私が原因不明のめまいに悩まされ続けた話(その27)
私は30歳の頃から原因不明の目まいに悩まされ続けている。この記事を書いている時点でもう8年が経過しているが、症状は治まるどころか悪化の一途を辿っている。そろそろ過去の記憶も曖昧になってきているので、このタイミングで備忘録も兼ねて、同じ悩みを抱えている方の一助になればと思い、記事にすることにした。
春が来る
3月になった。
1月以来、毎日朝晩2回ジフェニドールを飲み続けている。もう、常にだるさとフワフワ感がある状態だ。おまけにこの時期は毎年調子が悪くなる。理由は分からない。
この頃から、ジフェニドールを飲んでいても、吐き気がするようになった。しかもだるさとフワフワ感はある。薬の効果は無いのに、副作用だけが現れている状態だ。
これでは仕事にならない。3月に入ってから、出勤して数時間、長くても半日勤務しかできなくなってしまった。
麻酔科の受診の際、この事を伝えると、体がジフェニドールに慣れてしまった可能性があるので、薬を変えてみようという事になった。代わりに、メトクロプラミドという薬を出された。
早速試しに飲んでみたが、正直効果が良く分からない。別に飲んでも変わらないのなら飲まない方がいいと思い、1回飲んだきり飲んでいない。
そんな状態で3月も後半に差し掛かった。相変わらず休みが続き、早くも有休の残り日数を気にし始めなければならない状況に陥っていた。そんな中、重役の一人が私にこう声を掛けてきた。
重役「いっその事休職にしてしっかり休んだらどうだ?」
私も休職に向けては色々と考えていた。この時自宅を建て替え中で、私の実家で暮らしていた。職場まで車で5分。保育園もすぐ近く。家には私の両親もいる。これが新居が完成すると、職場&保育園まで車で30分ちょっと掛かり、家も私と嫁と子供の3人しかいなくなり、そこまでゆっくり休めない。休むなら今しかないと思った。この重役の声が私の背中を押すことになり、3度目の休職をする事になった。
3度目の休職
実はこの時休職するにあたって、ひと悶着あった。
ある日私は、休職して体調の回復に専念したいと上司に申し出た。上司もそれに納得してくれ、休職中も業務が滞りなく行われるよう、部署内で引継ぎをさせると言ってくれた。そして、休職までに他の人に任せられそうな仕事は引継ぎをした。専門的な仕事については、私が自宅からリモートで行う事にした。
休職開始日は3月29日。どこまで回復できるか分からないが、今のうちにできる限りの手は尽くそうと思った。ところが休職開始初日、朝一に掛かって来た一つの電話で、休みどころではなくなってしまう。
そ「もしもし」
女性社員「もしもし。アンタもしかして休職って今日からだった?」
この人は1回目の休職の時(その6参照)に私を追い詰めるような電話を掛けていた女性従業員だ。
そ「そうですけど?」
女「アンタそれ誰にも言ってないでしょ~。アンタが突然無断欠勤するから、重役も社長も誰も聞いてないって大騒ぎになってるよ?だいたい休職する時はまず3日間有休取ってからでしょうに~。それに病院から診断書ももらってこないと~。バカだな~アンタは。そんな事も分からないの?」
まただ、あの時と全く同じ言い方。
そ「いや、言いましたよ?だって現に引継ぎもしてましたよね?重役とも面談しましたし、知らないはずないですよ?」
女「そんな事言ったって誰も知らないって言ってるよ?」
そ「…」
女「とにかくまずは病院から診断書をもらってくる事。分かった?」
そ「分かりました」
初日の朝一からこれか。さて、一対一ならどちらの言っている事が正しいかを考えるのだが、今回は多対一。会社側が正しいのは明らかだった。
実はこの事については考える事があった。1月の体調不良になった後から、記憶がおかしいのだ。私は物覚えが悪く、仕事の進捗状況も、何か形に残しておかないと、すぐ忘れてしまう。なので、些細な事でもOutlookのタスク機能を使って管理していた。
ところが、仕事で他人との会話の内容が合わなくなることが多くなった。Outlookにそもそも残し忘れている事もあったが、Outlookに残していたとしても、そのやりとりの内容が間違っている。やり忘れるだけではなく、間違って記憶する事が増えた。
もしかしたら脳に異常があるのではないか。それでめまいが酷くなっているのでは?という説が一つ。あとは、逆に体調が悪くて仕事が手についていない説。
という事を考えていたら、時間は11時になっていた。電話が来たのが9時前だったので、2時間以上考え事をしていた事になる。こんな感覚は久しぶりだった。また精神が病んでしまいそうだ。とりあえずすぐに耳鼻科に電話した。ここは以前、めまいの事で診察してもらった事がある。
診断書ください
耳鼻科を受診したのは次の日の事。単刀直入に、めまいがして仕事にならないので、休職する事になった旨を伝え、診断書を書いてもらった。
その際に、平衡機能検査を受けた。クッションの上に立ち、30秒間どのように体重が移動するかを測定するらしい。最初は普通に立って測定したが、その後、目を閉じて30秒間計測した。結果から言うと、正常範囲内との事だったが、測定中結構気持ち悪かった。
とりあえず1か月間、めまい体操をするよう言われた。めまい体操とは、人差し指を顔の前に出し、その指を動かさずに目線を指先に向けたまま、顔だけ左右に振るという、めまい持ちの人からしたら聞いただけでも吐き気がしてきそうな体操だ。
実はこの体操、以前に自分で行った事がある。その時は一瞬で気持ち悪くなって寝込んでしまったので、やらない方がいいと思い、二度としなくなってしまった。
ところが、先生曰く、
先生「フィギュアスケートの選手が何回回っても目が回らないのと同じで、この体操を続けていくことでめまいにも慣れるというのが狙いです」
という事なので、多少気持ち悪くなっても続けるよう指示された。
また、脳からめまいが来ている可能性もあるので、脳の検査も受ける事を勧められた。この際なので、できる事はやっておきたい。脳のクリニック向けに紹介状を書いてもらい、後日検査を行うことにした。
診断書持参
診断書を書いてもらったその足で、すぐ勤務先に向かった。
とりあえず、最大限申し訳なさそうな雰囲気を出して事務所に入り、上司に診断書を提出した。ついでに事の真相を確かめたかったので、例の休職初日の事について聞いてみた。
そ「あの、休職初日に電話が掛かってきて聞きました。本当に皆さん私が休職するの知らなかったんですか?」
上司「う~ん、それは知ってたけど、いつからかは聞いてなかった」
そ「それ面談の時に言いませんでしたか?」
上司「いや、私は聞いてないし、やっぱり他の誰も聞いてないらしい」
そ「そうですか…」
よかった。休職する事自体はちゃんと言ってた。ここが違ってたら、いよいよ頭がおかしくなったと疑わざるを得なくなる所だった。これでようやく休職の手続きが終わった。
脳の検査
耳鼻科受診から約1週間後、先日耳鼻科に紹介状を書いてもらった脳のクリニックに、脳の検査を受けに行った。
ここでは、めまいに関する異常があるかを調べる一方で、最近の記憶力に関する答えも出るはずだ。検査前の問診で、めまいに関する過去の出来事と、最近の記憶力についても伝えた。
検査はMRI。MRIは過去に行ったことがあるので、心配は無かった。…はずだった。台に横たわり、固定される。台が上昇し、今度は横に動き装置に格納されていく。フワッとした。あ、ダメだこれ。最後まで持たないかもしれない。
何かあった時に押すボタンを渡されていたのだが、いつ押そうかずっと迷っていた。でも、検査前に15分位で終了すると言われていたので、なんとか我慢できた。前回検査した時は30~40分位掛かったような気がしたので、それから性能が向上し、短時間で検査出来るようになったのかもしれない。
検査が終わり、再度診察へ。結論から言うと、全く異常無し。「鼻の奥に白い影が見えるので、副鼻腔炎か何かですかね~」って言われた。はい、その通りです。
とにかく、めまいの原因は脳ではなかったし、私の頭はどこもおかしくない。記憶力がおかしくなっているのは、体調が悪い事が原因で、物事が手についていない状態だったと言える。
現にこの頃は、何でも早く終わらせようと気が逸っていた。子供の行動に対しても待つ事ができずに、強引に手出ししてしまったり、人の話も最後まで聞かずに早く会話を終わらせようとしていた。
でも休職する事により、余裕が出てくるだろう。体調が回復するに伴ってそれも良くなっていくはずだ。今はゆっくり休もう。もう今しか休めないのだから。
ー 次回へつづく ー
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