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試写会レポート『アラビアンナイト』(リモート登壇:ジョージ・ミラー監督)

※本記事は2023年2月に参加した試写会レポートです。
※シアトルからジョージ・ミラー監督がオンラインで試写会に参加してくれました。


あらすじ

あらすじ:古今東西の物語や神話を研究するアリシアは、講演のためトルコのイスタンブールを訪れた。バザールで美しいガラス瓶を買い、ホテルの部屋に戻ると、中から突然巨大な魔人〈ジン〉が現れ、瓶から出してくれたお礼に「3つの願い」を叶えようと申し出る。だが物語の専門家アリシアは、その誘いに疑念を抱く。願い事の物語はどれも危険でハッピーエンドがないことを知っていたのだ。魔人は彼女の考えを変えさせようと、紀元前からの 3000 年に及ぶ自身の物語を語り始める…(引用:filmarks

試写会アフタートーク

ここから先はジョージ・ミラー監督へのインタビュー内容です。
試写会では一般参加者からの質問にも快く回答してくれて、とても気さくな雰囲気の方でした。

Q.この映画を制作するきっかけは?

A.人間なら誰もが自問するような深淵を描きたかった。当然人間の命には限りがあって、限りがあるからこそ''生と死''や''愛とは何か?''等、様々なことを考える。そうして生まれた様々なストーリーは時空を越えて、人類を一つにしてきたと思う。この映画でも様々なストーリーが語られている。それぞれの人生体験をもとに『なぜ、それを語るのか?』という意味を見出してもらえたら嬉しい。

Q.心霊や精霊を直に感じたことはありますか?

A.出会ったことがあると思っているけど、どれも理性で説明ができてしまうんだ。例えば幼少期の頃は、熱が出るとよく明晰夢を見た。幼少期はオーストラリアに住んでいて、あらゆる精霊に出会った気がするよ。けれど、どれも理性で説明ができてしまうから、厳密には心霊や精霊に出会ったとは言えないかもと思ってる。でも他の方が''自分は霊に出会ったんだ''と言っても否定をすることはないです。

Q.一つ目の質問の回答から『物語の持つ神秘的なものを描きたかった』と解釈したんですが、どうしてそれを描きたいと思ったんですか?

A.小さな頃から『なぜ人間は物語を語るのか?』ということに好奇心や興味があった。人類の歴史を振り返るとストーリーテリングがない時代はないんだ。つまりストーリーテリングは、予め人類に組み込まれているものなんじゃないかと思っている。そして、このエニグマ(謎)を掘り下げたいと思ったんだ。自分には双子の弟がいて、幼少期からお互いストーリーテリングをしながら育ってきた。今でも仕事や政治や社会のことなど様々なことについて語り合っている。(一息ついて)…オーストラリアには世界一長い先住民から続く歴史がある。彼らは定住をするのではなく、あちこち旅をしながら生活し、ストーリーを語り継ぐことで世の中の理(ことわり)を知っていった。例えば、水や食料がある場所をストーリーテリングで知ることができた。人間は個人であれ、家族であれ、社会であれ、まわりの世界や人々を知るためにストーリーを使ってきたんだ。人類にストーリーテリングとは、ならないものだと思う。

Q.アリシアの隣人が『マッドマックス』にも出ていたメリッサ・ジャファーと思うんですが、また起用しようと思ったきっかけは??

A.マッドマックスの作品ではラビリアで撮影し、気温も高く、そして撮影は長時間という過酷な現場だった。そのなかで、みんなを励ましてくれる存在がメリッサだったんだ。舞台の仕事がメインの彼女だが、その人柄に魅力を感じて、この役はメリッサにやってほしいとオファーしたんだ。この仕事をしていると、偉大なる役者にまるで中毒のように惹かれることがあって、何度でも一緒に仕事をしたくなるんだ。メリッサは80代だが、素晴らしいアスリートに出会ったような感覚を覚えるよ。

Q.最近は劇場公開ではなく、配信のみの映画もあるが監督はこの辺りをどう思っているか??

A.映画に限らず人間のやることは全てそうですが変化はつきものだと思ってる。そして配信で観られることは作り手として、念頭に置かなければいけないことだと思っている。逆説的になってしまうかもしれないけど、自分は両方良いと思ってるんだ。自分自身は、見知らぬ人たちと映画館という空間で一緒に『一つの物語を分かち合う』ことが好きで、周りの人たちと一緒に笑ったり泣いたり、そういう体験をしたい派ではある。でも家で観る場合は『細かいところまで見てもらえる』と思ってる。例えば一コマずつコマ送りで観て、分かち合ったりダメ出ししたり。それは今の映画づくりでも意識しているんだ。例えば数字の3をホログラム的に入れてるんだ。※ホログラムの部分はネタバレになりそうなので一番最後に記載します。

Q.マッドマックスの撮影監督ジョン・シールを今回起用したのは?たしかこの映画では新しいタイプのカメラレンズを利用して撮影されていると思うが、監督が思い描いた世界観は実現されたか??

A.ジョニーはとても優れたカメラマンで、言葉を重ねなくても自分の意図を汲み取ってくれる。すでに引退していたけど、どうしても撮影してほしかったので一生懸命口説いた。今回の作品でも、このストーリーを表すのに、一体何が必要なのかをすぐに理解してくれて、一緒に仕事をすればするほど言葉がいらなくなってくる稀有な存在。そして素晴らしいリーダー、素晴らしいユーモアのセンスの持ち主なんだ。映画の現場はプレッシャーもあれば、時にはアクションスタントのように鍛錬も必要だけど、良い仕事をするにはリラックスをすることが大事なんだ。彼がいると持ち前のユーモアで現場をリラックスさせてくれるんだ。

Q.最後に一言

A.バーチャル(=リモート参加)ではありますが、このように歓迎してくれて本当にありがとう。みんなも健康に気をつけてね。今は新作『フュリオサ』の制作中で、撮った素材をチェックしているところ。大体半分くらいは確認できたかな。変なサプライズもなく、順調に進んでいる。これから1年くらいかけて編集する予定だよ。映画は『観客が観て、どう思うか?』が大事だと思っているので、その日を楽しみにがんばります😊


⚠️ここから先はネタバレを含みます。
⚠️未鑑賞の方は、ご注意ください。

引用:公式サイト

⚠️アフタートーク(ネタバレあり)

⚠️映像に隠されたホログラム

ジョージ・ミラー監督曰く、アラビア語で『3』を表す記号がホログラム的に使われていて、ジンの登場シーン・頬の傷のカタチ・電車の窓などに隠されているとのことでした。もしかしたら他のシーンにも3のホログラムが隠されているかもしれません。

ジョージ・ミラー監督は、アフタートーク中、ずっとニコニコしてて、気さくな感じの人でした。貴重な体験に感謝です!

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