《女の愛と生涯》訳詩──5.わたしを手伝って、妹たちよ
わたしを手伝って、妹たちよ
親切にわたしを飾るのを
今日の幸せなわたしに仕えてちょうだい
活き活きと巻き付けてね
わたしの額に
まず花盛りのミルテを
わたしが満足していたとき
喜ぶ心を
愛しい人の腕のなかで
彼は呼んでいた
心の中の憧れを
せわしなく今日のことを
わたしを手伝って、妹たちよ
追い払うのを手伝って
ひとつの愚かな不安を
わたしが澄んだ眼差しをもって
彼を迎えるために
彼、喜びの源泉であるひとを
あなた、わたしの愛しいひと、
あなたはわたしの前に現れて
わたしに与えてくれるのかしら、太陽を、あなたの輝きを?
わたしを敬虔にさせて
わたしを謙虚にさせて
わたしの主人にお辞儀をさせて
彼に撒いて、妹たちよ
彼にお花を撒いてちょうだい
彼につぼみの薔薇を捧げてちょうだい
けれどあなたたち、妹たちに
わたしは悲しみながら挨拶をするの
あなたたちから嬉しく別れていくという
*
6月23日に演奏する、
シューマン作曲の歌曲集《女の愛と生涯》。
ひとりの女性が愛する男性と出会い、
彼の子供を産み、彼を見送るまでの生涯を描いた作品です。
一日一篇ずつ、
シャミッソーの詩を訳していきます。
(平日のみ)
第五曲では婚礼の日の女性が描かれます。
妹たちに手伝ってもらいながら、
婚礼の装いの支度を整える女性。
胸は高鳴り、はしゃぎながら、
妹たちに頼みごとをする彼女。
祭壇で待つ彼に美しい自分を見てもらいたい、
その気持ちで一杯です。
ピアノも歌唱旋律も、
品性がある中にも華やかさを感じられ、
慎み深い彼女のときめきを表しているようです。
最後の連で、
彼女は少女時代に別れを告げます。
彼女の静かな決意を受け取り、
ピアノが婚礼の音楽を奏でる中、
第五曲は穏やかに終わります。
演奏はジェシー・ノーマンです。