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【日記集】ぬるま湯

2024年7月後半

7.16
元カレがTwitterでおすすめしていた新書が面白そうだったのでポチッた。私はそこそこ読むのが早い方なので、今日一日で八割方読み終えた。
まだ衝撃の結末が待っているかもしれないので、言い切ることは出来ないが、なんだかくすぐったい本だった。人間の根本的な行動原理を言語化しちゃったヤツ、みたいな。実際には筆者の人生を描いているだけなんだけれども、身近にいる変わっている人たちをなぞって書かれたような内容だった。24歳にもなって厨二病みたいな同期や、かつての私の恩人シェアハウスの管理人や、はたまた自分の偶像が、克明に書かれていた。あまり本を読み返さないたちだが、この本はまた読むと思う。

夜、お祭りに行った。靖国神社のみたままつり。普段は入れない中庭にも入って、ちょっとした解説を聞いてお参りをしてきた。私も愛する人のために命を賭して、神霊になりたいなぁ、なんて思った。


7.17
のんびり仕事をした。
なんだか疲れたので、同期3人にラーメン行こうって声をかけたのに全員にフラれて、泣く泣く帰宅。
私の事誘ってくれる人、まじで居なくて京都に帰りたくなる。こういうメンヘラな自分が嫌になる。


7.18
部署の歓迎会があった。
いつも真面目な顔をしている人達が呆けて暴れ散らかしてるのを見るのはとても良かった。
私はお酒のこういうところが好きだ。お酒のせいにして、普段とは違うことをしたがる「人間的な人」が好きなんだ。


7/19
2年ぶりの人と華金をした。
根は変わらないように見えたけれど、どこか儚い雰囲気を感じた。彼が死の境界線を見たことを知っていたのが悪かったかもしれない。サラサラの髪の毛が風で跳ね上がるのを見るのが、少し怖かった。
私が元カレの話ばかりするので、彼は呆れて笑っていた。お酒が水のようで全く酔えなかった。会えてよかった。

夜、後輩に勧めてもらった小説を読み終えた。
淡々と狂気の生活が描かれてるだけなのに、なんだかロマンチックで物悲しくて切ない話だった。最後の30分くらい何故か泣きながら読んでいたんだけど、最後の2ページでちょっとだけがっかりしてしまった。ハッピーエンドだったのだ。現実と非現実の境界線をなぞるような話だったのに、急に最後で非現実に押し出されてしまった気分だった。でもこの話はこれで良いのかもしれない。収まりどころがないよりはマシだ、なんて言い聞かせながら眠りについた。


7/20
誘われたので飲みに行ってきた。
東京で初めてクラシックオタクっぽい話をしていたら、近くで座っていたバイトの子が話しかけてきた。近くの音大でオーボエを吹いているらしい。
加賀鳶があったのでつい頼んでしまった。私はまだ加賀鳶はなみなみのお酒だと思っている。


7/21
生まれて初めてまつげパーマをした。
自分のまつ毛が長いのは知っていたが、まさかゲジゲジを爆誕させるような長さだとは思っていなかった。まつ毛がアガると気分もアガるというのは本当かもしれない。


7/22
特になし。メガネを見に行った。多分明日買う。


7/23
最近いかに電車の中を居心地よくするかばかり考えている。座っている人が満員電車を降りる時にどの動線が1番効率が良いか、とか。考えたからどうにかなる訳でもない。あまりに身近な出来事を自分事として考えるくせが抜けなくて、もう少し頭を空っぽにして生きたいと思った。


7/24
昨日の夕方、上司の思いつきで出張に行くことになった。片道2時間くらいかけて初めての場所に行った。


7/25
恋人が京都から東京に来ていたので、退勤後にご飯を食べて散歩した。見に行く予定だった灯篭流しは、雷注意報で中止になっていた。

夜、友人から名前をもらった。今使ってる名前。音も柔らかいし意味も好き。私がありたい姿になれる瞬間を切り取って、言葉に落としてくれた事がとても嬉しかった。私のことを全部知っていてくれて、ありがとう。


7/26
人が行き交う駅のホームを歩く時は、ちょっとでかい無遠慮おじさんについて行くと歩きやすい、という話を唐突に思い出した。
まぁ最近早朝出社をしている自分には関係ないんだけども。先週から毎朝8時に出社している。
早朝7時半の駅を、引いたばかりっぽい御籤を持ったオニーチャンが歩いてた。東京は理屈じゃ理解できないことをしている人を見かけても「おもしろい街だな」で片付けていいところが良い。


7/27
後輩くんが今日もトコトコ走り寄って来てくれて可愛かった。私はあまり人間関係構築能力が高くないので、居心地がよくちょうどいい距離感になれる人が少ない。こんな気難しい私と仲良くしてくれている人達にはとても感謝をしている。


7/28
ずっと前から楽しみにしていたコンサートの本番だった。日本初演を演奏したあと、パリジャンのオシャレなチェロ協奏曲を堪能して、大好きなブラームス4番を爽快(?)に弾ききった。少し前に会社の同期に「なんでそんな大変なのに関西に通っているの?」と聞かれたときに「だって演奏しながら幸せで泣けるもの」って言った自分は正しかった。オーケストラの中で胸がいっぱいになる瞬間は、今の自分にはなくてはならない時間だ。


7/29
人生初の有給。
京都で過ごした大学時代の暇な1日を表したような日になった。
社会人になることの虚しさみたいなものを明確に言葉にした事は無かったんだけれど、恐らくその喪失感は「人生初」という枕詞を使えなくなっていくことなのかもしれない、とふと思った。仕事に新しさを求めればいくらでも変われるのかもしれないが、生活の根本に横たわる仕事という「慣れ」からの脱却が難しくなる。それが自分にとっては逃げたかった現実で、受け入れるのが苦しい時の流れなのかもしれない。

数ヶ月だけ働いていたパン屋で爆買いしたら、キッチンのカウンターに呼ばれてビールとおつまみを貰った。
有給をとったらこよう、と学生時代から思っていた。
愉快だ。


7/30
買ったメガネをおろした。元々耳の高さが左右で違うのと鼻が低いせいで歪んでずり落ちてくるメガネが好きではなかったんだけど、慣れないPC作業に目が限界で、ブルーライトカット加工をした軽いフレームのものを買った。ぜひ見かけたら「似合ってる」と一言声をかけて欲しい。

通勤路の木陰は、カブトムシの匂いがした。


7.31
帰り道、雨が凄かった。
明日から8月なので、定期を買った。
人生初定期。
毎日使う定期入れは絶対可愛いのがいいから、最寄りのモールを歩き回ってスヌーピーのを買った。外が土砂降りなのを失念してサイドポケットに入れて、早速濡らした。馬鹿め。

とても雨だった。

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