ジュラシックジェイド「The Old Kingdom Of Hell」
ジュラシック・ジェイド(JURASSIC JADE)の「The Old Kingdom Of Hell」は、オムニバスアルバム「SKULL THRASH ZONE Vol.1」におさめられた1曲です。インディーズバンドが2曲持ち寄りつくられたアルバムです。
ジャパニーズメタルの中で音源があるスラッシュメタルバンドと言えば?と問われると「フラットバッカー」と反射的に答えます。
その他は?と問われるとバンド名を思い出す前にこのオムニバスアルバムが頭に浮かびます。バンド名よりもこのオムニバスアルバムです。
日本にスラッシュメタルを広げ革新を伝えた至宝の一曲「The Old Kingdom Of Hell」
ジュラシック・ジェイドは1980年代より活動を開始し現在にいたるまで活躍を続けています。
同曲は乾いたギターのリフがガガガと聞こえ、ドラムがハイハットとバスドラを同時に叩き、勢いをつけて曲が始まります。
スラッシュメタルバンドのライブ鑑賞にはヘッドバンキングやダイブがつきものです。ダイブはかつてあったと言うべきでしょうか。いまでもあるのかは定かでは無いです。
曲のはじまりはもちろんそれをするため、勢いをつけるギターリフ、その鑑賞方法の前奏と捉えられますが、この曲は別の楽しみ方があるのでは?と思います。
開始とともにスッと目を閉じて直立不動になり、頭を上下に軽く揺すりながら、それは足先でリズムをとるみたいに、聞くことができる曲ではないでしょうか。聞き方の見た目はいたって静か。
音に合わせて体を揺らす楽しみがある一方で、音を自分の体に引き込んで内に貯めこむ、エネルギーに変換する/吸収する味わい方です。体のなかにマグマを貯めるイメージです。
そのように聞くのがベターなのは音だけではなく仕掛けがあります。歌詞の聴き取りにくさです。
いま聞き直しても、やはりサビ部分の歌詞が聞き取れ難いです。はじめて聞いたときの解釈はいまもかわりません。
「Oh~ギター持て、Oh~ギター持て」と歌っているように聞こえます。他の箇所でも「つぶせつぶせ」、「つぶれつぶれ」なのか。どうしてもはっきり感じ難いです。歌詞をこうだと言い切れない。
歌詞カードを読めば?という世界かも知れませんが、歌詞カードを読んでから曲を聞き始めるのではないので、聞こえるものがまずは大事かなと思います(諸説あり)。
どうしても、歌唱に集中せざるを得ない。歌唱の前には前奏=ギターリフがある。そうするとまずはジッと聞くか、となります。じっくりと聞き込むとその世界観に浸ってしまいます。集中を促す。
スラッシュメタルは男性のダミ声がセオリーですが、ジュラシック・ジェイドは女性ボーカルです。歌唱のなかで叫び声が効果的に使われます。聞く印象はシャウトではなく「悲鳴」です。
叫び=SHOUTではなく、悲鳴=スクリーミング=screaming。
このスクリーミングな歌唱をジャパニーズメタルにもたらしたところに、この曲の革新性や至宝さがあると考えますがいかがでしょうか?順序が前後しますが、スラッシュメタルのボーカルは男という公式も崩しています。
ボーカルの新しさに至宝が宿る。レコード音源になり日本中にその魅力が伝わる。いまのいままでも継続的に魅力の拡散が続いていると思います。
ジュラシック・ジェイド(JURASSIC JADE)「The Old Kingdom Of Hell」、オムニバスアルバム「SKULL THRASH ZONE Vol.1」
ハロー!ジャパニーズメタル
シティポップが海外から注目されています。70年代後半から80年代の日本のポップス音楽です。特徴は都会的な雰囲気です。
同時代に流れた音楽にジャパニーズメタルがあります。特徴は世界を目指す音楽です。こちらだって起源はイギリス、アメリカで洋楽志向。ブルース、ロック、ハードロック、ヘビーメタルと様式起源は異なるけれども、同じように日本語に乗せるのに苦労している。ジャパニーズメタルの至宝の曲をどうぞ。