【3】その後の関係
男と女の関係を持った後の事は何も考えていなかった。
彼を好きだと気づき、死ぬ時に後悔しないため、1度はSEXしたいという望みが叶った。
ただそれだけだった。
翌朝、何もなかったようにスタッフが待つ事務所兼社宅に戻った。
スタッフの前で普段通りにいれるか心配だったけど、意外にもあっさりいつもの私でいれた。その日以降、仕事は忙しく2人きりになる時間はなかった。
自分の部屋に戻ると、身体が記憶している快感に包まれ、体が宙を浮いてる感覚になった。身体の中心が痺れている、ボワァ〜ンという柔らかな静電気を帯びたようで心地よく思考が働かなかった。
自分の気持ちの整理がつかなかった。
「この先、彼とどうしたいんだろう?」
手放しに恋愛できる相手ではなかった。
様々な背景や事情がある。
このまま何もなかった事にして過ごせる気もした。それが1番いいんだろうと思った。でも心の扉が開きかけていて、うごめく何かがそこにあった。
1週間後に彼は関西に戻る、それまでに答えをだして伝えたかった。中途半端なまま、うやむやな時間が過ぎる状態が嫌だった。
彼が大阪に戻る前日、私は友人と久高島に行く約束をしていた。
珊瑚が敷きつめられている砂浜で寝そべり、青い空を見上げながら自分の心に問い続けた。
どうしたいの?
そしてでた答えはこうだった。
私が彼を好きになったこと、私が彼との関係を望んだこと、それは1度だけでいいと思ったこと、だから今まで通りの関係でいい
明日、彼にそう伝えようと決めた。
その日は久高島のいつもお世話になる宿に泊まり、翌日の1番早い便の船で戻ることにした。
彼と直接話しをするのは、那覇空港に送る車の中しかなかったから。
彼に「久高島から午前中に戻るので、空港まで送ります」とLINEした。
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