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災害と子どもの感受性。「備え」ながら「日常」を生きる

遅ればせながら2024年最初の記事投稿です。
そして、数か月ぶりの「つぶやき」ではない記事です。
noteの文章を書く力がなまってしまったような感覚をもちながら、自分の備忘録として残しておきたい出来事があったので、重い腰をあげてみました。

※以降の内容のなかには、今回の地震に関連する内容が含まれます。

1月1日、地震の最中は、夫の実家である千葉の成田近郊でみんなでのんびりと過ごしていました。
子ども用番組の録画を観ていたところ、その場にいた大人6人のスマートフォンの緊急地震速報が一斉にけたたましく鳴り始め、5歳・4歳の子どもを呼び寄せて3人で体を丸めた記憶があります。

後から反省したことですが、災害時の行動としては、この段階で手近にあった毛布を頭からかぶるなどなんらかの行動を起こすべきでした。

その後、テレビが録画番組からNHKに切り替わったタイミングを覚えていないのですが、私の記憶では、船酔いの時のようななんともいえない横揺れを感じながら、自分の携帯で「石川県」での地震であることを確認したほうが先だったように思います。
子ども達に、地震は少し遠いところなのでここは大丈夫であることを伝え、その後のテレビ報道を注視していました。津波警報が発令されたことにより「今すぐ逃げること!」と、強い口調で呼びかけるアナウンサーの声に、恐怖を感じたお子様もいたようですが、我が家の姉妹は、録画番組が中断されたことに不満をいただきつつ、なにか別の遊びをはじめていました。
「ここは大丈夫だけれど、石川県というところで、大きなグラグラがきて大変なことがおきているから、いまはこのテレビしかやってないんだよ」
そんな声掛けをしたような気がします。

実家が輪島にある知人に、5日頃に「今は返事はいらないよ」とした上でLINEを送り「既読」のみの状態のなか、今自分にできることは、義援金といつか必ず自分の身にも起こる災害への備えをすることだと思い、少しずつ防災リュックなどの準備を始めました。

姉妹にもひとつずつリュックの中身を揃えていると
「これもって、お出かけするの?」
と、リュックの中をあけて楽しそうにしている子どもたち。
「これを使うときは、大変なことがおきたときで、大事なものが入っているから、おもちゃにして遊ばないでね」
と伝えながら、いつかくるはずだと覚悟を決めながらも、どうかこれを実際に使う日がこないでほしい、と願ってしまう自分がいました。

そして、昨日の新潟県の地震速報は、Eテレを見ているときに流れてきました。
夕飯時だった我が家では、「今、地震が来たらどうするか」とシミュレーションし、長女は「ご飯食べてて、いろいろなものが机にあって落ちてきそうだから、机の下に隠れる」。私は「グラグラがおさまったら、ドアを開けにいってくる」と答えました。

我が家は、夫婦ともに大学職員として働いています。
災害時、職場にいた場合はまず学内にいる学生の安全の確保が最優先です。そして、二人とも電車通勤で夫は東京です。子どもたちを迎えにいけるタイミングが、他の保護者よりも遅くなる可能性が高いことが見込まれます。

「ママかパパが、どんなに遅くなっても必ず迎えに行くから大丈夫だからね」
「あなたたちを一人にして、先生が誰もいなくなることはないからね。先生が一人はぜったいに一緒にいてくれるからね」

私の説明をきいた長女は、「きっと園長先生くらいは一緒にいてくれるよね。でも、園長も忙しいだろうから、長女ちゃんはきっと職員室で待つことになるかもね。園長となにして遊ぶんだろ」と、いろいろと的確な考えを述べていました。
自分が、学生を預かる立場であるからこそ、保育園・幼稚園の現場の負担も想像に容易いだけに、先生たちのこともご家族のもとに早く帰らせてあげたい想いとのなんともいえないジレンマも感じます。

そして昨晩、就寝前に次女が
「ママ、次女ちゃんが燃やされても、お砂場に埋まっても、必ず見つけて次女ちゃんのことを一緒に連れて帰ってね。ぜったいだよ。ママがお仕事で閉じ込められたら、次女ちゃんと長女ちゃんとパパと、みんなで助けに行くからね。がんばるんだよ」
私にぎゅっと抱き着きながら訴えてきました。

地震からこれまで、たまにニュースをつけることはあったかもしれませんが、子どもたちが震災や飛行機事故の映像を度重ねて見るような機会は無かったはずです。それでも、断片的な情報やこれまでの経験をふまえて、4歳なりになにかを感じていることがわかり、同時に「どんな姿であっても会いたい、戻ってきてほしい。どんな小さな手がかりでも見つけてあげたい」という、安否不明の方のご家族の方達のコメントの重みをずっしりと感じ、涙がこぼれました。

そして今朝、保育園の支度をしながら「タン、タン。タン、タン」と、つぶやいている次女。そのまま聞いていると

「タン、タン。タン、タン。ジシンです。ジシンです。イシカワケンでジシンがありました。」

緊急地震速報を再現していました。
「不謹慎」だと思われる方もいるかもしれません。
でも、「タン、タンこわいの?」と尋ねると「うん、こわい」と言った次女に、「そうだね、こわかったね」と今は寄り添って、もう少し日が経ったら「びっくりしちゃう人もいるからね」と伝えていこうと思っています。

なにもなかった遠方の子どもでさえ、些細なことかもしれませんが「なにか」を感じている。現地の子どもたちはどれだけのストレスを抱えているのかと思い、ただただ、心が穏やかに安心して暮らせる日が一日も早く訪れてくれることを祈りながら、今日の帰りは、子どもと一緒に義援金を受け付けているコンビニに立ち寄ってわずかながら寄付をしてこようと思います。

冬休みもおわり、育児と仕事の両立がまた始まり、ここから数カ月は夫婦ともに繁忙期。憂鬱な気持ちが見え隠れしているけれど「この、ただの日常は、一瞬にして非日常になり得るのだ」ということを、ふとんにくるまって家族で温かく眠れる一日の終わりが、隣にある我が子のぬくもりが、かけがえのないものなのだということを、胸にしっかりとどめ、不測の事態も想定しながら、「日常」を過ごしていきます。





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