憂鬱
大きな湿気を孕んだ街
滲んだ煌めく明かりは
朝も夕も冴えない面持ち
鬱々と顔を背けても
規則的な心拍を刻んで
電車は大きな橋を渡る
何もしたくない日
何処へも行きたくない日
誰にも会いたくない日
気づいたら笑顔で挨拶してる
自動的に仕組まれた毎日の波に
ゆらりと乗っかって流されて
上手く生きるということが
よくわからないまま
おとなという大海を1人泳ぐ
ぐったりと
泳ぎ疲れても
ぷかぷかと
浮いていても
泣いていることは誰も知らない
ひとはなぜ生きるか
幼い私の真剣な問いに
それを探すために生まれてきたと
担任の先生は軽く答えた
私が聴きたかったのは
誰か
偉人が云った名言ではなく
おとな自身の
魂の叫び声だったんだナ
そしてこれは
憂鬱な記憶ではなかったんだナ
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