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障害学生採用で考えた「+ジョブ型雇用」のはなし

こんにちは、さゆちゃむです。noteで個人名でいろいろ書くのは久しぶりかもですね。毎週月曜日、仮にも打ち合わせなどが立て込まないようであれば、GATHERINGでの職場環境づくりで気づいたことを書いていこうかなあと思っています。

今週は月曜日から予定が詰まってしまったので、早速火曜日に書いてます。苦笑


先日、障害のある学生さんの有償スタッフ(有償インターン)の募集を行いました。

採用自体は終わり、この1,2週間で学生さんを受け入れ始めて、一部の学生さんには業務が発生し始めています。

学生さんがわたしたちと一緒に活動したいと思ってくれている目的は様々ありますが、総じて障害のある人が働くという上で、今回採用された全員が、自分たちなりに問題意識を持っているなとわたしは感じているので、とっても心強いぜ…とか思いながら日々過ごしています。

今日は、学生さんを採用するまでに何を考えて準備をすすめたのかという点を紹介したいなと思います。今週は採用準備編

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なぜ「有償」である必要があるか

Collableは実は、これまで無償インターンの学生は多く受け入れていて、案件ベースで支払いが発生する場合がある、という受け入れ方が多くありました。これらは「学生から受け入れを希望される」場合がほとんどで、ときには大学側から学生の受け入れをお願いされる場合もありました(長期・短期問わず)。

多くのNPOは資金調達や収益性の担保が難しいので、無償で関わってもらえることは非常にありがたいです。

ただ、今後は無償に関わってもらううえで、学生さんに限り、単発のボランティア以外は受け入れをしないということを決めました。

これはいろんな理由がりますが、関わり方への責任の持ち方が曖昧になるというのが一番の理由です。(もちろん例外もあるかもですが、これはまた別の記事で書ければと思います。)
あとは、実際に年明けに無償のインターンの募集かけたら、誰もエントリーしてくれなかった、という理由もありますが…総スカンとはこのこと…


同時に今回は障害のある学生さんを受け入れることになります。彼らは一般の学生よりもアルバイトやインターンシップの選択肢が少ない人たちです。

実際に「まわりの友だちは、就活のときに企業インターンにいろいろ行っていたのに、私は全然選択肢がなかった」と、就活を終えた、とある障害のある学生さんにも教えてもらいました。

これはもちろんアルバイトでも同じです。周りはアルバイト先があるなか、自分はエントリーをしても、障害が理由でメールが帰ってこなくなった、とか、逆に途中で辞めることになってしまった、なども、実際に学生さんから聞いています。

GATHERINGとしては、GATHERING Youthという企業インターンシップのプログラムが始まるので、企業インターンの機会はそこで活用していただきたいのですが、今回はそれとは別。GATHERINGのメンバーとして迎え入れる、長期的な関わりを前提としたものです(長期的な関わりを強制するものでもありません)。

せっかくGATHERINGの中に入ってくれることを選択してくれるんだったら、「自分が働いて対価を得る」という経験を、わたしたちが率先して届けるべきだと考えました。

(今回有償で学生を採用するにあたり、東京海上日動キャリアサービス「働く力応援基金」さんの採択は本当にありがたい…)


障害者雇用とジョブ型雇用

最近「ジョブ型雇用」が流行っているようで、今日も私がよく見ているYouTubeチャンネル「リベラルアーツ大学」でもたまたま取り上げられていました。(とってもわかりやすいのでぜひ見てみてほしい…!)

ジョブ型雇用とはなにか、という説明は動画見たほうがはやいのでここでは省略しますが、実は障害者雇用の考え方もジョブ型雇用の考え方が適切だと言われています。

現にGATHERINGでは今回このジョブ型雇用の考え方を前提に、今回の採用も動いてきました。

日本では総合職採用などの「メンバーシップ型(パートナーシップ型)採用」が一般的です。ただ、これらは障害のある人たちにはハマりにくい。

特にメンバーシップ型に特徴づけられている年功序列、終身雇用の仕組みは、言い方を変えれば「できるだけ長く働いてくれる人」のための仕組みです。裏を返せば「長期的に受け入れられやすい人」がほしいという意味でもあります。

では「長期的に受け入れられやすい人」とはどのような人なのか。

それは、「長期計画が立てやすい人」です。自身の変化、家庭の変化、その他の環境変化が多くないほうが、先の見通しを立てやすいですよね。

一方で障害がある人の場合、例えば通院とか、日常的な業務の波があったりとか、様々な「長期計画の立てにくい」要因を見つけられやすい存在と見られがちになってしまっています。

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加えて、メンバーシップ型人材として、日本ではゼネラリストが求められがちです。何か1つのことが秀でている人よりも、成績「オール4」の人のほうがハマりやすい。

例えば耳が聞こえない社員さんがいて、ライターとしてインタビュー記事を書くとした場合。

実際に人の声を補助ツールなしで聞くことが難しく、耳が聴こえないことで発話もが難しく手話が第一言語のひとが担当になるとしたら、補助ツールで相手の話は聞けても、インタビューをすることは難しいという場合が多いはずです。

だとすると、メンバーシップ型のように、とにかく「いろんな業務があり、ときどき人にインタビューをする機会もあり、社内の事務作業もやってほしくて…」みたいにやることが多様にあるポジションだと、この業務の中に1つでも物理的に難しいものがあれば、やっぱり、どれもまんべんなくできる人にお願いするほうが楽、というのが、多くの日本企業の本音じゃないでしょうか。


こんなかんじで、障害が理由で不可能なことが明確になりやすい分、メンバーシップ型にあう人を探そうと思うと、障害当事者は、基本的な雇用対象からは外されがちになります。

これらをまとめると、ジョブ型雇用は、やってほしい仕事があり、そこにあう人が見つかれば雇用関係が成立します。

耳が聞こえないから音声データを耳から聞くのは難しいけど、支障のない業務や専門性にあう業務さえあれば仕事はできる、という人はたくさんいると思います。もちろん、どんな障害でも。

ただ、現代においてはあらゆる人が長期計画が立てにくくなっているので、ジョブ型雇用が進もうとしているのは納得いきますよね。ジョブ型雇用はそういう意味で、ダイバーシティとも大きく関係があるということがわかっていただけるかな、と思います。

考え方は「+ジョブ型雇用」

とはいえ、障害のある人を雇用することが第一目的になるのは違います。あくまで業務を遂行してくれる人を雇用しなければいけない。

なので、ジョブ型雇用の考え方を参考に、採用ポジションを複数用意することにしました。

募集概要にはライター、SNS運用、営業アシスタント、とかきましたが、それらのポジションの内容は、一見バラバラに見えるので、機会を求める学生さんには「どれかには引っかかるかも?」と思ってもらえるかなと思いました。

一方、当事者の事情を個別具体に見ていくことが想定されたので、ポジションを具体的に書きすぎても「その役職には当てはまらないからエントリーはやめよう」と思う人を増やしてしまうと考えました。

なので、少しポジションについては、募集段階ではふわっと書きつつ、面談ですり合わせていくという方針にして、なんとなくこの3つの役職の中で興味があれば、エントリーしてもらえたら、という意図をもって、採用活動をスタートさせました。

ちなみにこれは結構よくて、具体的に「このポジションでこんなことをしたい」と言ってくれる人もいたし、こういうことが苦手だったり、配慮が必要です、といってもらえれば、それに合わせてこの業務はこんなふうに工夫できるかも?と、事前に話すことができたので、採用面談の段階で、お互い働くことのイメージが付きやすい面談ができたと思います(面談についてはまた続きを書きます)

もちろん、学生の中では「この業務に特化したい」という人もいれば、「なんでも挑戦したいです!」という人もいます。なんでも手広くチャレンジしたい人には、ポジションを具体で書きすぎても「ビジョンに共感しても、採用してもらえないかも」なんて思ってしまうかもしれません。
そんなビジョン共感型な人もぜひ受け入れたいと思っていたので、今回に関しては、多少は抽象度が高めの募集にしてよかったかなと思います。

ということで、今度は実際の採用活動が始まるところで気づいたことを来週書きたいと思います。

・障害学生見つからない問題
・エントリーのハードルは下げる
・2次面談を希望しますか?

の3点にわたって書きますので、また読みにきてもらえたら嬉しいです!


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山田小百合
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