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猪野いのり
2016年4月21日 18:02
作・絵 いのり 気づけば ぼくは 土のなか。 とても あたたかい大地につつまれて 眠っていた。 あたたかい大地守ってくれて ありがとう。土の中で 動きだすころミミズたちが ぼくを はげましてくれた。 「がんばれ がんばれ もうすぐ あと もうちょっと」 ちからづよい声ミミズたちよ ありがとう。少しこわがりながら 出たぼく
2016年4月17日 21:31
その村にはとても美しい樹がありました。なぜ美しいかというと、その樹の葉は金でできていたからです。枯れることのない金の葉は、村人にとって宝でした。ところがある日、村にやってきた若者が、その樹を見たとたん感動のあまりに、樹を根こそぎ掘り返してしまい、自分の家へ持ち帰ってしまったのです。村人は悲しみました。若者はうばった樹を大きな鉢へ植えかえると、自分の家の中央に置きました。金の葉がきらきらと、
2016年4月15日 20:39
船が一隻あります。ガラスでできた船です。それを見ている男の人がいました。男の人は、今からこの船で旅に出るのです。旅へ出るなら、この船だと決めていたのです。透明に透き通る船の底には、海がそのままに映し出され、きっと美しいにちがいない。男の人はそう思ったのです。一流のガラス職人に船作りを依頼し作ってもらいました。三年もかけて作ってもらった、最高級のガラスの船です。男の人はいざ、船に乗り込みまし
2016年4月13日 15:08
旅人は今日も旅を続けています。目的などない旅でしたから、自由気ままに過ごしていました。よく晴れた日の午後歩いていると、大木の下で何やら耳をたれ下げため息をついているうさぎと出会いました。うさぎは何だかとても寂しそうな様子です。「君はなぜ、寂しそうなんだい」旅人は聞きました。うさぎは、うう、とうなると言いました。「なぜって、昨日ぼくは迷子になってしまってね。ひとりぼっちで歩いてい