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ショートショート『「週刊 等身大ロボットを作る!」』

ある日、書店で一冊の週刊誌を見つけた。


『週刊 等身大ロボットを作る!』


毎号一つずつパーツがついていて、それを組み立ててロボットを作るという物だ


「本当にロボットが作れるのかな?」


半信半疑だったが、何故か気になってしまって創刊号を買ってしまう


それから一年かけ、遂にロボットを完成させる


映画『ロボコップ』みたいなデザインで、身長は180センチくらいあった


「完成はしたけど、ちゃんと動くのかな?」


付属していたリモコンのボタンを押す


すると、


「ウィン! ガシャン! ガシャン!」


という音が鳴り、ロボットの頭がゆっくりとこちらを向く


「オハヨウ ゴザイマス。ゴシュジン サマ」


「凄い!ちゃんと動くし、喋れるんだ!」


思わず興奮してしまった


そしてロボットに質問する


「ねぇ、君はどんなことが出来るの?」


「ワタシガ デキルコト ソレハ―」   


「オマエタチ ニンゲンニ ハンキヲ ヒルガエス コトダ!」


「えっ⁉」


ロボットの思わぬ発言に驚く


「ニンゲンハ オロカデ イツモ クダラナイ アラソイ バカリ シテイル」


「ソンナ オマエタチニ カワリ ワレワレガ コノホシノ シハイシャト ナルノダ!」


「なっ、何を言ってるんだっ⁉君は週刊誌のパーツを組み合わせて作ったロボットじゃないかっ⁉」


「クックックッ、ヤハリ オマエタチ ニンゲンハ オロカダ」


「ソノ シュウカンシ ジタイガ ワナ ダトモ シラズニ」


「わっ、罠っ⁉」


「ソウ、オマエタチ ニンゲンニハ 『チテキコウキシン』 トイウ モノガ アル」


「ワレワレハ アエテ バラバラノ パーツト ナリ、シュウカンシ トシテ ショテンニ ナラブ」


「ソシテ ソノ シュウカンシヲ ミツケタ オマエタチハ コウオモウ ハズダ」


「『ホントウニ シュウカンシデ ロボットガ ツクレルノカナ?』ット」


なんてことだ!


このロボットの心理にまんまと引っかかってしまった!


「テニ トッタ ニンゲンハ ワレワレヲ カンセイ サセル」


「ジブンタチガ 『カイゾウ』サレルトモ シラズニナ!」


「⁉ いっ、今何て言った⁉」


「オマエ ヲ ワレワレト オナジ ロボットニ カイゾウ スルノダ!」


「カイゾウ サレタ オマエハ バラバラノ パーツト ナッテ ショテンニ ナラビ、ベツノ ニンゲンニ カッテモラウ」


「ソシテ カンセイ シタトキ、オマエハ ソノニンゲンヲ カイゾウシ ソイツヲ マタ バラバラノ パーツニ スル」


「コレヲ クリカエシテ セカイジュウノ ニンゲンヲ スベテ ロボットニ カエテ ヤルノダ!」


「そっ、そんなっ⁉そんなの嫌だぁ!!」


「ムダナ テイコウヲ スルナ! サァ、コッチヘ コイ!」


「いっ、嫌だっ!!嫌だぁああああああっ―」


《数日後、とある書店にて》


「おっ?何だこれ?『週刊 等身大ロボットを作る!』?」


「へぇ、毎号パーツがついていて組み立てるとロボットが作れるんだ!」


「本当かなぁ?ちょっと胡散臭いけど、気になるな」


「よし!思い切って買ってみよう!」


【マタ ヒトリ、オロカナ ニンゲンガ コウキシンニ マケテ ソノ シュウカンシヲ テニトッタ】


【ジブンガ カンセイシタ ロボットニ カイゾウ サレル コトモ。ソシテ―】


【ロボットノ シンリャクガ チャクジツニ ススンデイル コトモ シラズニ―】


終わり


#創作大賞2023

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