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冬の北欧暮らし指南――①趣味を見つけよう

Hej. Gott nytt  år! 明けましておめでとうございます。

 クリスマス時期にたくさんのイベントが目まぐるしく過ぎ、その反動でか、年末はゆっくり過ごしました。
 さて、表題にある通り、これから数個の記事にわけて、冬の北欧暮らしについて語ろうと思います。フィンランドに住んでいた経験も合わせると、合計で三年半は北欧に住んでいる私ですが、北欧の冬について語るとなると…やはりまず出てくる感想は「暗い、寒い」です。といいつつも、私は冬が大好きです。夏に比べると、服をたくさん着こまないといけないし、電気代は倍以上になるし、外に出る人も少なくなるので寂しい感じにもなります。ただ、その環境を受け入れて、自分の楽しみを冬の中に見出せることができれば、暗くて寒い日もちょっと機嫌よく過ごせるなということを、体験しました。今回は、「①趣味を見つけよう」という題で、趣味が必要な理由、私の趣味について書き記そうと思います。

 北欧の冬は暗いと記しました。緯度にもよりますが、私の地域は午後4時には真っ暗になります。暗さにつられて身体が疲れるのも何となく早くなってしまって、夕方からはちょっと憂鬱な気分になってしまうというのが、私に限らず周りにも多いようです。ですが、夕方から寝るまではまだ時間があるし、鬱々と数か月も過ごすのはやっぱりしんどいです。なので、私はとにかく趣味を見つけて、暗い時の自分の心と体を元気づけることがとても大事だと感じています。
 趣味を見つけろと言われても、人間それぞれ得意も好きも違うので、一概にこれはどうかと勧められませんが、趣味をまず一つ持つとしたら、室内でできることを見つけることを私はおすすめします。冬は外に居続けるのが難しいほど寒かったり、地面にはった氷で歩きにくかったりと、制約がかかります。よって、とにかく暗い夜を過ごせるお供を見つけることが、北欧での暮らしに役立つことかなと思います。料理、編み物、楽器、執筆、読書、ヨガ、資格の勉強など、思いつく限りたくさんあります。趣味には、持つとお金がかかるものなどがありますが、工夫次第では何個趣味を持ってもお金をかけずに楽しむことができます。私は買うよりも安いという理由から週末はパン作りをすることからはじめ、とにかく家でやりたいことが常にたくさんあります。外の趣味は週3のジム通いと週3のランニングがありますが、これは常に家に籠っている自分の健康のために外にでる口実を作るためです。
 趣味を持った方がいい更なる理由として、北欧社会、ひいてはヨーロッパ社会は、あまり夜遅くまで開いているエンターテインメントがないことが挙げられます。また、街の中心にいけばカフェやレストランやバーはもちろんありますが、電車が信頼ならないスウェーデンなので、夜に電車を待つ可能性を考えると嫌で嫌で相当な予定がない限り、街に出なくなりました。あと、これは自明のことですが、北欧は特に人件費がたかいので、レストランやバーはぼったくりレベルで高いです。日本だったら、カフェで23時まで友達とお喋りをしていたようなシティーガールの私でしたが、今ではコーヒーも紅茶もお菓子もお家でいただくことが多いです。

 上記のような理由から、趣味を見つける、特にお家でできる趣味を見つけることを勧める私ですが、特に編み物について、少し記しておこうと思います。ハン・ガンさんの著作を多く翻訳されている斎藤真理子さんが編み物をしながら読書をすると仰っているインタビュー記事だったかを拝見し、編み物なんていいなあなんて思っていました。編み物にようやく挑戦できたのは、二年前のスウェーデンで過ごす初めての冬でのことでした。
 編み物に初めて触れた二年前、スウェーデンでの暗い夜を乗り越えるために、何か趣味が欲しいと思っていたことがきっかけでした。バーは好きだけど高いし、クラブはたまに行くくらいでギリギリ楽しめるので、あまり暗い冬のお供にしては心もとないものだと私は考えていました。読書が趣味としてあるものの、何となく気が乗らなかったり、そもそも研究で常に論文を読んでいる日々なので、もうこれ以上字を頭に入れたくないという日もあったりと、スウェーデンに来て数か月後には暇している時間も多かったように思います。そのあたりで、ある友人と出会い、その後編み物にもつながりができるきっかけがありました。ある友人とは、菜食主義者の編み物好きなドイツからきた物理学専攻の大学院生の女の子でした。スウェーデン語の授業で同じクラスでしたが、学内で話したことはなく、ある日街中で出会った際に「スウェーデン語のクラス一緒だよね?」と話しかけてくれたのがきっかけで、よく遊ぶようになりました。その子は、お酒を飲まないので夜に出かけるとすればカフェで、それ以外はとにかく質素な暮らしをしているようでした。それでも、それが苦なようには見えず、むしろしたいことに全力で時間を割いていたので、好きなスポーツや編み物、読書、プログラミング学習などでとても忙しそうでした。その子は冬になると靴下を編むのが好きだそうで、その話を聞いてから、編み物に魅力を感じ、毛糸を一緒に買いに行ってマフラーを始めての作品として編むことにしました。
 ――それが二年前。編み物をしたてのころは、うまくいかずやる気をなくすこともありました。この二年間ずっと編み物をしていたかといえばそうではありません。二年経った今、コツを掴んだのか、なぜかすいすいと編めるようになり、まだ斎藤真理子さんのように読書をしながらの編み物はできませんが、オーディオブックを聴いてみようかと悩んでいるところです。(読書好きなみなさん、オーディオブックは利用されていますか?)

 冬の北欧暮らし指南①、楽しんでいただけたでしょうか。指南②では「天気のいい日は何があっても外に出る」というテーマで書いていこうと思います。今年もよろしくお願いします。

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