お産のとき

ＮＹでのお産について
色んなこだわりがあったけれど
そんな一筋縄ではいかず
ハプニング続きが楽しかった

以前にも書いたけれど
助産師による自然分娩が理想
でも早期破水で即入院
陣痛促進剤で産むことに

薬の投与が始まっても
2時間ほどは陣痛の感じはなく
巡回の黒人ナースの鼻歌に
「綺麗な歌声！」と感動するほどの余裕

ＴＶのコメディショウを観て
ゲラゲラ笑おうとしていた
その時
突然最強の痛みがキターーーー

過呼吸っぽくなってたらしく
酸素吸入が始まった
歌声ナースが立ち去ってすぐだったが
ナースコールを連打した

急にたくさんの研修医が部屋に来て
「いくぞー！」的な勢いの中
私は常に冷静沈着だった
他の部屋からは叫び声が常に聞こえていた

いざ出陣な陣痛の強さが増したその時
私はとても神秘的な体験をした
それはアフリカのジャングル奥地から
生命の象徴である太鼓の音が聞こえてきたこと

陣痛の波に合わせて
その太鼓の音は私の身体を鼓舞した
心地よいリズムとともに児がこの世に現れる
なんて美しい生命の音の響き

私はその感動の中で
非常に静かに穏やかに出産をした
その静寂なお産はNYの医療職を驚かせた
そして私は病院の有名人となった

あんなに静謐を感じさせるお産は初めて
日本人のママは強く
素晴らしいお産だった
とお産に関わる全ての方から拍手をもらった

いかにもNYらしいファンキーな反応に
お産の大変さなど吹き飛んで
私もガッツポーズでハイタッチした
いかにも神秘的かつ楽しいお産だった