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「女性社員のお手本になる。」と書かれた日。

3年前、会社取締役の女性から人事評価シートのコメント欄に「女性社員のお手本になる」と書かれていて、固まったことがあります。

前職では半年に一度、人事評価シートを元に上司との面談がありました。
業務の請負内容の他に、「今後のキャリアプラン」「自分の強み」などの項目もありました。そして、「チャレンジ項目」。ここには自分でやりたいことを書いたり、逆に上司から期待されていることが書かれたりします。この「チャレンジ項目」に書かれていたのが上記です。

入社してからずっとお世話になって、ランチなどもよくご一緒していたのですが、人事評価シートにコメントが書かれたのはこれが初めてだったと思います。それが、仕事のことではなく、「女性社員のお手本になる。」

これを見た時、正直固まりました。

どういうことだろう。。?

私は、先輩社員として、注意換気されるくらいだめなのだろうか。
それとも「仕事」で期待されてないから、抽象的なことを書かれたのだろうか。

2日くらいモヤモヤしていて、私のメンター的存在の先輩(緊張する私に「だって人じゃーん!」と言い放った先輩の話はコチラ)にランチの時に話してみたんです。そしたら

「すごいじゃーん!」と笑い飛ばされました。
「そんなこと書かれてる人いないんじゃない!?期待されてるってことなんだよ。女性社員の今後のキャリアやライフプラン。働き方とか。人としての信頼とか、マネジメントスタイルとかさ!」と。

またしてもこの先輩の一言で救われた私。信頼する先輩からこう言ってもらえたことで、自信を取り戻したのでした。

私は2回の育休をいただき、復職していたのですが、2回とも復職時に決めていたことがあります。

・復職直後は、会社やチームに迷惑をかけないことを第一に。

自分のためにも、未来のママ社員の女性のためにも「だから時短は、、」「だからママ社員は、、」「やっぱり子どもが2人いると、、」と思われることは絶対にさけたかったので。
具体的には、社内イントラも、メールも、LINEも24時間稼働状態にしていました。通勤時間も、お風呂上がりのドライヤーの時間も、ベットの中でもすべて”会社の仕事”のために使いました。


・復帰後ペースが掴めて、信頼関係も構築できてからは、「誰にでもなれる存在になる」ことを意識。

”スーパーママ社員”という存在も大切です。出産後も時間・土日関係なくバリバリと働き続け、泊まり出張も出産前と変わらないスタイル。カッコイイ!そうなりたい!と憧れる女性社員もいるでしょうし、会社としても頼もしい存在です。その一方でママ社員全員がそうだと、「ママになってもあそこまでやらなきゃいけないんだ」「私には到底無理。。」「うちの会社でママになっても働き続けるとはそういうことなのか」という不安を抱える女性もいるでしょう。

逆に”完全割り切りママ社員”が多いと、チームの士気が下がるのではというのが個人的な考えです。時間的な制約は、ご家族の協力の有無もあるので仕方のないことですが、気持ち的な面での”割り切り”は結構つらいなぁと私は思います。
「私の仕事はここからここまで。他の人のことは関係ありません」スタイル。中間管理職という立場でこのマインドだとちょっと辛いです。請け負っている業務や役職的にそれでも問題ない人もいるでしょうけど、個人的には、その人は誰にも”目に見える迷惑”はかけていなくても、結果的には周りにいる人の士気をさげている可能性が高いと感じます。

私が目指したのは、いい意味で ”ちょうどいいママ社員”。

スーパーママ社員でもなく、完全割り切りママ社員でもなく、ちょうどいいママ社員。あくまで自分基準なので、スーパーママ社員寄りに映っていたひともいるかもですが、、。

仕事にコミットする、家族の時間も大切にする、働きすぎない、無理しすぎない。髪を振り乱したような必死さを出さない。
会社に全てを捧げないが、けっこう捧げる。
いつも楽しそうに、余裕がありそうに、振舞う。
チームメンバーが話しかけやすい雰囲気をいつもつくる。
(本当はトイレの時間も惜しいほど焦りまくっているときの方が多いけど)
必要な時は残業や土曜出勤もするが、恒常的な残業はしない。

そして、通勤時間は、”自分のための時間”に変えました。

社内イントラを夜中までチェックして追いつくことをやめました。

チームメンバーや後輩の社内イントラ発信は見続け、LINEやりとりは時間関係なく、やりたいから、続けました。

人としてちゃんとする、ということも30代になって意識しました。

・常に姿勢良く(背もたれにもあんまりもたれない)

・行儀良く(周りを見渡すと椅子の上で胡座をかく人、意外と多い)

・デスクで朝食やお菓子を食べない(20代の頃は自席で朝食が日課だったけど、30代に入ってから急に恥ずかしくなってやめた)

・言葉使いをいつも丁寧に
社外社内かかわらず相手がいなくても常に敬語。

改めて書き出してみると、当たり前じゃん!ということだらけですね。
意識しないと出来てなかったことを告白するのは少し恥ずかしいですが、意識しないと出来てなかったです。でも意識するとできるようになったのだから、それでいい!(ポジティブ)

取締役の方に「お手本になる」と書いていただいてからさらに追加で意識したことは、

・【事実】と【感情】を分けて考え、発言する

若い頃は、デスクで平気で文句を言ってしまってました。できない自分に対しても。社外の取引先とのやりとりでも。社内での出来事に対しても。

それこそ、「なんであんな言い方するの?むかつく!」「理解できない!ありえない」「もう二度と会わない!」とかです、、。思い出すと恥ずかしい。
一緒に共通の敵を作って話すのって、盛り上がるし、「共感」できた気になりますよね。
でもそこからは、何も生まれない。
当事者同士はわかるー!と盛り上がれるもしれないけど、聞いているほうは何もおもしろくない。

事実と感情は別。
こんな事実があったけど、それはどうしてだろう?
自分はムカつくという感情になっているけどそれってなんでだろう?を発言する前に自分の中で一旦考えるようになりました。

・【事実】を、自分のフィルターを通さず、客観的に正しく伝える

マネージャーになってからはチームメンバーの人事評価もさせていただく立場にありました。それは同時に、チームメンバーや他チームのマネージャーからも自分が評価されているということです。この人はマネージャーにふさわしい人なのか。人の評価をするにふさわしい人なのか。広い視野を持って物事を俯瞰的に見えているのか。

チームメンバーの人事評価コメントを発言する場で、それまで抽象的な言葉を使うことが多かった私に対して、当時の社長から

「具体的な言葉、事実で伝えなさい。もう、あうんで伝わるような組織ではない。同じ言語を発していても受け取り方は人により全く異なる。○○さんは○○だから、という表現はふさわしくない。自分の言葉に責任を持って、正しく事実を発言しなさい」

と注意していただいたことがきっかけでした。これを言われたことは本当にありがたかったです。

それから、見えていた景色、聞こえたきた声、感じていたことの多くが自分のフィルターを通してのことだったということに気付きました。

知らず知らずのうちに、事実と一緒に”自分の感情・思い込み”も乗せてしまっていたのだと気付きました。

・勤務時間の8割は「めっちゃいいやん!」「ありがとう!」を言ってる

とにかく会議の多い会社だったのですが、マネージャーの私で平均毎日4-5つ会議。さらに上の役職になると、毎日5-6つの会議があったと思います。
私は時短9-17時勤務、勤務時間はほぼ会議をしているという状態です。実務も抱えていましたが、まるっきり1人行う実務は無くし、ペアで仕事をしていたので、私はアイディアを出し合う・相談にのる・確認する・ジャッジするということが多かったです。
そうすると1日の大半は、「めっちゃいいやん!」「ありがとう!」を言いまくっているという状態。

相手に感謝する気持ち、敬う気持ち、相手を認めることは、何よりも大切だと思っています。
アルバイトの人でも、後輩でも、上司でも同じです。
思っているだけだと伝わらないから、言葉に出して、伝える。


「女性社員のお手本になる。」
この言葉を思い出すと背筋が伸びます。

私の意識を変えてくれた言葉。

自分で宣言することも大事だし、尊敬する人・信頼している人からの「期待」を言葉にしてもらうことも大事だと、気づかされた出来事でした。

そういえば、これに関して「私、できてましたか?」と聞かないまま会社を卒業してしまいました。今度会ったら聞いてみよう。

最後までお読みいただきましてありがとうございました!


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