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地方移住で知った「ふるさと納税」の背景と思い
背景に潜むストーリーを「知っている」か「知らない」か。
それが、人の物事の捉え方や感情を大きく左右させるし、ちょっと知っているだけでスッと心に入ってくることもあるはず。
そんな観点から、いままさにシーズン真っ盛りの迎えている「ふるさと納税」という制度ができた背景と地方の人たちの思いについて、今回みなさんに知ってほしいな、という私の気持ちをシェアしたい。
今回の記事は、参考データがちらほら出てくるため一見硬めだが、半分以上はパッションで書いているので、最後まで目を通していただけたら嬉しい。
東京出身の私が「ふるさと納税」を身近に感じるようになった理由
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離島で総合病院や高校までの教育施設が島内に備わっている好条件は、全国的にも稀だという。
祖父母、両親、そして私。
東京で生まれ育った私の家には、そもそも「田舎」がない。
ゆえに私は、観光で訪れる以外で田舎を知る機会がなかった。
そんな私が、これまで無頓着であった地方が抱える様々な課題に対し、自分ごとのように感じられるようになったのは、この夏に東京から小豆島の小さな町、香川県土庄町へと移住したからかもしれない。
地方移住で知った、ふるさと納税の背景
この町で知ったこと、感じたことを、よりリアルに伝えたいという思いから、私が移住した香川県土庄町を例としてお話していく。
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この夏から地域おこし協力隊として、香川県土庄町に関わることになり、行政、島の人々、双方からお話を伺う中で、この町も日本全国の多くの地方自治体と同様に、人口減少や高齢化など、様々な問題に直面していることを知った。
2020年から2060年までの40年間で、この土庄町は
総人口
12,917人⇒ 5,704人(56%減)
子ども(0 - 14歳)の人口
1,213人⇒ 614人(50%減)
生産年齢(15 - 65歳)人口
6,249人⇒ 2,308人(63%減)
高齢化率
42.2%⇒ 48.8%(2人に1人が高齢者)
になると予測されている。
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なお、この記事を書いている今日、2021年12月1日の四國新聞朝刊に、タイミング良くわかりやすい記事が掲載されていたので、内容に少し触れておく。
埼玉、千葉、東京、神奈川の4都県が日本の総人口の約30%近くを占め、一極集中が目立っているという。
また、私の住む土庄町のある香川を含む39道府県の人口減少が見られ、65歳以上が全体に占める高齢化率は過去最高の28.6%だそうだ。
お金・ヒト・モノ・情報。
その全てが都市部へ一極集中していることがわかる。
都会、地方に関わらず、行政では、教育や福祉、その他生活環境など、子供が育っていく過程において様々な分野へ「投資」している。
しかし、地方で生まれ育った子供たちは、進学や就職を機に生活基盤を都会に移していくことがほとんどである。働き盛りの世代は、そのまま都市部へ居住し、納税する。
そのため、働き盛りの人口が流出していく一方である地方行政の税収は、減少の一途を辿ることとなる。
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多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。
その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。
東京で生まれ育った私にとって、別世界の話。
お恥ずかしながら東京や海外に住んでいたこれまでは、地方の課題が何なのかなど考えたことさえなかった。
しかし今、こうしてこの島、この町に暮らす人間として、島の人々の生活や温かさに触れながら、改めて状況を整理してみると、多くの地方が抱えているこの課題の大きさをひしひしと感じ始めた。
そもそも「ふるさと納税」って?
「ふるさと納税」という名称ではあるものの、実際は「地方公共団体への寄附金」のこと。
前述の課題から、地方間格差や税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を推進するための新構想として創設された個人住民税の制度、それが「ふるさと納税」だという。
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「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」(出典:「ふるさと納税研究会」報告書)、そんな問題提起から始まり、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税制度です。
任意の地方自治体に寄附することにより、寄附金のうち2,000円を超える部分について、個人住民税所得割の概ね2割(平成27年までは1割)を上限とする金額が、所得税と合わせて控除される。
ふるさと納税には、下記のような5つの特徴があるという。
1. 所得税・個人住民税が控除される
2. 使い道を指定できる
3. 地域の発展に協力できる
4. 複数の自治体から任意で選べる
5. 寄附に対する返礼品がもらえる
寄附金の「使い道」については、各自治体が抱える課題に対して、それぞれの自治体が「こんな事業に使います」といくつか項目を掲げているので、寄附する際に自身が応援したいと感じる事業を選択することができる。
自分の寄附金が使われる分野を自ら選んで寄附することができ、寄付する側としてもとてもわかりやすい。
私の住む土庄町では、下記の4つの事業に寄附金が使われるそうだ。
福祉に関する事業
・少子化対策
・障害者対策
・高齢者対策
・医療体制の整備
教育に関する事業
・子育て等安全安心対策
・文化財保護
環境に関する事業
・地球温暖化対策
・環境保全対策
・災害防止対策
地域振興に関する事業
・地場産品育成
・観光振興
地方出身でいまは都会に居住している人の故郷への恩返しとして、また、直接その地に縁はなかったが、旅行などでその地を訪れ好きになった地域を応援する気持ちで、など、様々な思いで利用できるのがこの制度の良さだと思う。
昨今の未曾有の事態に、小豆島、豊島など、観光産業が盛んな土庄町も他の地域と同じように甚大な影響を受けている。
人の流れが停滞し続ける昨今。観光産業は非常に厳しい状況に立たされているのだ。
厳しいのは観光産業だけではない。
例えば、私が地域おこし協力隊として携わらせていただいている漁業に関しても課題はある。
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海苔、鱧、エビ、シタビラメなど、瀬戸内海は非常に豊富な海産物に恵まれていた。
しかし近年、海の水質が変化してきたことが原因なのだろうか。
町のどこの漁協で話を伺っても、漁獲量が減少傾向にあるという。
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神経締めをした新鮮な骨切りの切り身は、家庭でも調理しやすく価格もリーズナブルだと好評。
観光業、漁業、その他あらゆる分野における様々な課題に対し、投資が必要となるが、何をするにも資金がかかる。
ふるさと納税の寄附金により地方の税収が少しでも増えれば、きっといまよりも出来ることが増える。
それにより、地方が少しでも元気になれば、人口減少や高齢化などの課題改善の可能性が期待できるかもしれない。
ストーリーを知ることで、関わり方や思いが変わる
ふるさと納税のイメージは、それまでの私にとって「地方のおいしい特産品がもらえて、節税対策にもなるおトクな制度」くらいのものだった。
しかし、ふるさと納税が地域発展の大事なリソースとなるこの町への移住をきっかけに、この制度開始に繋がった背景やそこに込められた想い、全国から寄せられる寄附金の重要性を切に感じることができた。
私がこの土庄町へ想いを寄せるように、それぞれにご自身の故郷や応援したい地域があるかもしれない。
そんな時に、今回の記事を少しでも思い出していただけて、より地域に寄り添う気持ちでふるさと納税制度を利用してもらえたら嬉しい。
私の住む香川県土庄町のふるさと納税を気にかけてくださる方は、ぜひこちらを。
残念ながら、居住者の私は、ふるさと納税の寄附先としてこの町を選べないけれど、違った形で私なりに町に貢献、恩返ししていきたいと思う。
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