店長候補生◎パレット奮闘記＃５

店長候補生◎パレット奮闘記 ＃５

「これは困った。どうしたら良いかしら……。」
ノートパソコンの前で唸りながら頭を抱えるひとりの人物。

ここは、人間の世界、地球の日本という島国の東京都中野区にあるbar　ルナラパン演劇部。
その閉店作業後に、カウンターの前であたまを抱えているのこの人物は、
カフェあめだまのプロジェクトオーナーのぴこである。

前回、物語支店のパレット達からの依頼で展示企画で何をやるか決める為に
人間界のSNS「Twitter」でアンケート集計をしたけれど……。

どうやらその結果が、ぴこの頭を痛めていた。

「おこまりのようね」

知らぬ間に迫っていた影と声に驚き、椅子から落ちそうになるぴこ。
思わず、「アナタは……！」と劇画チックなリアクションをするくらいには取り乱していた。

影の主は、表情はあまり変えずに、
「まんぼうから聞いたわ。開店したんでしょう？」　と続けた。

そう、カフェあめだま物語支店は開店したのである、しかし……
「実は……。」ぴこは静かに、現状を語りはじめた。

◆◆◆

店長候補生◎パレット奮闘記
# ５『幸せの使者到来……！前編』

「んー！今日もがんばるぞー！」
扉に掛かっている看板をＯＰＥＮにし、身体を伸ばすと、まぶしい日差しに輝く長い金色の髪が揺れる。
ここは物語の世界　カフェあめだま物語支店。

今日も元気に営業開始です！

――――カランコロン

「にしても、展示の件。アンケート？とか言ってたけど、どうなったんだろう。」
扉を開けながら、パレットは呟く。

パレットが考えているのは、前回のお話のこと。
はじめてこのお店で展示を募集する事となり、いくつかあげた案から企画を決める為に人間の世界でアンケートを取る事になったのである。

パレットとしては、何故人間の世界でアンケートを取る事になったのか正直あまりわからずにいた。
物語の世界のお店なら物語の住人にアンケートを取るべきでは？

「むむむー……。」腕を組みながら考えていると頭が痛くなるので、
少し息を抜き、ふとまだ何も飾られていないギャラリーを眺める。
ここにどんな作品が並ぶのか、一番楽しみなのは店長候補生のパレットで、一番不安なのもパレットなのである。

「なるほど、かわいいじゃない。このお店。」

背後から不意に声が聞こえ、振り返る。
するとふわふわと宙を浮くいちごが目の前に存在していた。

「わぁ！！え？いらっしゃい、ませ？」

まったく気が付かなかった、忍者？いや、いちごだけど。え？
混乱するパレットを他所に、ガマ口が席に案内してメニューを差し出す。

「いらっしゃいませ、話は聞いてるぜ、ケケケ。」

どうやらガマ口には事前に来客の連絡が入っていた様子だった。
席に通すと、先程まで小さくてかわいい羽根が生えていたのに
気が付くと白い手足が生えて、メニューを持っていた。

「……不思議だ、不思議だけど、まぁ、そういうものだと認識したらなんの違和感もない気もする。」

ガマ口やぬいぐるみが話たり給仕をするこの物語の世界において、いちごが言葉を話すのは
そこまで驚く事では無かったのではないか？とすら思いはじめるパレット。
ただ、忍者の様に気配も無く背後を取られた事は、
まだバトルストーリーを体験していないパレットにとっては戦慄を覚える体験であった。

このお客さまは、いちごの妖精で人間を幸せにするために現在人間の世界に居る。
フラフープが得意とのこと。

「ごちゅうもん、おうかがいします！」うささんがオーダーをお伺いすると
「どうしよう……いちごがないわ」と、つぶやくいちごさん。

確かに、カフェあめだまにはいちごのフードメニューは無い。
すかさずパレットは「カスタムミルク」をおススメする。

「カスタムミルク……？」

それは自分の好みのシロップを選んで自分好みのミルクが飲めるドリンクメニューである。
ちなみにカスタムソーダやカスタムフロートもある。
それぞれの好きな味を選べるというポイントがカフェあめだまのこだわりなのです。

「……じゃあ、イチゴシロップでカスタムするわ。」
「かしこまりました！」

注文を受けてうささんと、くまさんはドリンクをカウンター内で作り始めると、
ガマ口が話をすすめる為に口を開いた。
「それで、あっちから伝言を預かったって聞いたぜ？」
「ああ、そうとう落ち込んでたわ、これが伝言」
と言うと何処からともなく紙が出現した。パレットは首を傾げながらそれを受け取った。
「落ち込んでた？って誰が？？ですか？？？」

紙を開くとそこには　アンケート結果発表！とあり、下記の情報が書かれていた

・あの日の童話展「ずっと忘れられない一番好きな童話を作品にした展示」投票率50％
・ベストプレイス展「自分の居場所「ベストプレイス」をテーマにした作品展　投票率16．7％
・おいしい動物展「たべもの×どうぶつ」どうぶつとおいしい食べ物が合体した作品展　投票率16．7％
・鏡の中の世界展「鏡」をテーマにした作品展　投票率16．7％

「え？もう、アンケート結果出たんですね！それじゃああの日の童話展で企画を進めなきゃ！」
「でも、そのアンケート、１８票しか入らなかったってよ。ケケケ」
「え？」
「じゅうはち？」
「じゅー、はち。」

ちなみに　カフェあめだまのTwitterフォロワーは　３０７　である。

「オーナーは泣いたそうだ。だからこの展示で盛り上げて欲しいって訳だよ、ケケケ！」

カフェあめだまプロジェクト全体を盛り上げなければ、このままだと物語支店も閉店に……？
パレットはこのままの注目度だと最悪のエンドが来るのではと震え始めた。

パレットが困惑に包まれている中、

「このいちごミルクおいしいわね」
と、お客さまの小さな呟きが店内に響いた

◆◆◆

◎コラボ募集事項◎
カフェあめだまプロジェクトでは
各種コラボを募集しています。

今回はいろはねむるさんの作品
いちごちゃん｜いろはねむる @nemumanbou #note https://note.com/irohanemuru/m/mcb15e420b04c
から　いちごちゃんがコラボゲストで参加してくれました、次回も登場してくださいます。

☆パレット奮闘記物語本文とコラボしたイラストを募集中

☆お店のお客様として来てくれるキャラクターさんを募集中

☆あなたの色で描く、物語支店での小説や漫画などの二次創作も大歓迎!

new！　☆小説内の展示に参加してくださる作家さんを募集しております！

詳しくは
カフェあめだまTwitterのDM
または
カフェあめだまメールアドレス amedamamix@gmail.comまで

小説内展示への作品参加について
件名：物語支店展示参加

【作家名】
【作品名】
【アカウント】（noteやTwitterなどのURL）

を明記の上、作品画像データを添付して、メールアドレス amedamamix@gmail.comまでご連絡ください。

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バックナンバー
あらすじ＆キャラクター紹介：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n381e83248685
１：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n60add1dac2c1
２：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n5041e06a62bd
３：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n4eb9d269ebbd
４：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n23096ef029a9

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カフェあめだまプロジェクト
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パレット達のLINEスタンプ販売中(イラスト:いろはねむるさん)
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カフェあめだま＠ルナラパン演劇部　毎週火曜日　13時24時にて中野にて営業
お問い合わせ：amedamamix@gmail.com