下剤による意識的なデトックスとリセット
下剤乱用は過食症によくあることです。
たいていは
いっぱい食べてしまった後、太りたくないので、いち早く便を出そうと服用します。
私も乱用とはいかずとも、20代は下剤を愛用していました。
私は週末、休みの日に過食することが多く、平日は野菜中心のヘルシーな食事を食べていました。
野菜は食物繊維を含み便通を良くしますが、便を作るには「かさ」が必要です。
ごはんやパンといった炭水化物を食べると「かさ」が増えやすく、便が形成されやすくなりますが、
ごはんやパンといった炭水化物はご存知の通り、糖質が多く含まれ太りやすいので避けていました。
そんな食生活だったので、常に便秘でした。
当時ピンク色の有名な下剤を愛用していましたが、常習性があるので、気が付けば1度に20錠くらい飲んでいたように思います。お金もかかりました。
私はサクッと吐けるタイプではなく、
1時間かけて過食したら、
1時間かけて吐くというくらい、
吐くことが上手ではありませんでした。
20年以上吐いてきたけど、
吐くことに慣れて上手くなる、なんてことにはなりませんでした。
手には、専門用語で言う「吐きタコ(口の中に指を突っ込んで吐くので、手の甲に前歯が当たりタコになること)」が残るほど吐くことと格闘して、
何としてでも吐こうと、
胃の中の食べ物を掻き出したい思いで指を喉奥深くまで入れるので、
咽頭部を傷付け出血して指が血だらけになったり、
喉にどデカい血豆が出来て痛い思いをしたり、
でもそれでも吐きたくて、
自分で自分のやっていることに恐怖を感じながら過食嘔吐していました。
うまく吐けずに
自分を汚すチョコレートやクッキーが未だ、胃の中に入っているかと思うと、
気が狂いそうになりました。
そんな過食後に、下剤は必須アイテムでした。
「自分の身体を汚す食べ物が入った」
という事実をなかったことにしたくて
身体の中に入った汚い食べ物を
速攻押し出してくれる下剤は、まさに「デトックス」でした。
「汚い食べ物にさらされた私はもうおしまい」
「下剤を飲んで全て出したら、綺麗になった自分として、過食しないようにまたやり直す」と誓いました。
毎回毎回飽きもせず、
何度も何度も「デトックス」して「リセットボタン」を押している感じでした。
過食する汚い醜い自分を、
「意識の上で切り離す作業」をしていました。
「意識の上で」というのは、現実にはデトックスなんてできてないし、リセットなんてされていないからです。
食べたものの栄養吸収は小腸が担います。
下剤は大腸の蠕動運動を刺激するだけなので、
食べたものの栄養吸収を阻害するわけではありません。
なので、下剤を飲んだところで食べたのもがチャラになるわけではありません。
大腸の手前の小腸で栄養吸収は行われてしまっています。
そして、過食したものが便となり出てくるのには丸一日くらいかかります。
下剤で出すその多くが、過食前に食べたものなので、過食後すぐに焦って下剤を飲んだところであまり意味がないのです。
といっても、下剤を飲んでいた当時も、これらのことは知識としてありました。
分かっていても飲んでしまうのは
「栄養が吸収されている」という事実より
「過食する汚い醜い自分をデトックスしてリセットする」という
「意識」の方が大切だったからです。
食べ物に汚染された自分では生きていけない(意識として)。
過食症は、
太ることを恐れ、食べたことを後悔するだけではなく、
自分という人間が、自分が思う「完璧」ではなくなることも恐れてもいます。
次の日も「完璧」に生きていかなくちゃいけない。
そのために、完璧な新しい自分にならないといけない。
下剤は
汚く醜い自分のデトックスと、
新しい自分に生まれ変わるためのリセット機能
そんな感覚と役割だったように思います。