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「あえて言葉にしない」2009年の小田和正に救われた話。

なにかと「目的を持とう」「目的を持ってそこからゴールに向かうのが最短の道」と言われる昨今。夫に指摘されるnote。「なんのためにやってるの? 目的は?」その質問を受けても答えられなかった。なぜかというと、具体的な目的なんてなかったから。

そんなに目的って大事? 感覚でやっていたらダメなの? 

目的、目的って、あまりにも言われるから、それとなく「いつか……書くことで……ごにょごにょごにょ……」なんて、すごいちっちゃい声で言ったことを拾われて、じゃあ、そこをゴールにしよう。ゴールを決めたら、細分化してスケジュールを埋めていこうとか言われちゃう。「手帳を出して」と言われて、「この日までに、この結果を出して」と隣りでスパルタで指導される。「えっ」て、わたしはかなり引いてた。「そんな厳密に考えなきゃダメなの? そういうんじゃないんだけど」「そういうのって?」「だから、なんか言葉にできないけど、そういうのじゃないっていうか……」「言葉にするために文章を書いているんだよね?」「そうなんだけど、いや、そうなんだけど、言葉にしたくないものだってあるから、、、」

目的を持ち行動する。正しいことなんだけどしっくりこない。悶々としているうちに、2009年に放送された小田和正『クリスマスの約束2009』を観ていたら、小田和正が同じような状況に追い込まれているシーンがあって、自分と重ねて観てしまっていた。

2009年のクリスマスの約束は大成功に終わったのだけど、メイキング映像でアーティストどうしの葛藤や話し合いが放送されていた。参加するアーティストから出た言葉は、「もう少し具体的なイメージがほしい」「完成形が見えてこない」「ワンコーラスずつ続けて歌うということが、果たしてその曲を作った人を讃えるということにつながるのか」「なんでみんなで歌うのかっていう意味がわからなくなってくる」と言われ、めっちゃ追い込まれてるー、2009年の小田和正が。

番組スタッフとの打ち合わせでも「なんのために、どうしてというのをうまくやってあげないと気持ちが入らない」と言われ、「ここから何が見えるのかっていうのは言葉にしたくないことのことが多い。俺にも確信があるわけじゃないけど、言葉にするものじゃないところのもので何かを超えていこうとしている企画だから」と小田和正が答えている。

全部を言葉にしなくてもいい。言葉にできない何かを大切にしたいと思った。その言葉にできなかったものが、どう転がっていくのかも楽しみだ。





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神崎 さやか
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