韓ドラ『サムダルリへようこそ』故郷の癒しパワー
Netflix『サムダルリへようこそ』の予告映像は済州島の美しい風景から始まる。
幾重にも重なる山、馬達が放牧される草原、海女達が潜る海。
そして主人公サムダルの優しい声が海女に伝わる教えを説く。
「今日も欲張らず息が続くだけ、
苦しくなったら水の上に戻り息をつく」
この言葉で一気にドラマの世界へ引き込まれた。
①故郷のヒーリング効果
ドラマの舞台は主人公サムダルとヨンピルが生まれ育った済州島。
美しい山々と草原と青い深い海。
そよぐ風まで映像から感じとれる。
日本の原風景とどこか似ている。
私が知る場所では屋久島が近いだろうか。叔母が暮らしている夏の屋久島の風景を思い出した。
それと対比してサムダルが写真家を目指して悪戦苦闘したソウルの町は、コンクリートに囲まれて空も小さく風もない。
どこか殺伐としている。
傷心のサムダルが戻った故郷の済州島はどこまでも優しく、彼女の心身を癒してくれるのだ。
②幼馴染み
パワハラ疑惑の汚名を着せられて故郷へ逃げ帰ったサムダル。
8年ぶりに戻った彼女を幼馴染みのヨンピル、サンド、サンテ、ウヌの4人は1ミリの疑いもなく彼女を受け入れる。
サムダルがパワハラなんてするはずがない。
そして何とかして彼女の汚名を晴らそうと、悪戦苦闘する様がおもしろい。
お互いの関係性は色々あっても、友達を守る時の団結力は揺るぎない。
③死への恐怖
海女にとって、海は生活の糧であると同時にいつ命が奪われるかわからない、死への恐怖を抱く場所でもある。
ヨンピルの母親プ・ミジャの死に、強い悔恨の念を抱くサムダルの母親コ・ミジャ。
そして自分もその同じ済州の海で命を奪われそうになる。
優しい海は時に恐ろしい魔の手で命を絡め取ろうとする。
自然に対する畏怖の念は、自然とと共に暮らす人々は常に持っているものなのかもしれない。
④真実と向き合わずに逃げる島の人々
ドラマの中には済州で暮らす人々のさまざまな感情が渦巻く。
人を恨み許さないことで、悲しみとは向き合わずに逃げている人。
自分の責任だと懺悔することで、真実から逃げている人。
自分が身を引くことで、嫌なことに向き合わず逃げている人。
しかしそれでは何十年経っても、何も変わらないことに気づく。
真正面から向き合わない限り、
決して解決することはないのだ。
ドラマの後半はそれぞれが自分の課題に向き合う、勇気ある済州の島の人々の姿を見ることができる。
⑤魅力的なキャスト
ヨンピル役のチ・チャンウク
彼の出演作では『あやしいパートナー』と『都会の男女の恋愛法』をこれまでに見た。
『あやしいパートナー』では、神経質な弁護士役がハマり役だった。
今回のヨンピルは少しコミカルな人物像で、チ・チャンウクの新たな面を見せてくれた。
サムダル役のシン・ヘソン
彼女の出演作では『青い海の伝説』『彼女はキレイだった』をこれまでに見た。
脇役だったためか、正直覚えていなかった。それほど印象の薄い役だったので、今回の作品は彼女の魅力を充分に引き出した最初の代表作になるのは間違いないだろう。
今日も僕らは欲を出さずに自分の息の分だけ耐える
そして息が苦しい時には
戻る場所がある
僕らの小川サムダルリ
帰る場所があることで
僕らは安心できる
あなたのサムダルリはどこですか?
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