飼い犬が初めて他のわんこに噛まれた話
我が家の柴犬桃は、人懐こく笑顔がかわいい女の子だ。
若い頃はやんちゃで、椅子をかじったり、壁紙剥がしたりもしたのだが、人や犬を噛んだりは絶対にしない子だったので、小さな子が近づいても安心して見ていられた。
桃の散歩当番は、朝は夫で夕方はわたしがすることが多いのだが、体調を崩している夫に代わり、数日前から早朝の散歩もすることになった。
いつもの公園に行くと、夕方散歩で時々顔を合わせる、ボーダーコリー犬の男の子がいて、飼い主さんが放つボールを追いかけて遊んでいたので、桃も少し追いかけたりして、周りで遊んでいた。ボーダーコリーくんと会った時は、いつもそんな感じなのだ。
10分ほどして、上品な年配のご夫婦が、シベリアンハスキー犬を連れてこちらに向かって歩いて来た。
ボーダーコリーくんの飼い主さんは、
「〇〇ちゃんがきたね〜」
と、顔見知りの様子だった。
ハスキー犬は、桃を見ると突進してきたのだが、桃も様子を見ながらそれを上手くかわしていた。
今までも、お互いガウガウしながら、パンチ程度をしかけてくる、やんちゃな子はいたのだが、基本飼い主さんがリードを持っているので、これ以上は危険だと判断したら、少し引いたり距離を保ちながら遊ぶことができたのだ。
ところが、ハスキー犬はなんだかガウガウが激しいなぁ、ちょっと怖いなあと、用心していた。
それなのに、ハスキー犬は桃の後ろに回り込んだ時、いきなりおしりの右横辺りを噛んだのだ。
桃は
「キャン」
と鳴いた。
噛まれたことにも当然驚いたが、その後の年配の女性の態度の方に、もっと驚いたのだ。
「ごめんね〜、いつもこんな感じで乗っかっていくの」
《えっ、乗っかる?》
《噛んでたでしょ‼︎》
あまりにも軽い調子で話すので、とても嫌な気持ちになった。
人懐こい桃が離れたがったので、少し距離を置いた場所から、噛まれたであろう場所を見たところ、傷はなさそうだった。
普通に歩いていたし、大丈夫そうかなとは思ったが、なんだかモヤモヤする。
ボーダーコリーくんとハスキー犬の、飼い主同士が談笑しているのを桃と遠くで見つめていた。
ボーダーコリーくんが帰ると、ハスキー犬の飼い主の、上品な夫婦が近づいてきた。
「大丈夫ですか?」
と笑顔のご主人。
「キャンって鳴いてたから」
と笑顔のご夫人。
念のためもう一度場所を確認する。
「多分この辺りが濡れてるから、噛まれたのはここかなと思いますが、傷はなさそうです」
と、答えると
「濡れてるだけね。深いから(毛で覆われてるからの意味)大丈夫ね。遊びたいのに、勢い余って乗っかってしまうんですよ、ウフフ」
と、夫婦で微笑みあって、それじゃあ。と仲良く帰っていった。
《えっ、えっー、それだけ?
大丈夫って判断するのは、あなたたちじゃないでしょう。
モモに謝らないの?
ハスキー犬、遊びたいから噛むって、他の犬と触れ合わせたらダメなパターンじゃない?
4才って言ってたけど、しつけ教室行くのが、先じゃない?》
散歩にくる犬で、
「この子噛むから!」
って近づかせない飼い主さんにも何人にも出会ったけど、それならそうと、まず断るべきじゃない?
ハスキー犬が悪いんじゃなくて、これは飼い主さんの問題よ!2人もいてどうかしてる‼︎
と、もう絶対に桃に合わすものか!と誓った、早朝散歩なのでした。
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