遥か旅の記憶 1987.春⑨
この旅で利用したフライト60日間オープンチケットには、成田〜ヘルシンキ往復、ヘルシンキ〜ヨーロッパ1都市、ヨーロッパ1都市〜ヘルシンキのチケットが付いていた。
私たちの鉄道旅の終点であるフランクフルトからフィンエアーで一路ヘルシンキへ飛んだ。
いよいよこの旅のフィナーレ。
フィランドヘルシンキに到着した。
①フィンランドは氷の世界だった
フィランドに着いたのはもう3月も半ば。
これまでの私たちの旅で1番春に近いはずなのに、これまで訪れたどの町よりも寒かった。
町のいたる所が凍っていた。
道路も海も湖も。
氷の世界だ。
②凍死しなくて良かった
唯一暖かいはずのホテルの部屋がなんとなく寒い。
北欧も物価は高いのでYMCAに宿をとった。
部屋は広くはなく、ツインベッドの配置も向かい合わせに頭がくるという初めての配置だったが、シーツや水廻りも清潔だし不自由はない。
なんとなく寒いなあと思いながらも到着した日はそのまま眠ったが、あまりの寒さに夜中に何度も目が覚めた。
あくる日フロントに問い合わせると部屋を見に来てくれた。
どうやら窓枠のパッキンがヘタっていて、隙間風が入っていたらしい。極寒の夜だったら凍死する。危ない所だった。
至急修理をしてくれると、部屋の温度はぐんと上がり、その夜からは心地良く眠ることができた。
③寒いけれど観光も
寒いとばかりは言っていられないので観光も少し。
フィランドと言えばシベリウスの『フィンランディア』(知らんけど)。
シベリウス公園の中のモニュメントを見に行った。
青銅のドーム屋根と白い外壁が美しいヘルシンキ大聖堂。
フィンランドまで来ると、建築物も少しロシア風だなと思っていたら、手前にはフィンランドを統治していたロシア皇帝アレクサンドル2世の像が立っていた。
④冬のフィンランドの夜は早い
冬のフィンランドで気をつけなくてはいけないのが、お店の閉まる時間がかなり早いことだ。
レストランも6時には閉まってしまう所が多く、5時にはラストオーダーなので下手すると夕食にもありつけない。
これまではホテルの部屋で部屋食が多かったが、流石に体が冷え切っているので温かい料理が食べたい。
あるレストランでトナカイのお肉が食べれると聞いて注文したかったが、トナカイの単語が分からず、紙ナプキンに絵を描いたらわかってくれた。
今ならスマホで画像検索して見せるか、翻訳アプリで調べれば良いだけだが。
ちなみにトナカイはreindeerだそうだ。
結局はこの季節にトナカイの肉は無いと言われて、郷土料理はあきらめた。
⑤アイスクリームとマリメッコ
フィンランドで1番気に入ったものはアイスクリームとマリメッコだ。
氷に閉ざされた町の中に、アイスクリーム屋さんが至る所にある。
そしてこんなに寒くてもなぜか食べたくなる。
そしてそしてすごく美味しい。
街歩きの途中で何度アイスを食べたかわからない。
フィンランドは世界でも有数のアイスクリーム消費国だそうだ。
だから味のレベルが高いのかもしれない。
マリメッコ。
今では日本でも有名なマリメッコだが、当時はまだ日本に入って来ていなかった。
白一色の街の中に突然現れるカラフルなショーウィンドウはお花畑のようで、ついつい誘われて入ってしまう。
私は4月から入社する会社から出ていた課題レポート『3年後の新店に入れたいお店』として、今回の旅で知ったフィンランドのマリメッコをレポートして提出した。
⑥とうとう旅が終わる
ヘルシンキからフィンエアーで一路日本へ。
帰路のことは全く記憶がないくらい早かった。
旅の最後は呆気ないものだ。
長いようで早かった35日間の旅がついに終わった。
次回の『遥か旅の記憶』ではこの旅の総集編とお知らせで締めくくりたいと思う。