ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑤~ ヤクーツク編
ようやく、スタート地点となるロシア・サハ共和国の首都ヤクーツクにつきました。ヤクーツクでは基本、着物で過ごしました。
■ フィールド調査の準備
2016/6/16 朝10時に、ロシア科学アカデミー永久凍土研究所鳥類学室のインガ・ビシカトバ女史が迎えに来てくれた。最初に向かったのは銀行。先立つものは金である。ルーブルに両替。
午後から、鳥類学室のボス、ユーリ・ゲルモゲノフ氏と調査の段取りの相談。事前にどこまで話を詰めていたのかはよくわからないが、ともかく、お金の相談をしていたようだ。
・モーターボート2台
・ロシア人研究者1名、同行者1名の人件費
・ガソリン、必要な備品類、食料
・保護区の入場料
など。
それから行程についても。
レナ・デルタのフィールドでは、漁師小屋に泊まるらしい。泊まれる状態でなかったら、テントだとか。
あとは、今後の協力体制について、すこしディスカッション。2015年に開催された日米渡り鳥保護条約会議では、ハクガン、カリガネ、トモエガモが優先的に情報交換する種として挙げられていたので、それらがレナ・デルタで調査できないかと。
第8回日米渡り鳥等保護条約会議及び第10回日ロ渡り鳥等保護条約会議の結果概要
トモエガモはいるけど、まれ。とのこと。難しそうだな。
たっぷり打合せして、21:00に夕食に出る。宿の近くのレストランはのきなみやっておらず、近くのキオスクで買い物してすます。
■ Kytalyk保護区設立20周年シンポジウム
6/17 ソデグロヅルの保護区である、Kytalyk(キタリク)保護区(サハ共和国)の20周年を記念したシンポジウムが開催された。国際ツル財団のDr. George Archibald氏と、Claire Mirande氏も来ていた。国際ツル財団、ロシアの研究者それぞれから、ツルの生息状況や分布の変化、植物や永久凍土の温暖化の影響など多岐に渡る分野の発表があり、とても興味深かった。
そんななか、我々も、日本のツル類の現状や今回のコクガン調査の趣旨などを発表した。せっかく日本から来たので、しっかり日本文化を広めなければならない、と思い、着物で発表を行った。そして、私のつたない英語の発表に、ロシア語の通訳がつくという、なんだか不思議な発表であった。
まぁ、少しは爪痕が残せただろう。
今回、ツルの研究者たちは、Kytalyk保護区へ調査に行くようである。Disneyから助成金をもらっているようで、新たな装備として、水陸両用車のようなものを購入していた。
私も1台ほしい。
シンポの後、池内氏がアカデミーの女性研究者へのお土産として浴衣をプレゼントし、みんなで記念撮影した。
左から、インガ・ビシカトバ、澤祐介、マーシャ、池内俊雄
夜の会食はなかったので、日本人3人で街へでることに。どんなところに入っていいものか、全くわからないなか、日本食が食べれるレストランKitagawaがあったので、入ってみることに。
巻きずしのお店だったようで、海苔のてんぷらでまいた巻きずし、ウナギ巻き(中にチーズが入っている!)などなど。いかにも海外のお寿司という感じであったが、おいしかった!お店も繁盛しており、テラス席に。
しかし、テラス席ではアルコールは提供できないとのことであったので、空いたら中に入れてもらうように頼んで、外で食べてしばし待つことに。
お店のなかに移動し、気持ちよく飲んでいると、地元の女の子3人組から声をかけられた。ロシア語で何をしゃべっているのかわからないけど、一緒に飲まないか?と言っているようである(知らんけど)。30分ほど交流。
これも、着物効果だな。
そもそも日本人も少ないだろうし、着物きている人なんて珍しいのだろう。
そんなこんなで、ヤクーツク3日目の夜は更けていく。(北緯62度だから2時くらいまで明るいけど!)
(つづく)
【過去記事】
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ①~ はじまり編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ②~ 資金集め編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ③~ 準備編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ④~ 出発編
この記事が参加している募集
渡り鳥の研究には、旅費や発信器購入、罠の作成など、そこそこのお金がかかります。もちろん科研費や助成金などを最大限獲得していますが、それだけでは大変厳しく、手弁当も多いです。渡り鳥についてもっと知ってみたいという方々のご支援よろしくお願いします。