シン・宇宙戦艦ヤマトに想う
初回放送から50年という。
そうそう私はクラスで唯一、その初回放送を14インチのテレビにしがみつくように観ていました。クラスでは裏番組の「猿の軍団」に夢中で。担任の先生と私だけが視聴者になっていただけです。
その後の再放送で人気拡大していくのを喜びつつ、新規ファンには「ニワカものめ」と冷笑していたもんです。その後の劇場版、「さらば」までがヤマトであって後の異世界転生したかのような、ヤマトには一瞥さえくれませんでした。
そして「ヤマト2199」が始動して、かつてのイスカンダルの旅が、破綻した物語設定が整合されていって、舌を巻いたもんでした。
特に矛盾した設定が以下です。
ガミラス星がアンドロメダ星系、銀河系各地、遠路たる地球まで遠征艦隊を出せるのに、どうして七色星団艦隊戦に、空母機動部隊を僅か5隻しか出せないのか。そこを抜かれるともうガミラス本星決戦しかないというのに。
この疑問が全て解消された上に、さらの物語展開が濃密になっていました。
しかしながら古参の信者である私は、波動エンジンをセル一発で始動させる島大介に苦言を呈してましたが。へえ昔キャブだったのに、インジェクションになったのか、とか。
それでも新規の七色星団会戦は美しかった。
コスモタイガーが被弾して特攻を選ぶなど、涙を誘いました。
それで次のガミラス星会戦を期待を込めて待ったのです。
ですが・・・揃えたBD全巻をメルカリで売りたくなりました。
2199ヤマトは海に潜らないのです。
このアニメ史上、最大級の逆転劇ではないのです。
最悪の状況下での古代進の苦悩、逡巡。そして病床の沖田艦長への血の叫びのような問い。それを冷徹に豪胆な策を告げる艦長の声。
それを一切の排除を行い、全てはデスラー総統一個人の罪です。
彼ひとりを弾きましょう・・・なんていう結末。なんか第二次大戦の原罪を総統ひとりに負わせた国家もありましたっけね。
シン・ヤマトはこれを魅せて欲しい。
庵野秀明監督なら同じことを思っているに違いない。
監督と同窓の島崎和彦先生もこんなアンソロジーを描くほど、2199には納得していないと想うのです。
古本屋で手に取って、そのままレジに走りましたよ。
そしてこのエピソードの白眉は戦闘後にあります。
たぎる血の勢いのままに、ガミラス星を破壊し尽くした後で。古代進が気づくのです。赤い汚染された地球と同様に、夥しい殺戮と破壊を行ったのは自らもそうなのだと。
「勝利か、そんなものクソでも喰らえ❗️」
少年の私が、最も感動した瞬間でもありました。
アニメの主人公が、勝利を否定するなんて・・・