するエネルギーや経費の節減、包装の簡素化等により、環境保護に貢献することもできます。
(中略)
さらに、地域の生産者等の学校給食を始めとする学校教育に対する理解が深まることにより、学校と地域との連携・協力関係の構築にも寄与しています。
30代の私たちが学校給食にお世話になっていた頃は、地場産物の活用について、おそらくここまでは謳われていなかったと記憶している。
と言いながら、私が学校給食にお世話になっていた当時からこうした取り組みが全国的にあったとしても、当時の東京で給食として提供してもらえるだけの地場産物は、果たしてどれだけあったのだろう。
「地域のものを、給食で食べることができる」
都会ではなかなか叶わないことだが、食材がとても豊富な小豆島と豊島のある香川県土庄町では、年間の学校給食で、米、玉ねぎ、さつまいも、いちご、小豆島オリーブ牛、海苔、そして、今回の小豆島島鱧®︎など、バラエティに富んだ地元食材がこれまでも児童・生徒たちへと提供されてきた。
また、米や玉ねぎ、さつまいもについては、自分達が田植えや収穫体験した食材がそのまま給食で提供されるというのだから、とっても贅沢!
これがどれだけ素敵なことなのかを子どもたちが気付いてくれるとしたら、それはおそらくまだまだ先の未来のことかもしれないが、こうした場面に立ち会えることで改めて感じるのは、「田舎の子どもたちは新鮮な食材に恵まれていていいなぁ」という羨ましさだ。
全国初!学校給食企画をさらにワクワクさせる試み
前述のように「学校給食に、地場産物を使ったメニューが登場する」という企画自体は、今回始まったことではない。
土庄町では、
・給食提供時に生産者を来賓として招き、生産者の話を伺った後、教室で一緒に給食を楽しむ
・給食時間前に、食材にまつわる紙芝居を児童・生徒が制作して披露する
など、形を変えながら毎年実施されてきた。
しかし、前年度(令和3年・2021年)12月の「小豆島オリーブ牛」学校給食提供企画では、昨今のご時世から「生産者のお話を、動画で観せることはできないか」という相談があったという。
そこで、この動画に出演している、土庄町地域おこし協力隊として畜産振興活動をしている仲間と同じく農林水産課に所属している協力隊の私に、動画制作協力の依頼が。
その際に制作した動画がこちら。
この動画制作に携わらせていただいた際に閃いたのが、「次年度の学校給食で漁業食材とのコラボが叶うなら、子どもたちが見学に行けない漁の現場を取材して、動画で観てもらいたい」ということだった。
学校給食コラボ企画のダイジェスト
まずは、今回の企画の流れを3分ほどにまとめたダイジェスト動画を。
【動画】 学校給食コラボ企画まとめ(ダイジェスト動画)
ダイジェスト動画では、企画の流れを大きく3つのパートに分けている。
① YouTube動画で「漁」を知る
② 動画視聴後、質問を募集
③ 給食時間中は、漁港からYouTubeライブ生中継!
企画から実施までの10ステップ
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小豆島島鱧®︎の魅力をたっぷり詰め込んだ漁業振興企画
企画から実施までは、以下の10ステップを経て進めていった。
下記、見出しタイトル後ろに(☆)の記載がある項目は、取材受入校の土庄町立土庄中学校のみで実施した。
ICTを使用した初の試みであったこと、小学生から中学生まで幅広く配信
対象とした場合に、配信者側の言葉表現(小学生から中学生までが理解できて、楽しめる内容で話さなければならないことなど)の難しさが生じることから、今回は協力校にて試験的に実施する運びとなった。
1.企画立案とキックオフミーティング
今年の春、土庄町から土庄町立中央学校給食センター(以下、給食センター)、地魚ブランド「小豆島島鱧®︎」を立ち上げた四海漁業協同組合(以下、四海漁協)と、「小豆島 島鱧®︎」を給食メニューで提供する企画が可能かどうかを相談。
想定している給食メニュー、納品形態や方法、仕入れ価格(※)について、三者で打ち合わせ。
※実施後の一部報道では「四海漁協より無償提供」とあったが、実際は給食センターが四海漁協より仕入れた。
過去の学校給食の取り組みでは、地元の催し物や屋台で毎回即完売!の、地元民のみが知る大人気B級グルメ、「浜のかあちゃん」こと四海婦人部の手作り「はも天(島鱧のさつま揚げ)」が提供されたことがある。
しかし、この「はも天」や、給食メニュー候補として挙がっていたハンバーグ、つみれなどは、島鱧のすり身(ミンチ)が必要となる上、調理に時間と手間のコストがかかってくる。
今回は、子どもたちにも鱧の食感がよりわかりやすい切り身を使って、鱧自体の風味を味わってもらいやすいものを出してみたらどうか。
そんなアイデアが挙がった後に給食センターの栄養士さんからご提案いただいたのが、町内の学校給食で児童・生徒たちから大人気のお魚メニュー、唐揚げにした魚に醤油ベースの甘いタレを絡めた「ごまだれかけ」の仕様にした「島鱧のごまだれかけ」。
これが、今回の給食メニューに決まった。
2.サンプル試作
調理当日のオペレーションをイメージしやすいよう、四海漁協と栄養士さんにより納品とサンプル試作が実施された。
四海漁協で今回の給食用にカットした活け〆骨切り(切り身)の納品サンプルを、土庄町立中央給食センターへ。給食時と同じように小さくカットされた島鱧の切り身(給食用納品サイズの1袋分)が納品された後は、解凍時間や調理までの流れを栄養士さんがご自身で確認。
私自身もこの企画で初めて知ったのだが、学校給食では児童・生徒1名あたりへのおおよその提供量が決められている(そういえば献立表にカロリーが書いてあった記憶がうっすら)。今回は、当日の給食センターでの調理工程や調理時間を相談の上、納品前にカットいただく大きさやグラム数についても四海漁協で特別に対応いただけることとなった。
3.事前インプットの資料配布
企画実施1週間前。
各校への企画協力のお願いの中で、町内の学校長より素敵な提案をいただいた。
「チラシやパンフレットのようなものをいただけたら
給食提供数日前に事前に生徒に配布しておくことで
自宅でも親御さんと一緒に見てもらえるかもしれないし、
”これが給食に出るんだ!”と、より楽しみになるはず。
島鱧をご存知ない町内のご家庭にも、
地場産物を知っていただける機会になるのでは?」
四海漁協さんへ急遽相談。
「小豆島|島鱧®︎《しまはも》」給食提供前の認知拡大と事前インプットを目指し、島鱧のストーリーなどを記載したチラシ(A4サイズ)を実施数日前に町内の全小中学校の児童・生徒、先生方への配布が決まった。
4.協力先への企画説明と接続配信テスト
当初の企画では、後述する”漁師さんの漁取材動画”を視聴してもらう以外、給食時間中には大きな企画を設けてはおらず、「四海漁協の職員さんと漁業振興担当の地域おこし協力隊員(=私)が取材受入校へ伺って、給食時間中の校内放送をジャック。放送室からのYouTubeライブで、|小豆島島鱧®︎《しょうどしましまはも》に関する生放送をさせていただく。」というような内容だった。
でも、それではなんだかパッとしない。
「去年の食育イベントみたいに漁協から中継して、ピチピチしたハモを見せられたらおもしろいんだけどな・・・。」
▼漁協からZoomで中継した、昨年の全国向けオンライン食育イベント
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子どもたちの質問には漁師さんと漁協職員さんに答えていただいた
そんな心の声が伝わったのか、取材受入校である土庄中学校の藤原一章校長からこんな提案が。
「YouTubeライブするなら、四海漁協から中継した方が面白そうやん?
せっかくやるんなら、四海から繋いだらええやん。」
”協力校へ極力負担がかからないように”という点にも配慮しながら企画を考えなければならなかった中での校長先生からのありがたいお言葉に甘え、記者発表(=プレスリリースの行政版)の直前に急遽企画を差し替え。
しかし、四海漁協のあるエリアは特に通信会社の電波が不安定になりやすい。YouTubeライブが教室で遅延したり、中継が観られなかったりしたら、生徒たちをがっかりさせてしまいかねない。
そこで、YouTubeライブ配信機能を改めて調査するとともに、急遽、配信テスト、中継現場からの配信テスト、学校の教室モニターを使っての画面モニタリングテストなど、計3回の配信テストを実施した。
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配信テストは計3回実施
5.漁師さんの底びき網漁を取材した動画を視聴
子どもたちを全員船に乗せ、漁の現場を見学させられたらいいのだが、残念ながら叶わない。
そこで、地元の漁師さんや四海漁協さんにご協力をいただきながら、特別に漁の現場を取材させていただき、私が得意とする動画を使って子どもたちへ届けることに。
取材の様子を小中学生向けの内容に編集した5分間のYouTube動画を制作。
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急なお願いにも、快く撮影に協力くださった漁師さんたちに感謝!
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お気に入りのシーンはこちら
学校給食当日の朝、この動画を町内の全小中学校で児童・生徒たちに視聴してもらった。
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YouTube動画を真剣に観る生徒たち
⬇︎ 実際の動画がこちら
【動画】 漁師さん、底びき網漁に連れてって!小豆島島鱧®︎編
■ 出演
長栄 良仁(漁師、小豆島鱧の会 会長)
須浪 宏太(四海漁業協同組合)
■ 取材・制作
吉田 小百合(土庄町地域おこし協力隊・漁業振興)
■ 撮影協力
四海漁業協同組合
6.アンケートと質問募集(☆)
動画視聴後、生徒たちに貸与されているタブレットから、島鱧や漁に関するアンケートと質問を募集。(導入されていたのがiPadだったので、とっても羨ましい!)
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タブレットでアンケートに回答する生徒たち
アンケートと質問は、朝の会から授業開始までの10分以内に生徒が回答できそうな二択形式のアンケートを2問と、動画を観て質問したいことがあれば任意で記入してもらい、タブレットから個々に送信してもらう形に。
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タブレット操作の素早さを前に、時代の流れを感じた大人たち(笑)
任意ではあるものの、生徒からの質問が集まらなかったら、肝心の漁港からの生中継が盛り上がらない。そのため、限られた時間の中で、出来るだけ多くの生徒たちに回答を送信してもらえるようにするには工夫が要る。
そこに、栄養士さんからご提案いただいたのが、学校で導入していた授業支援クラウドサービスのアンケート機能。生徒たちが使い慣れているサービスを使ってアンケートフォームをご用意いただけたことで、この後、私たちが予想もしていなかった程、嬉しいくらい多くの質問が生徒たちから寄せられる結果となる。
周りの大人たちが驚いたのが、ほんの5〜10分程度で全校生徒の7割以上が回答の送信を完了しているというスピードの速さ!
おかげで、自動集計結果もこの直後にダウンロードいただくことができ、どんな質問が集まっているのかこの時点で確認できたので、その後の工程が予定よりもスムーズに進んだ。
7.給食での地場産物提供(☆)
学校給食のメインメニューとして、小豆島島鱧®︎を使った「島鱧のごまだれかけ」が登場。
この日は、「記録用に!」と、栄養士さんが特別に調理の様子を撮影してくださっていた。(調理の様子は、ダイジェスト動画にも入れている。)
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いつもより少なかったそう
この日のメニューには、そうめんの島、小豆島ならではの地元食材「ふし麺」を使用した「ふし汁」も並んだ。
節麺(ふしめん)は、手延べ麺(うどん・素麺・冷麦など)を作る際に出来る副産物で、棒で伸ばしてから、吊して乾燥する時に棒にかかっていた曲線部分を、乾燥後に切り分けたもの。
形状から曲がりと呼ばれたり、想起させるものの名からかんざし、バチなどとも呼ばれる。
【当日の給食メニュー】
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島鱧のごまだれかけ
キャベツのレモン和え
ふし汁
ごはん
牛乳
8.給食時間中のYouTubeライブ生中継(☆)
給食や片付け時間も考慮した上で、給食時間中のYouTubeライブ配信にいただけた時間は10分間。学校側の協力のもと、いただけた貴重な時間をオーバーするわけにはいかない。
そこで、限られた配信時間を2パートの構成で生中継。
新鮮な島鱧の活きの良さ、生命力の豊かさを中継
アンケート集計結果発表とQ&A
【島鱧の様子を生中継】
漁港横にハモの荷受けや水槽などの施設を構える四海漁協現地から、漁協職員さんに活きたハモを見せていただいた。
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ハモを落ち着かせることで、〆た後の鮮度が長持ちするそう
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こんなに大きなサイズのハモも!
【アンケート結果発表】
生徒たちに、個々にタブレットから入力、送信いただいたアンケート結果を発表。
※Q1とQ2の総数に、何故か若干の差分があるのはご愛嬌。
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Q1.「小豆島島鱧®︎」のことを知っていましたか?
⭕️ 知っていた 155
❌ 知らなかった 84
Q2.給食以外で「小豆島島鱧®︎」を食べたことはありますか?
⭕️ 食べたことがある 89
❌ 食べたことがない 147
【Q&Aコーナー】
後半は、四海漁協の職員さんによる、生徒からの質問へのお返事タイム。
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漁船と漁港を背景に、生徒たちの質問に答えていく
配信中に答えていった質問はこちら。
※ひらがな、カタカナ、漢字など、全て生徒さんから集めた質問をそのまま反映。
はもは何類ですか?
鱧は何年生きるん?
島はもは普通のハモと何が違うのか?
1日で何匹ぐらい獲れるか?
1匹いくらなのか? ※市場で売る値段
旬の時期はいつですか
刺身にできないのか?
島はもの、美味しい食べ方を教えて下さい
売っているところは何処か
ハモを食べた後に歌を歌うとハモらせることができますか?
ハモへの愛を100にするとどれくらいですか?
⬇︎ 実際のYouTubeライブ配信がこちら
【動画】 YouTubeライブ配信 小豆島島鱧®︎を四海漁協から生中継
■ ナビゲーター
吉田 小百合(土庄町地域おこし協力隊・漁業振興)
■ 出演
須浪 宏太(四海漁業協同組合)
■ ライブ配信協力
四海漁業協同組合
土庄町立土庄中学校
土庄町立中央学校給食センター
9.メディア報道の情報収集
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企画終了後、当日取材に来られたメディアの報道をチェック。
テレビ報道は当日夕方のニュースで放送、新聞記事は実施翌々日の7月15日の朝刊に掲載された。
・報道いただいたメディア各社(敬称略)
四国新聞、西日本放送(日本テレビでの全国放送含む)
報道では、地魚ブランドと町名がしっかり登場。(←所属する自治体のことや携わっている名称をいかに報道してもらうかはとても大事!)
限られた枠の中での報道でありながら、動画視聴やICT、給食中のライブ配信を使った取り組みの内容、給食との新たなコラボ企画への生徒の楽しそうな反応など、公共報道機関を通じて島内外の方々にも広く知っていただけたのは、企画に携わらせていただいたメンバーの一員として心底嬉しかった。
SNSやWebでの発信だけではアプローチできない層は一定数いるため、島内外、特に島外の方にも町での取り組みを知っていただくには、新聞、テレビなどの報道は外せない。まず、取材にも来てもらえなかったら、情報を広く知っていただくことは難しい。今回、メディア関係者様らが報道してくださったことは、企画メンバーの一員として安堵の思いだった。
「島の子どもたちに地場産物を食べてもらいたい、地域のことを知ってもらいたい」
土庄町のみなさんの思いが、報道の中できっと伝わったのではないかと個人的に感じている。
10.SNSを使った情報発信
今回は、取り組みの内容が盛りだくさんだったので、その内容がよりスムーズに伝わるよう、冒頭でご紹介したダイジェスト動画を作成した上で、町の公式YouTubeチャンネルと、地域おこし協力隊のSNSにて発信。
動画の最後には、生徒から寄せられた質問「ハモを食べた後に歌を歌うとハモらせることができますか?」に対するライブ配信中の漁協職員さんからの答えに、取材受入校の生徒たちが「おいしかった〜♪」とハモってくれた映像をインサート。同発信を関係各所のアカウントでもシェアいただくことができた。
・各種SNSにて情報発信
土庄町公式YouTubeチャンネル
土庄町地域おこし協力隊のInstagram、Facebook
また、底曳き網漁のYouTube動画視聴と給食の様子について、土庄町立土庄小学校のWebサイトでも掲載いただけた。今回は取材受入校以外の小中学校ではアンケートやライブ配信ができなかったので、今後、また機会があれば、他の小中学校でも同様の取り組みができたらと思っている。
企画成功の5つの理由
「児童・生徒たちが楽しんでくれていた」
「給食を残した子が普段より少なかった」
「こんな給食がまたあったらいいな、次回が楽しみ」
子どもたちからのこうした嬉しい声から、今回の企画は「成功」と言えるのではないか、と個人的には思っている。
その理由を、自分なりに分析してまとめてみた。
1.新たな試みへの積極的な協力体制
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行政や学校が関係する案件では、前例のない取り組みについて
「地方で新しいことをするのはハードルが高い」
と一般的によく言われるが、土庄町に来て1年、私がそう感じた場面は少ない。
昨年のオンライン食育イベントも、今回の企画も、1年かけてブラッシュアップしてきたSNSでの情報発信方法についても、これらの「前例のない企画」を提案した際に頭ごなしにストップをかけられたことはない。
むしろ、今回のように、地元の方々や給食センター、学校関係、町職員のみなさん、企画を一緒に進めてくださった全ての関係者に「面白そうだからやってみよう」と積極的にご協力いただけたことが、企画実施が叶ったことと成功理由の5割を占めていると私は思っている。
都会、田舎に関わらず、全員が納得して、賛成して、満足してくれることなど存在しない。特に、「田舎では新しい試みに前向きになりづらい」と言われているし、都会から移住してきた私も、この1年の間で、島特有の文化や常識、慣習に直面し、驚いた場面があったのは事実だ。
しかし、そんな中でも、ここ土庄町は「新しいことにチャレンジしてみよう」というポテンシャルの高さがあちこちに見える。このフットワークの軽さやアクティブさ、柔軟さは、日本全国数ある離島エリアの中でも非常に珍しいのではないだろうか。
2.ICT環境を駆使した「いつもと違う」給食
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既に周知のこととは思うが、今では離島の小中学校にもICT環境が整っている。
学校教育における「ICT環境」とは、コンピュータなどのICT機器を教室や授業に取り入れて活用する環境のことです。ICTの「C」、すなわち児童生徒同士のコミュニケーションや、教師と児童生徒のコミュニケーションを意識した環境整備が必要です。
ICT環境に含まれる具体的な機器などには、たとえば次のようなものが考えられます。
・教育用コンピュータ、校務用コンピュータ
・大型提示装置(プロジェクタ、大型テレビ、電子黒板など)
・ネットワーク環境(インターネット、校内LAN)
・校務支援システム、授業支援システム
・クラウドサービス
・デジタル教科書(指導者用、学習者用)
学校教育におけるICT環境やICT専門員の配置などについては昨今の報道や記事で取り上げられているものの、実際に上手く活用できているかは学校による、という話も耳にする中で、今回の取り組みでは
・大型モニター
・ネットワーク環境(Wi-Fi)
・授業支援システム
・クラウドサービス
などのICT環境を活用することができた。
その背景には、取材受入校としてご協力いただいた土庄中学校に、離島という環境を感じさせない、都会の学校と同等のICT環境が整備されていたことはもちろん、先生方や生徒たちも日頃からICTを使った取り組みに慣れていたことが成功のポイントであったと思う。
今回のような形であれば、今後もまた、学校と行政とで協働で同様の企画ができるかもしれない。そんな希望が見えた事例だった。
3.小中学生の尊敬の的「HIKAKIN」を研究
言葉遣いや動画の内容など、保護者が安心して子どもに観せられる動画として定評のある「お母さんが一番信頼しているYouTuber」として、トップを走り続けるHIKAKINさん。
2010年代のYouTube日本市場創成期における彼の功績と努力、また、動画制作をする上でのあらゆる方面への細やかな配慮など、大人から子どもまで幅広く愛される理由は、彼の動画を慎重に観ていけばそれがよくわかる。
私が普段、自身のYouTubeやSNSで制作しているコンテンツは大人向け。
今回のオーディエンスとは明らかに異なるため、私の作るコンテンツを「教育番組のような漁取材動画やライブ配信ではなく、小中学生が楽しめて、最後まで飽きずに観てくれるもの」にしなければ意味がない。
小中学生に観てもらうには、まず、彼らの好みや彼らに受け入れてもらうことが最低条件。そこで、私がトライしたのが「HIKAKINの動画を研究する」ことだった。
YouTuberを本気で生業としている人でない限り、HIKAKINさんのコンテンツをこうした視点で観ようとする大人はまずいないはずだが、HIKAKINさんの動画には細部にまで工夫が施されている。
【HIKAKIN動画のすごいところ】
・視聴者が覚えやすい名前である
・ほぼ全てのトークにテロップ
・難しい表現を極力使わない
・小学校中学年以上で習うような漢字テロップには必ずルビを振る
・子どもを飽きさせぬよう、動画内で登場するテロップのフォント形式は10種類以上
・同じく、子供を飽きさせぬよう、効果音の使用箇所が大人向けのコンテンツと比較して極端に多い
・イラストやエフェクトなどを効果音やコンテンツの内容に合わせて挿入
・話し方の抑揚や表情で子どもたちを飽きさせない
今回の動画は、「子どもたちに楽しんでもらうこと」を基軸に編集した。
関係各所に説明したのは、「今回は子どもたちに楽しんでもらえるように、HIKAKINさんを意識して、YouTube風の動画にしています」ということ。大人たちの感覚が入りすぎては、子どもには受け入れてもらえないからである。また、子どもたちに楽しんでもらえることで、結果として、地域の大人たちにも喜んでもらえる。そこで、子どもたちの感覚にフォーカスしながら制作していった。
4.五感を使って楽しむ
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昨年のオンライン食育イベントの企画運営をお願いした、株式会社ティンカリングタウン(東京・新宿区)さんとご一緒させていただいた際に、学ばせていただいたことがある。
・子どもたちの感覚に合わせた企画構成や時間配分
・子どもたちが五感を使って楽しむことの大切さ
前者は、先ほどのHIKAKIN研究の件で触れたポイントに配慮。
後者について今回の企画で意識したのは、学校給食で「食べる=味覚、嗅覚」を使って楽しむこと以外で、可能な限りこの「五感」を組み合わせて企画したいということ。
子どもの脳の発達には、五感への刺激が必要不可欠だという。五感の刺激について多くの学術記事で述べられている年齢としては「生後から5歳頃まで」であるが、小中学生も脳の発達時期であることに変わりはない。同じ情報であっても、五感を磨きながら体験することで、受け身な状態で入ってくるよりも記憶に残りやすいのではないだろうか。
YouTube動画やライブ配信で視覚と聴覚を、生身のハモに触れてもらうことが叶わない代わりに、自身のタブレットを使ってアンケートや質問を送信することで触覚を刺激。また、自分の体(=指)を使って送った質問が中継現場から配信中に読まれ、答えてもらえるという「参加型ライブ」を感じてもらうことも意識した。
5.オンラインイベントのノウハウを応用
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「給食時間中にYouTubeライブ配信をしてみよう!」という話が出たのは、実施のちょうど1週間前の打ち合わせでのこと。
それでもこうして企画全体がスムーズに催行できた背景には、昨冬に漁業振興活動の一環として開催した、地魚ブランド「小豆島 |島鱧®︎《しまはも》」のPRを目的とした全国の親子を対象とした都市部と地方を繋いだオンライン食育イベントの経験があったからだ。
今回のような「オフライン×オンライン」「地方×情報発信技術」を掛け合わせたイベントは、前述の事例に続いて2例目となる。
前回の改善点を踏まえ、着任から1年、地域おこし協力隊の私と伴走しながらサポートくださった役場の担当職員さんたちと相談。この1年で情報発信やSNSの仕組みについても常に共有し、現場スタッフとしても一緒に動いてくださったみなさんなので、今回必要な対応やリソースについても、すぐにキャッチアップくださった。
また、前回のオンラインイベントでもご協力いただいた四海漁協の職員さんも、オンラインで中継を結ぶのは今回で3度目なので、当日の動きや段取り確認も短時間で済んだ。漁協の業務がある中、毎回快く「町の漁業振興のためなら」と力を貸してくださる。
前述した学校の先生方や給食センターの方々を含め、こうした全てのみなさんのご協力がなかったら、この企画は成功し得なかったと心底思っている。素敵なメンバーのみなさんとご一緒させていただけるこの環境に、この場を借りて改めて感謝を伝えたい。
【オンラインイベントの経験から対応できたこと】
以下、今回改善したポイント。
ひとつひとつの項目は細かいものだが、こうした小さなチューニングによって、前回よりもさらに円滑にクロージングできたという手応えを感じている。
記者発表資料にタイムスケジュールや実施内容を記載
今回は記者発表(=プレスリリース)の資料にも取材に関する事柄を詳細に記載、メディア各社にも資料を通じて周知いただけるように配慮。
配信テストの実施
通信環境の安定しない漁港での配信となるため、3回に渡り、配信テストを実施。
・自身での接続テスト 1回
・役場庁舎内での接続テスト 1回
・現場からの配信を学校教室のモニターへ接続して本番同様に確認したテスト 1回
報道メディアへの対応要員を配備
前回は、イベント開催直前に、取材メディアの方からの事前質問があることを想定しておらず、メディア対応用に人員や時間を設けていなかったため、今回は予め担当を決めておくようにした。
配信時に学校と現場でリアルタイムに状況を把握
配信当日にご協力いただいた役場職員さんは3名。接続テストを何度か重ねる中で、同じ環境下にあっても、YouTubeライブ配信の開始タイミングに数秒から数分程度のズレが生じることが判明。
全学級でのタブレットからの画面モニタリングや、ライブ配信の再生開始操作についても不安があったため、当日は2名の職員さんが学校にて待機。校内全ての教室モニターを確認いただくことに。
また、配信現場に同行いただいた職員さんと学校に待機いただいている職員さんとで電話を繋ぎながら、配信開始のキュー出しや配信中の学校の様子をリアルタイムで共有いただけたことで、現場で配信している私も随時情報が把握できる状況下で配信することができた。
フリップの準備
前回はオンラインミーティングツールを使用したため、チャットツールを使うなど双方向のコミュニケーションが成立した。
しかし、今回はライブ配信。一方的な配信となるため、映像のみでは給食中の生徒たちに何のトピックを話しているのか伝わりづらかったり、聞き逃してしまうことが予想される。
そこで、アンケート集計結果やピックアップした質問を書いたスケッチブックを用意。情報のわかりやすさに重きを置いた。
長文になったが、以上が今回の企画の振り返りである。
今回のように、島のこと、島のみなさんの思いを、地元の子どもたちに楽しみながら知ってもらえる企画を、また、こうした企画に込められたストーリーや地域を支える生産者のことについても、今後、引き続き発信していきたい。
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■ Special Thanks(敬称略)
四海漁業協同組合(小豆島|島鱧®︎《しまはも》)
- 四海漁協 Webサイト
- Instagram
- Facebook
土庄町立中央学校給食センター
土庄町立土庄中学校(取材受入協力校)
土庄町立土庄小学校
土庄町立豊島小学校 豊島中学校
香川県土庄町
- 土庄町 Webサイト
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Posted by SAYULOG on Sunday, July 24, 2022
瀬戸内海の漁師さんに、魚礁(ぎょしょう:小さい魚のエサ場や住処になるところ)の設置、そして、タコの放流に連れていっていただきました🐟
— SAYULOG@ちいさな学びをみんなとシェアするYouTuber (@sayulogofficial) May 28, 2022
取材の様子を動画と記事にしたので、ぜひご覧ください!
漁師さんのお仕事や海のこと、少しでも知っていただけたらうれしいです🐟https://t.co/zDe8RgJBQt