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遥か旅の記憶 1987.春①

プロローグ

1987年春。
大学卒業を目前に控えた2度目のヨーロッパ旅行。
所々あやふやになってしまった記憶をたぐり寄せ、ここnoteに残しておきたい。
それはもう約40年も前の旅。
情報は古過ぎて何の価値もないけれど、
私にとってはいつまでも色褪せない悠か旅の記憶だ。

逆ホームシック

1985年夏、
スペイン短期留学とヨーロッパ旅行から戻った私とホームステイ先のルームメイトは、
日本に戻ってから逆ホームシックに取り憑かれていた。
「スペインに行きたい!行きたい!行きたい!」
なんとか大学卒業までにお金を貯めて、「バックパック卒業旅行」に行こうと約束していた。

1987年春。
アルバイトと勉強と就活に励み、
2人とも何とか就職先も決まり、
残すは卒業式のみとなったタイミングで、
いよいよ念願の「バックパック卒業旅行」を叶えることになった。

旅のルートと航空券

前回の短期留学は大学の語学プログラムと日本旅行のコラボ企画に乗っかれば良いだけだったが、
今回は全て自分達で企画手配しなければいけない。

まずは航空券。
その当時、ヨーロッパの各航空会社からは日本とヨーロッパ都市を結ぶ往復航空券が60日間オープンで格安販売されていた。
私たちはフィンエアが販売する
成田−ヘルシンキ往復ヘルシンキ→リスボン、ジュネーブ→ヘルシンキの2枚の片道航空券が付いた60日間オープンチケットを購入した。

まずは空路で成田からポルトガルのリスボンに入り、
その後はヨーロッパを鉄道で周遊できるユーレールパスを利用して列車でスペイン中心に周遊する。
最後、スイスのジュネーブまで辿り着いたら、飛行機でフィンランドのヘルシンキへ飛ぶ。
リスボンからジュネーブまでの道のりはまったく自由だ。
ホテルも行き先も決めなかった。

ヨーロッパ鉄道地図と睨めっこ


2人で決めた3つのルール

①着替えの服は持って行かない

荷物はリュックひとつのみ。
2人が申し合わせたことは
服は着たきりすずめ、着替えは持って行かない。裏切りなし!
極力身軽に旅するために、
下着の着替えだけを毎日洗濯してまわそうということだった。

実際に使用したリュック🎒40年物
息子も卒業旅行にこのリュックを利用した

②夜は出歩かない

女子2人旅なので、夜は出歩かないことにしようと決めた。
その分、昼間は精力的に歩き回り、レストランやカフェを楽しみ、夜はテイクアウト食材をホテルで楽しむことにした。
夜道の危険もない上に、経済的にも節約になる。

③深刻になる前に距離をおく

長旅を続けているとケンカをすることもあるだろう。
深刻な状態になる前に、
たまには別行動をして距離をおき、ガス抜きをしよう。
夜にホテルに戻ってお互いの昼間の旅の報告をし合ったら、
また次の日から新鮮な気持ちでお互いを思いやり合いながら旅を続けられそうだ。



スマホどころか携帯もネットもない時代。
紙の地図と分厚い時刻表を手に、
バックパックひとつ背負って、
さあ、恋焦がれた新たな旅が始まる。



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