《女の愛と生涯》訳詩──4. あなた、わたしの指の指輪よ
あなた、わたしの指の指輪よ
わたしの黄金の指輪ちゃん
わたしはあなたに忠実に唇をつけるわ
あなたに忠実にわたしの心をつけるわ
わたしは夢を見終わったの
子供時代の穏やかで美しい夢を
わたしはひとりきりの自分を見たの、見捨てられた
退屈で果てのない場所で
わたしの指の指輪よ
あなたはわたしに最初に教えてくれたの
わたしの眼差しから導き出したの
終わりのない人生の深い価値を
わたしは彼に仕え、彼のために生きます
完全に彼のものになりましょう
わたし自身を与え、見出すのです
彼の栄光の中にわたしを輝かせましょう
*
6月23日に演奏する、
シューマン作曲の歌曲集《女の愛と生涯》。
ひとりの女性が愛する男性と出会い、
彼の子供を産み、彼を見送るまでの生涯を描いた作品です。
一日一篇ずつ、
シャミッソーの詩を訳していきます。
(平日のみ)
第一・二曲では少女の秘めた片恋、
第三曲では相手の想いを受け取った少女の戸惑いが描かれました。
第四曲「あなた、わたしの指の指輪よ」では、
彼から贈られた指輪に女性の心が浮き立っています。
彼との約束の証である、黄金の指輪。
彼女は指輪に口づけをして、
喜びに満ち溢れた心を歌います。
音楽は非常に穏やかで、
彼女の満ち足りた心を表しているようです。
「わたしは彼に仕え、彼のために生きます
完全に彼のものになりましょう」
と歌う第四連では、
ピアノが胸の鼓動のような八分音符を刻み、
愛を誓う彼女の高揚感が描写されています。
演奏は、ジェシー・ノーマンです。