ビジネス会話改造論13~両者合意の嘘
『月刊機械技術』連載中のコラム。雑誌ではページの都合で元原稿が少し短くなっています。ここでは雑誌の了解を得て、元原稿をUPしています。
今回は10月号(第13回「両者合意の嘘」)。途中まで無料で読めますよ(定期購読マガジンの方は全部読めます)。
現在出ている11月号には、次のコラム(第14回「毛づくろいビジネス会話」)が載っています。書店で手に入ります。読んでいただけると嬉しい。
では、10月号掲載コラムの元原稿をどうぞ。
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ビジネス会話改造論
13(両者合意の嘘)
テレビ番組を見ていると、ゲストにやってきたタレントを、
「**さんが遊びに来てくれました!」
と紹介する。そして番組の終わり、別れ際には、
「また遊びに来てください」
なんて言う。
あれは遊んでいるのか? いや、仕事だ。ちゃんと出演交渉をし、出演料も払い、場合によっては「今回は映画の宣伝なので、ひとつ格安で!」なんて交渉もした上で出演しているんだろうと推測できる。
ゲストだって、その言葉を真に受けて翌週、
「遊びに来ちゃいました!」
なんて行ったりはしない。
そんなことは、当人たちはもちろん、テレビを見てる人だって承知している。あの「遊びに来てください」は『両者合意の嘘』なのだ。
我々の身近においても、似たような会話がある。
「今度飲みに行きましょう」
「いいですね、ぜひ!」
というケースだ。
「今度っていつですか? 私は基本、月火水が駄目なんですが。えーと…来週のスケジュールだと…」
なんてその場で確認を始めると、「ちょ、ちょっと待って」となる。
今度といっても、それはすぐにという意味ではなく、来月かもしれないし、その次かもしれないし、来年かもしれない。いや、永遠に行かないかもしれない。
そんなことは承知した上での「飲みに来ましょう」「いいですね」なのだ。これも『両者合意の嘘』だ。
一般に、嘘はいけないこととされている。しかしビジネス会話ではこのように、両者合意の嘘というものがある。
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