見出し画像

[小児科医ママが解説] ワセリン・プロペトに「保湿」効果はありません。

うすくて、繊細な赤ちゃんのお肌。
赤みやカサカサなど、トラブルがあると、心配になりますよね。

ワセリンやプロペトなどを塗っていても、
なかなか良くならない。
どうして?

そんな疑問や、対応をお答えしていきます。

ワセリン・プロペトに、「保湿」の効果はありません。


ワセリンやプロペトは、あくまで肌を「保護」するお薬です。
お肌をうるおす「保湿」の効果はないんですね。

ワセリンやプロペトにも、皮膚のバリアを改善させる作用はあるのでは?という報告はあります。(J Allergy Clin Immunol 2016:137:1091-102.e1-7.)

もちろん塗って全く効果がない!というわけではないですが、
「保湿」の目的には使えないんですね。


処方する保湿の成分は「ヘパリン類似物質」

ヒルドイド(ソフト)軟膏
ヒルドイドクリーム
ヒルドイドローション
ヘパリン類似物質クリーム 
etc

これらを、病院やクリニックで「保湿剤」として処方された経験があるかもしれません。

すべて「ヘパリン類似物質」が含まれるお薬で、
まさに、肌をうるおす「保湿」の代表格です。

市販にも「ヘパリン類似物質」が含まれる商品はあります。

「ヘパリン類似物質」で赤み・しみる。


ただしこの「ヘパリン類似物質」、お子さんによっては赤みがでることがあります。

これは「血行を促進する」という薬の作用によるものです。
「肌の炎症を悪化させているから、赤くなっている」というわけではありません。

なので、多少の赤みであれば、継続しても問題ないことも多いです。

ただし、赤みがやっぱり気になるな…というときは、
ワセリン・プロペトでとりあえず「保護」だけでもしておく、という対応でも十分なことも多いです。
また「ヘパリン類似物質」を含まない、市販の保湿剤でも、お子さんのお肌にあっていれば、それで十分なケースも多々あります。

また「ヘパリン類似物質」を、かきむしった傷の部分や、炎症が強く起きているような肌に塗ると、しみて痛がる・いやがるお子さんも多いです。

その場合は「ヘパリン類似物質」を塗る前に、炎症をおさえる薬を塗る必要があります。(各種ステロイドや、アズノール軟膏など)

そもそも「ワセリン・プロペト」「ヘパリン類似物質」いずれも、
「肌の炎症をおさえる」「肌の赤みをおさえる」という効果はありません。

赤みがおさまらない場合は、受診して、炎症や赤みをおさえる薬をもらう必要があるんですね。


保湿の回数は?
そもそも保湿って必ず必要?

など、保湿についてもっと詳しく知りたい方は、
過去noteもどうぞご覧ください。


いいなと思ったら応援しよう!