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ハマチのサヤ
2021年6月6日 17:44
あれはある昼下がりの、夕方の日差し迫る、いい風の吹く頃の事でした。いつものように崖を登って空を眺めていると、何処からか列車が通り過ぎてゆく音が聞こえてきました。当然、周りに線路など無いし、空耳にしてはちょっと長いし鮮明に聴こえたので、これはこれは不思議に思って、ぼおっと、悪戯に時を浪費し黄昏ておりました。時刻は午後5時過ぎ。暫くすると夕焼け小焼けのチャイムがじわりと遠くから聞こえて
2021年6月5日 13:15
賞味期限切れの感動の名曲を思い出した夕方の車内はセピアで塗り尽くされた遺跡だった。公衆便所で目を覚ました明け方の僕は、さっきまで気にしていたはずの彼女の在処を既に大海へ流してしまっていて見知らぬ街は面影を再生するたびに姿形を変えて何処へとやらへ逃げていく。バイパスに面した生活がおもむろに人々の正気を蝕んでいくのが何故だか目を通して解るようになっていた。失った正気を取り戻した僕は、再び公