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乙女は花列車に夢を見る
ルーニンが住む街では、毎年秋になると大きな祭りが行われた。花祭りと呼ばれるそれは三日三晩続く大行事だ。秋の実りと収穫を祝うそのお祭りではコスモスがシンボルとなっており、あちこちに華やかで可愛らしい花弁が咲き乱れている。
今年で十二歳となるルーニンは、そんな花祭りが大好きな少女だった。
ルーニンは花祭りが始まる日の朝、誰よりも早く起床した。
「お母様おはよう! さあ、早くアップルパイを焼きましょう」
紫色の聖夜(200字ノベル)
伝説では紫の星を聖夜に見つけると願いが一つ叶うという。
少年は屋根に登り夜空を見上げた。
しかしどんなに目を凝らしても紫の星は見つからない。
諦めて屋根を下りるとローズマリーが足元に咲いていた。
これも紫か、と少年が一つ手に取ると花の中央に小さな少女が眠っていた。
おどろいた少年はそのまま花ごと少女を家に連れて行った。
そして少年は小さな少女と幸せに暮らす。
もう誰もいない世界で、ひっそりと。