【21】年下の彼
2016年の夏頃、ちょうど今付き合っている彼と再会した年・・20歳以上も年下の男性と付き合っていた。私は付き合っていたと認識してるけど、年下の彼からすると都合いいセフレだったのかもしれない(たぶんそう、笑)
セフレにしては、年が離れすぎてるけど、終わる事を前提に付き合っていたのは確か。そして、純粋に好きだったのも本当。
あらがえない不思議な流れで、私が彼を好きになってしまった。
誘ってきたのは、彼だけど。。
私にとっても彼との関係が都合よく、必要だった。
この恋愛を経なければ、今の彼との付き合いはなかったと思う。
それまで、15年ほど真剣に付き合う人は現れなかった。それは、離婚したときに決めたから。
この年下の彼との恋愛で、渦巻く感情や心の癖をクリアできなければ、本命の相手に出逢えないと直感的に思っていた。
彼を好きだけど、「やめたい、やめたい」とループし、彼との約束の場所へ向かう電車の中で、降りて家に帰りたいと何度も思った。
でも、私の腹の声は「やりきらないとダメ」とこだまし、彼との待ち合わせ場所へと背中を押した。
あの頃、しんどかったなぁ。
女性として「自己否定」を感じるには、20歳も年下の男性を好きになるストーリーはできすぎていた。
まだある、私の中の自己否定をつきつけられ、苦しかったけど、これは私が自分で仕組んだ自作自演の恋愛だから、やめたくてもやめれなくて、ジタバタした。
年齢のこと、見た目のこと、彼とずっと一緒に入れないこと、子どもを産めないこと・・女としてのダメだしオンパレードで、吐きそうだった。
身勝手な彼からの心無い言動に腹を立て、嫉妬し、不安になり、暴言を吐きまくった。
そして、彼が私をないがしろにする態度に「私がワタシをないがしろにしてるんだ・・」と悔しかった。
街中やカフェ、旅行先でも彼に怒った。
あの頃、本当によく怒ってた。
子どもみたいに泣きじゃくり、彼を叩いて泣き叫んだこともあった。
でも、それはワタシが「私」に対する怒り。
ずっと硬くフタしていた感情が、彼のおかげで幾度も解き放たれていった。
他人にあんなにも感情的に怒りぶちまけたのは、初めてだった。
その彼との関係は2年半ほど続いた。
最後はちょうどお正月明けだった、彼の実家は九州で地元から戻ると「別れ話」を切り出すことが多くて、この時もそうだった。
私をののしったり、否定した内容を彼が話してたと思うけれど、彼の話す言葉が日本語に聞こえなかった。なんとも、不思議な感覚。
宇宙語を聴いているかのように、頭は真っ白でクエッションマークが浮いていた。
この言葉だけは覚えている。
「私と付き合っていることがバレたら家の恥だ」
そう言われた瞬間に「終わった」と思った。
私の暖簾に腕押しの言動に彼がイラついていたのもあるけど、その言葉を吐いた彼を哀れに思えた。
やっと終わった。
少し前まで、彼のその手の言動にイライラし、怒っていたのがウソみたいだった。
そしてもう2度と彼と会うことはないと確信した。
最終試験を合格した気分で嬉しかった。
「バレたら家の恥」は、彼が彼自身に思っていた言葉だと思う。いい息子の仮面の下にある、彼の人には言えない姿を恥じていた。
本当は恥じる事などないのに、彼はバレないよう必死だった。だから私は「哀れだ」と感じたんだ。
彼から気持ちが離れられなくて、どうしようもなかったのに、こんなにもアッサリ、綺麗に終れて、こんなことなら悩む必要なかった。
ただ瞬間を楽しめば良かった。
でもこれは、今の彼との関係に生かされている。
この体験がなければ、今の彼との関係にも悩んで、続かなかったし、こんなに好きを楽しめていない。
今の彼との未来もどうなるかは、わからない。
別れたくても別れられない時もあり、別れたくなくても、別れがくる。
明日生きている保証もない。
だから、そんなことに一喜一憂せず、人を愛した奇跡を楽しんでいる。
好きだとか愛するとか、嫌いもそうだけど自分ではコントロールできないこと。だから、それは奇跡との遭遇だと思う。
簡単に人を好きになれない私にとっては、なおさら奇跡。
彼への「好き」に心ときめかせる私を楽しんでいる。
『幸せな時間』
ただ、それだけでいい。